アリス・フィーニーのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ『彼と彼女の衝撃の瞬間』、『彼は彼女の顔が見えない』のアリス・フィーニー。
まさにこの著者が得意とする思わせぶりな記述、秘められた真実に翻弄されらるサスペンス。
今回のモチーフは母と娘。
今回は4人もの母または(かつ)娘の視点がひしめき合うので、今まで読んできた2作品を上回る交錯っぷり。
お互いの関係性が全っ然掴めない。
表面上の関係はともかく、「実は彼女がそうでないことを知っている」とか「彼女に本当のことを言えなくて申し訳ない」的なことがあちらこちらで出てくるもんだから、「え〜何を企んでるのー」が終始続く。
とある母の日にスーパーマーケットで赤ちゃんが連れ去られる事件が発生した記述から始まる。
女性は半ばパニック。ちょっと目を離した隙に。連れ去った女の姿も防犯カメラには映っていたが。。。
うって変わって現在の母の日、高齢者ケアホームに不服ながら入所させられている老女、そこで働く18歳の家出少女、老女を見舞うが険悪な仲の娘。
そして1人場面を離れ、刑務所の図書室に勤務するも、今日でここも最後とばかりに何やら企てごとを秘めた女。
程なくして老女の脱走とケアホーム所長が殺される事案が発生する。
誰が何をした?4人の関係性は?過去の事件との繋がりは?
事件を捜査するチャップマン刑事(耳には大量のピアス、髪にはピンクのハイライト入)が老女の娘に放った言葉、「ここには三人の容疑者とふたつの殺人事件、それに被害者がひとりいるようです。あなたは現在のところ、ひとり目の容疑者です」が物語をぐっと引き締める。
何それ、数、ちょっと合わなくない?
いやー、よくもまぁここまでもつれ合った物語を、事実を語るのを抑えに抑え、引っ張りに引っ張って紡ぎ上げたものだ。
得体の知れない緊迫感が続くものだから、終盤霧が晴れたときはふぅーと長い息止めが終わったかのような感覚になった。
個人的には不遜でキレっキレのチャップマンの活躍をもう少し楽しみたかったな。
直近2作はこのミスとかでも評判も良く、サスペンスとどんでん返しの次世代女王の座につくかと思いきや、本作はそこまでの評判でもなくちょっと下火に。
でも凄く緊迫感あって面白いし、そんなにマイナス要素ないと思うけど。
込み入り過ぎてリアルさに欠けるのと、あんまり同じ作風が続くのもってとこなのかな。
最新作『Beautiful Ugly』の邦訳望みます。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ続きが気になってすぐ読んでしまいました。タイトルにある通り、彼と彼女の視点からそれぞれ物語が進み、「犯人は一体誰!?」と気になってしまって、後半の辺りはハラハラして1人で犯人探しをしていました。
「この人が犯人か!」「?この人が犯人?」と次々と予想していた。犯人が犯人ではなくなり、結果的にこの人が…と言うアリスフィーニが得意とする、どんでん返しの連続だった。
個人的にはプリヤが好きだったかな!
アナの隠している秘密が、物語が進むにつれて、それぞれわかっていき、10代の5人組の事や、その5人組がそれぞれ殺されていき、次は自分か(アナか?)と言うところはすごいハラハラした。
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Posted by ブクログ
嘘と隠し事のてんこ盛り。彼と彼女にこれから何が起こるのか…これぞサスペンス #彼と彼女の衝撃の瞬間
■あらすじ
イギリス郊外の森で、女性が殺される事件が発生した。TVニュースの女性記者であったアナは、事件の取材で犯行現場に向かっていた。
一方、地元警察のジャックは、森で捜査の陣頭指揮をとる。彼は殺害された女性を見て思った。昨晩一緒にいた女だと…
■きっと読みたくなるレビュー
これぞ怒濤のサスペンス!面白いっ
次々と展開される場面描写が面白くて、どうやっていくのか気になる気になる。各章の最後の一文で、えっ?!といった、読者を決して休ませてくれない書きぶりが見事!
主人公二人の嘘と隠し事が読者を翻弄させて、なにが真実なのかよくわからない。しかし話の筋は通っていて、この二人の関係性ならそうなるよな~という納得感も高いんですよね。
関係者たちも嫌味っ気が多い人たちばかりで、しかもプロットやセリフ回しが鬼ウマイ。家族、同僚、友人、恋人、誰も彼もが犯人に見えてくる。
とにかく全編通してヒリヒリ感が絶え間なく押し寄せる。熱い呼吸がすぐそこで聞こえてくるようなんです、これは怖い!
