周司あきらのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
おもしろかった。今まで読んだことがある男性学の書籍からの引用が複数あり、あれのことだ!となったので、それだけ有名どころは読んできたのだと思う
なかでもおもしろかったのは3つほどある。ひとつは日本が働き方を変えられなかったのは、石油ショックを例外的に持ちこたえてしまったという指摘だった。欧米では石油ショックを機に男性主体の家計モデルを見直すことになったが、まだ脱工業化をできていなかったために長時間労働を頑張れば生産性を保ててしまい、結果として働き方の見直しにつながらなかったという点だった。これは別に日本優れているわけではなく、ただ欧米よりも産業構造の変化などが遅れたためだということがおもしろかっ -
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Posted by ブクログ
性同一性障害ということばは誤り。「障害」ではない。
ジェンダーアイデンティと性自認と性同一性は同義。
そもそもこのことからしてわかっていない「知識人」が
多数いるのではないか。日本に。
「知識人」としたのは、政治家に対する皮肉だ。
特に自民党の一部。
この新書は、トランスジェンダーにとって、
この日本がいかに生きづらい国であるかを綴っている。
トランスジェンダーは人口の1%もいない、という。
出生時に割り当てられた性と、ジェンダーアイデンティティが異なる人。
従来はこれらの人々は「いないもの」にされていた。
それこそ「障害」「異常」とされていた。
しかし時代は変わり、少数派を尊重するこ -
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Posted by ブクログ
LGBTQについて、いかに自分が性的マイノリティ、特にトランスジェンダーについて無知であったか分かった。本書はトランスジェンダーについての分かりやすい入門書であり、彼らが、どのような社会的状況に置かれ、特に日本で彼らを取り巻く状況は世界の中でも最も遅れている状況であるかもわかった。国際的にも人権意識が遅れている我が国であるので、特に驚きはしないが。法的な問題については、明治以来の戸籍の問題がネックになっていること、またフェミニズムや男性学との関係、ノンバイナリーについて、分かりやすく整理されて書かれている。本書を通読して思うのは、世界の人権意識や差別問題は進歩している中、わが国だけが逆流してい
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Posted by ブクログ
生まれた時に性別が「割り当てられる」という感覚への違和感や、LGBとTの違い、ノンバイナリーやAセクシャルの存在など、知らなかったことや理解不足がたくさんあった。性別は生きる上で大きな固定概念であり、縛りになってるんだなぁ。
「女性らしさ/男性らしさ」というこの「らしさ」に苦しめられる人が多いように、性別の問題に拘らず固定概念は厄介。いろんな物事の捉え方があるということを知るために、またさらに自由な生き方を促進し多様性を受け入れるためにも、本書は早い段階で教育現場に導入されてほしい。
誰もが自分を大切に、相手の自由も尊重した生きやすい世界になるといいなぁ。 -
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Posted by ブクログ
入り口として丁寧に説明していただいた印象です。
分かっているつもりで全く分かっていないことばかりでした。
過去別の本で読んだ日本の社会にある「人間教」の考え方を思い出しました。
多数派の過ごしやすさによって、その枠から様々な事情で該当しないとなった人達が生きること自体に難しさを感じなければならないことは悲しい
その一方、自分自身も多くの差別をしてしまっていると思うと実現できるのか、自分ごととしてどこまで考えられているのかは不安になりました。
書籍の構成上仕方ないのかもしれませんが、様々な状況に対して、現在の状況について、強い批判のみで書かれていると感じる部分があり、分かりやすいと思う一 -
Posted by ブクログ
人は生まれた瞬間から男性か女性かを決められ、戸籍に登録され、それ相応の「らしさ」を身に着けさせるべく育てられる。
服装や髪型、言葉遣いや態度、挙げていったらきりがないほどあらゆる場面で男性らしさや女性らしさが求められる。
学校でも教科書や制服から性別の違いを意識させられ、別の生き物なのだという認識が脳にうめ込まれる。
その当たり前の中で違和感を覚えるトランスジェンダーの苦悩を痛感した。
シスジェンダーが考える性別の基準がいかに極端で残酷であるか。
生まれ持った性別に違和感を感じないでいられる特権が、いかにトランスジェンダーを傷つけているか。
無自覚な固定概念や偏見に気づかせてくれる一冊だった。 -
Posted by ブクログ
別の著者の本(たしかフェミニズム系の本だったと思う)で「差別主義者の最大の特徴は、自らが差別主義者だと自覚していないことだ」と書かれているのを読んだことがあり、自分が誰かを無意識のうちに差別することがないように、自分のよく知らないトランスジェンダーについて書かれたこの本を読んでみた。
著者は、「トランスジェンダーのことをきちんとわかりやすく書いた本が世の中にないので自分でこの本を書いた」と述べている。
私は専門外なのでこの本に書かれていることがどれほど正しいのかは判断できないが、少なくともこの本を読んでトランスジェンダーの方たちの気持ちを以前よりはるかに理解したり想像したりすることができるよ -
Posted by ブクログ
この本を読み終えて、自分の中にフィルターが一枚生まれた気がした。それは過剰な忖度だったり、厚みの分だけ他者との距離を生んでしまうものではなくて、考えや思いを口にしたり文字で発信する際に、無意識に誰かを傷つけてしまうような表現をこしとってくれるようなもの…であったらいいなと思ってます。
正直なことを言うと、半分くらい読んだ時点ではトランスジェンダーの人たちの辛い体験や困難を想像して神妙な面持ちになりつつも、文章の端々から滲み出てくる言葉の強さに「なんかすみません…」と書き手のお二方に頭を下げたくなるような圧を感じてしまったのも事実でした。本書に出てくる表現でいうところのシスジェンダーにとって、ト -