松島芳彦のレビュー一覧

  • スターリンの図書室:独裁者または読書家の横顔

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    ネタバレ

    「嫌っているだけでは、彼がなぜ、いかにしてあのような所業に走ったのかを説明することはできない。」

    これは著者による非常に重要な指摘です。スターリンを単なる大悪人と片付けてしまったらそこで思考は終了です。

    なぜスターリンは独裁者となれたのか、その背景となったものは何だったのか、それを「読書」という観点から見ていく本書は非常に刺激的です。「読書」というある意味独裁者と結びつきにくいマイナーな切り口から攻めていく著者の勇気には驚くしかありません。非常に斬新です。

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    2024年08月23日
  • チェルノブイリ:「平和の原子力」の闇

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    この本は単にチェルノブイリ原発の事故そのものだけを語るのではなく、この事故が起きるそもそもの原因となったソ連の構造そのものについても多く言及しています。

    これはものすごく興味深かったです。ソ連末期がどのような状態だったのかということもこの本で知ることができます。

    ロシア・ウクライナ問題に揺れる今、原発の問題が強く注視されています。

    日本も全く他人事ではない原発事故について大きな示唆を与えてくれる衝撃の一冊です。

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    2024年08月19日
  • チェルノブイリ:「平和の原子力」の闇

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    チェルノブイリの全容がわかる素晴らしい本。ものすごく分厚いが半分は参考文献。笑 ソ連の秘密主義、秘匿主義は恐ろしいな。これだけの大事故を起こしても最初はまったく報道してない(そもそも事故を信じてない)し。ソ連の教訓を生かしてほしい。放射線はみえないからプリーピャチの人が実感なかった気持ちもわかるなあ。

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    2023年08月27日
  • 冷たい戦争から熱い平和へ(上):プーチンとオバマ、トランプの米露外交

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    【これは本書の結論でもある。プーチンが次第に正気を取り戻し、西側との融和を模索するだろうという期待を持つことは、もうできない。だからロシアと西側の融合という事業の終結を宣言したのだ】(文中より引用)

    若い頃からロシア(当時はソ連)に親しみ、オバマ政権において駐ロシア大使を務めた人物の回顧録。米露関係の「リセット」を掲げた試みは、いかにして著者自身が認めるように「失敗」に終わることになってしまったのか。著者は、プーチン大統領から蛇蝎のごとく嫌われたマイケル・マクフォール。訳者は、ロシア関係の翻訳も多い松島芳彦。原題は、『From Cold War to Hot Peace: The Insid

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    2022年04月19日
  • スターリンの図書室:独裁者または読書家の横顔

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    本書はスターリンの読書家としての一面に光を当てている。スターリンの蔵書は二万五千冊にも及び、彼の知識欲と活字への崇拝は並々ならぬものがあったらしい。そして、その膨大な蔵書に残された書き込みからスターリンの内面に踏み込んでいる。

    しかし、スターリンの精神を覗くために、なぜそんな面倒な手続きをする必要があるのか?
    それは、スターリンが自分について語らないからだ。政治家というのは自分の話ばかりしたがる人々である。しかしスターリンは自伝も日記も回想録も残さなかった。本書でも触れられているとおり、自分について語る言葉に対して非常に禁欲的で、その結果、意外とスターリンのまともな評伝はないのである。

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    2023年12月02日
  • チェルノブイリ:「平和の原子力」の闇

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    ・読むのが辛くなるくらいリアル!
    ・ボリュームはすごいが興味があればどんどん読める
    ・発電所と、プリチャピの街の歴史も知れる

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    2023年04月03日
  • 冷たい戦争から熱い平和へ(上):プーチンとオバマ、トランプの米露外交

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    元外交官の話らしく、学術論文のようなかっちりした分析からは遠いが、関係者の人となりや交渉の現場がありありと伝わってくる。
    中でもプーチンが米国へ不信を募らせる様子が、どのタイミングでどのように変わっていったかが、あるいは筆者がそう見ているかが克明に分かる。下巻がどうなるか。

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    2022年05月06日
  • チェルノブイリ:「平和の原子力」の闇

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    1986年4月26日の未明に起きたチェルノブイリ原発事故について、事故の遠因、事故時の現場の対応、その後の対応や被害、さらには事故が社会に及ぼした影響まで様々な側面から記載されている。当時の原発職員、消防士、兵士などが放射能の危険を知ってか知らずか、結果的に大量被ばくになるのを顧みずに事故対応に当たったことと、旧ソ連の秘密主義的な対応により住民避難が遅れたことが印象的。
    奇しくも事故日直前から読み始め、4月26日に行われた現地の追悼式典をニュースで見ることになった。それにしても、ウクライナはロシアの侵攻を受け、チェルノブイリ原発も攻撃を受けるなど、原発事故の悲惨な結果を忘れたかのようなことが行

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    2022年05月01日