【感想・ネタバレ】冷たい戦争から熱い平和へ(上):プーチンとオバマ、トランプの米露外交のレビュー

あらすじ

オバマ政権の駐露米大使が明かす緊迫の外交

バラク・オバマとジョー・バイデンの下で、米露関係を対立から協調へと「リセット」する政策を立案し、「ロシアの民主化と西側への統合」を推進した政治学者が回想する、外交の舞台裏とは? ヒラリー・クリントンら米政界の重鎮たちが推薦する、NYタイムズ・ベストセラー!
著者はスタンフォード大学政治学教授。オバマ政権の対露外交を主導し、駐露大使になってからはSNSを駆使して、ロシアの一般市民にロシア語で直接語りかける異色の大使だった。しかし、国内メディアを支配して情報を統制するウラジーミル・プーチンは激怒し、新任大使を「好ましからざる人物」として、ロシアへの再入国を拒否したのだった。
本書には、一人の学者、一人の外交官、そして家庭人が、ロシアや国際情勢の荒波にもまれながら、現実に対処してゆく姿と心理が描かれている。著者は客観的に自らとロシアを観察しており、国際情勢に影響力を行使するプーチンの内面を探る手がかりにも満ちている。
「エピローグ」では、ドナルド・トランプ周辺とロシア、プーチンとの「怪しい関係」に章を割いている。ロシアが介入した2016年大統領選挙の真相にも迫り、興味深い。

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Posted by ブクログ

【これは本書の結論でもある。プーチンが次第に正気を取り戻し、西側との融和を模索するだろうという期待を持つことは、もうできない。だからロシアと西側の融合という事業の終結を宣言したのだ】(文中より引用)

若い頃からロシア(当時はソ連)に親しみ、オバマ政権において駐ロシア大使を務めた人物の回顧録。米露関係の「リセット」を掲げた試みは、いかにして著者自身が認めるように「失敗」に終わることになってしまったのか。著者は、プーチン大統領から蛇蝎のごとく嫌われたマイケル・マクフォール。訳者は、ロシア関係の翻訳も多い松島芳彦。原題は、『From Cold War to Hot Peace: The Inside Story of Russia and America』。

ロシアを愛し、ロシアに飛び込み、そしてロシアとの関係を変えようと試みた著者が、「生涯をかけた仕事が失敗に終わった事実を認めねばならない」と書き記す時の無念を思うと、胸にとてつもなく重たく冷たい感情が去来するように感じられました。著者自身が客観視して自身の半生を振り返っており、分厚いですが読み応え抜群の一冊でした。

これは心から読んでよかったと思う☆5つ

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2022年04月19日

Posted by ブクログ

元外交官の話らしく、学術論文のようなかっちりした分析からは遠いが、関係者の人となりや交渉の現場がありありと伝わってくる。
中でもプーチンが米国へ不信を募らせる様子が、どのタイミングでどのように変わっていったかが、あるいは筆者がそう見ているかが克明に分かる。下巻がどうなるか。

0
2022年05月06日

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