くらはしれいのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
家を出て道路の向こうを眺めれば、少し先の丘の上には大きな観覧車(スカイウォーカー)が見える。丘の手前には2種類のコースター(レッドファルコン/エルフ)の雄大なコースに、風向きによっては乗っている人の絶叫が聞こえるドロップタワー(メテオ)の姿も。
そこは「ひらかたパーク」(通称:ひらパー)。一度も取り壊されずに現存するものでは日本最古の遊園地(by Wikipedia)。
そんなひらパーをモデルにした遊園地が舞台のこの本、そこに働く人たちの日々の屈託が描かれる。
ありがちなところから少しずらした登場人物の造形で、美点も欠点もそれぞれに描き分けられているところが良い。
好きな職場でなくても好きな仕事でなくても、開かれているイベントについては内容を把握しておくために初日に確認しておく紗英の、インフォメーションの仕事に対する姿勢が好き。
過度の思い入れは仕事の邪魔になると喝破する市子社長の、社員を見る目と配置に対する考え方が面白い。
園の植物を管理する山田さんとその奥さんの関係が羨ましく、清掃スタッフの八重子さんと別れた夫に託した息子との関係が切ない。
八重子さんが通う近所の食堂店主の、月1回、ようやってる、と自分で自分に言う生き方にもじんわりくる。
畑野智美さんの解説にも好感。
周辺の住民としては、読み始めてしばらくは、遊園地のことについて書かれてあることの元ネタが気になって(ほたランは駅から529歩だがひらパーは何歩だったけとか)、本筋が頭に入ってこずやや困った。(答は485歩(ピピン調べ))
温かくて佳い話になったので、ひらパーの関係者でも何でもないがちょっと嬉しく、久し振りに行ってみたくなった。