山内ふじ江のレビュー一覧

  • かはたれ 散在ガ池の河童猫

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     現代の日本(舞台は鎌倉。切り通しがあることでわかった)に河童が住む沼がある。あるとき家族を失い、ひとりぼっちになってしまった子どもの河童の八寸は、河童の長老に言われ、猫に化けて「人間観察修行」のために人間の住む町に出かけていく。猫に化ける河童とは奇天烈だとびっくりしたけど、確かに猫というのは人間観察にはもってこいの生物ではある。ふらりと外にいてもいいし、意外と人家にも入り込みやすい。とすると、そもそもなぜ河童なのか。開発により次第に河童の住む沼が失われ、そのせいで河童たちの間にトラブルが起き、八寸の家族がいなくなってしまうという冒頭のエピソードがあるので、自然の大切さがテーマなのかなと思ったのだが、八寸が町に出て場面が人間の世界に移ったあたりから、麻という一人の少女の心の描写がメインになっていく。母親を亡くしたことが実は大きな傷になっているのに、それを素直に出すことが出来ずにいた麻。お父さんもまた、そうだった。二人が取り繕いながら暮らす中、八寸がやってきて、河童であることが麻にばれたあたりから、麻は次第に自分の心を素直に見つめはじめる。
     比較的淡々とし、落ち着いた空気で展開する中で、お父さんの手紙の章はかなり感動的で心が揺さぶられた。お父さんも妻の死を受け入れ、娘との生活を新たに始めようとしていたけれど、実は娘ときちんと向き合っていなかった。八寸が現れ、麻が自分の心を覗き込むようになって、父親も娘と向き合うことができた。ここでようやく河童が出てくる理由がなんとなく理解できた。しっとりと月の光を浴びる美しい緑の小さな河童の八寸は、麻の心にぴったりとフィットするイメージだったのだろう。
     河童の八寸の話かと思いきや、麻という少女(と父親)の心の成長の物語だった。母親を亡くした娘と父(と飼い犬)の暮らしにある日いきなりやってきた不思議な生き物って設定はジブリのアニメを思い出す。あと児童文学だがちょっとペダンティックなところがある。

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    2026年04月12日
  • 鳥よめ

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    なんとも切なく悲しいお話。
    何も悪いことをしていないのに、ただ幸せに暮らしていたのに、死を選ぶしかなかった。
    それが戦争なのだとしたら、私はやっぱり戦争は嫌だ。

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    2023年05月14日
  • たそかれ 不知の物語

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    同じ作者の「かはたれ」の続編。
    「かはたれ」を補完し、さらに拡がりを持たせている。

    ただ、前作「かはたれ」を読まずに単独で楽しめるかと言えば少し疑問。単独作品としての完成度という点では「かはたれ」のほうが高いように感じた。

    種による時間の流れの違い、が切ない。
    犬のチェスタトンと河童の八寸が挨拶を交し合うラスト近くのシーンは、深く印象に残った。

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    2016年01月24日
  • たそかれ 不知の物語

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    かわたれのほうがよかったなあ。不知はかっこよかったけどね。かわたれのように河童と人が共に成長していくというところが描かれていない。不知が能力がありすぎてなんでもありになってしまう気がする。それにかわたれの内容が説明されすぎる。たそかれだけ読んでもわかりやすいといいと思う。

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    2015年12月12日
  • 鳥よめ

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    あまんきみこさんのやわらかい分が大好き
    これは切ないなあ
    ご自身の経験からやはり戦争について書かずにはいられないとおっしゃっておられた
    鳥になるしかなかった二人が幸せでありますように
    ≪ 灯台の あかりも消えて 悲しみが ≫

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    2015年08月29日
  • 鳥よめ

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    そこで戦争と絡めてきますか…。
    しかし、鶴の恩返しの時代と違って厳しくなったものですね、正体は知らせて良いけど、それを見られたら死んでしまうなんて。


    読み聞かせする本としては…
    昔話として読むにはあまりにも辛い。
    戦争の本として読むには、おとぎ話のよう。
    私はこの本は子供たち自身に読んでもらったほうがいいと思う。

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    2015年01月28日
  • たそかれ 不知の物語

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    不知が身の上を語るあたりまでは非常に良かった。
    これから不知が「死」をどう受容していくのかがカギだな、と思いつつ読んだら、ある意味ちょっと卑怯な展開。
    孤独な不知と音楽を愛する少年司との友情は美しいが・・・。
    突然河井君という少年が加わるのも、なんだかな、という感じ。
    著者の心に響く音楽を表現したかったのだろうけど。
    しかし、これ、ジブリが映画化するといいと思うな。
    幻想的な美しさ、河童と人間の友情、音楽、戦争、古いプール、過去へのタイムスリップ、どれも映像向き。映像にすれば、著者が聞かせたかった音楽も無理なく聴かせられる。
    クラシック通なら、この本に出てくる音楽はどれもおなじみだけど、メインの読者である小学校高学年から中学生くらいで、このメロディーがイメージできる子は本当に少ないと思う。
    ラフマニノフ、シューベルト、カザルス、バッハだよ。
    「ゴルトベルク」なんてのは、小中学生が好んで聴く曲とは思えない。しかもはっきりと「ゴルトベルク」やバッハと書いてあるわけじゃない。
    大人向けの小説ではしばしばあることだけど、容易に検索できない子供に、こういうのはどうなのか。
    沼にフルートを持っていったら、フルートが駄目になるのでは、など余計なことも考えた。
    八寸があまり活躍しないのも気になった。

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    2013年11月04日