そしてミステリーとしても、かなり強烈です。
ぜひ最後まで読んで、あなたも「衝撃の瞬間」を味わってください。
■本作の推しポイント
本作は人の苦悩を文学的な表現で綴るのが大変お上手。
一連のエピソードをもとに、人生の悩みを深く深く考察して哲学的な表現が多いです。特に年齢を重ねている私には、共感できる文章がいっぱいありました。
誰しも嘘、隠し事は持っている。
人は後悔したくない、弱いからこそ、薄っぺらい希望で上塗りして生きているのだ。
確かに、ひとりきりで現実を直視するには厳しすぎる世の中ですよね。支え合うことができる大切な人を見つけられることこそ、人生の幸せだと思いました。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ『彼と彼女の衝撃の瞬間』のアリス・フィーニーの最新作(といっても昨年7月刊行ですが)。
今回も”彼”(相貌失認という障がいを持ち、顔を見てもそれが誰かわからないアダム)と”彼女”(その妻アメリア)+1(謎の女ロビン)の交互モノローグで展開されていく緊迫感溢れるサスペンス。
ただ、今回序盤は事件らしい事件は起きない。
結婚生活に行き詰まりを感じている2人は、何とかその閉塞感を打ち砕こうと”彼女”の職場のクリスマスくじで当たった週末の旅行に繰り出し、そこで見舞われる災難(吹雪、やっと辿り着いたチャペルを改装したと思われるうすら寒い宿泊施設、そこで起きる不気味な事象の数々)が展開されていく。
間に挟み込まれる、どうにも真意を掴みかねる意味深な2人の思惑と、12年前から1年毎に2人の結婚記念日にしたためたとされる”彼女”からの秘密の手紙。
すれ違いを重ねながら根底にある愛情でどうにか12年の月日を繋ぎ止めてきたように見える”彼”と”彼女”のように見えるが、果たしてこの物語の行きつく先は。。。
前作のような殺人事件ありき、犯人はどっちだ!?的なノリではないので、リーダビリティが低めで正直前作は越えられていないかなぁという感想。
それでも最後には明かされる各々の秘密に紐づく意外な真実がもたらす結末は”なるほど”のはまり具合。
原題は『Rock,Paper,Scissors』。
物語中、”彼”の著した作中作のタイトルとしても登場するキーワード。
必ず”彼”が紙を出し、”彼女”がハサミを出す、という暗黙の合意を続けてきた中で、”彼女”が勝ったら結婚生活を終わりにするという賭けの場面に”彼”は勝とうと”彼女”は負けようと石のあいこで始まる勝負の場面には、前後の展開は置いておいて「されど夫婦」の愛情の形を見た気がしてぐっとくるものがあった。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ彼(ロンドンから車で2時間の英国の典型的な町、ブラックダウンのジャック警部)と彼女(幸運が重なりBBCキャスターの座を手にしていたが、産休明けの正職復帰により一夜にしてリポーターへ格下げされたアナ)+1の交互モノローグが織りなすページ捲りが止まらなくなる秀作サスペンス。
彼と彼女のルーツとなっているスモールタウン、ブラックダウンの町で起きた連続殺人事件。
最初の被害者はレイチェル・ホプキンズ、昨夜の彼の密会相手、かつ彼女の学生時代のクラスメイト。
のっけからのっぴきらない状況に陥る彼だが、次々に起きる不可解な状況、秘密を匂わせる意味深なモノローグがぐさぐさ刺さってきて緊迫感がたまらない。
いかにもな目くらましではあるのだが、上手いこと揺れ動かしてくるので、もしかして、、、と著者に翻弄されっぱなし。
これでストレートな結末だったら肩透かしだぞ、と思ったのも杞憂で、しっかりナナメからの真相。
星5でもいいくらいかなと思ったけれど、唯一無二ではないかなかと思い星4止まり。
でも、癖ないので間違いなく楽しめる海外ミステリ。 -
Posted by ブクログ
巧いなー
この字の巧い
とっても巧いと思いました
4つの視点で少しずつ進む物語
少しずつ明かされる物語
そして驚きをもってひとつ明かされると
空いた場所に新たな謎が埋め込まれる
伏線は回収されても全くスッキリさせてくれない
相貌失認症がギミックとしてすごい生かされてる
文章で構築される隠された世界にさらに相貌失認症を加えることで二重三重の目眩ましになっている
もう匠の技をしっかりと堪能させて頂きました
でもこれサスペンスなんだよねー
気付いたんだけど自分そこまでサスペンス好きじゃないみたい
この匠の技がミステリーとしてちゃんと昇華してたら文句なく★5だったんだけど
面白いよりも巧いが先にきちゃったな -
Posted by ブクログ
実に面白いミステリーでたいへん満足した。フィニーは"twisty, turny books"が好みだと言っているそうだが、本書はツイストがひじょうに利いていてジェットコースター・ライドが楽しめる一級のエンタメになっている。
だいたいは当てにならない帯(宣伝文句)だが、本書の「驚異の一気読み、驚愕のどんでん返し!」は正にその通り。
以下、少しネタバレになるので未読の方はスルーを。
p.66にアメリアが「10年という時間は顔が記憶に残らない相手と結婚を続けるのには長過ぎる」と言っており、読み返した際に、『これっておかしいよな!』と思った(アメリアはアダムと結婚して2年しか経っていない)。しかし、終盤p.351でアメリアは「10年は、結婚生活を送るには長い時間で、アダムとロビンは自然な経過をたどったのだ」と言っており、p.66の表現は自分とアダムとではなく、ロビンとアダムのことであったことがわかる。つまり、p.66の表現は、アメリアとアダムが10年間結婚していたかのように読者に思わせる"red herring"だったわけ。アンフェアかと問われれば、「ま、セーフかな」と思う。