島口大樹のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
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青春小説の
新領域。
文体が暴れまわる。
「オン・ザ・プラネット」で芥川賞候補の新星
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個人的にはとても好みでした。
たぶん20代で読んでたら、
もっと好きになってたと思います。笑
日本一暑い熊谷に住む高校生4人。
短い本なんですが、そのなかにむわっとするような暑さとか空気とか閉塞感とか、とにかくぎゅっと詰まってます。
行き止まりの先に行こうとするというか。
通勤電車の中で読み終えたのですが、
あまりにも良くて、
変なテンションのまま職場に行きまし -
Posted by ブクログ
ネタバレ極めて難解だった。
そして面白かった。読んだタイミングが良かった。
初めて読んだ作家だったが、まさかこれほどまでに素晴らしいものとは思っていなかった。ぜひ芥川賞を獲ってほしい。
文体は確かに特異なのだが、それよりも表現の、特に比喩の美しさが僕は好みだった。
苦しい小説だった。
ひとつになる瞬間がたしかにあった(p.68)ことが、この二者の主観が描かれる文体により明確になっている。だからこそラストにかけての苦しさはより大きなものになっている。
ただ一志の一人称のみから描かれていれば、杏さんへ怒りが湧いてしまうようになっていたと思うが、この書き方だとひたすら苦しい。
答えは出ていない。僕も考えてい -
Posted by ブクログ
映画を観た後に読んだ。
「この世のあらゆる暴力から、自分の範囲を守るんだよ」、「みんな表現者なんだよ」。
やっぱり台詞がかっこよくて惹かれる。
映画が余白多めだったのと対照的に、こっちはかなり細かく描写されてる。書き手の癖もあるけど。
彩人と日向の馴れ初めとか、治虫の心情とか。
大いなる喪失を抱えた機能不全の家族なんだけど、全員が背負って、向き合って、闘っている。
前頭側頭葉変性症の母親の症状を、過去をまだ見ているのだという風に表現していたのが気に入った。
不条理の中でも幸せだった過去は変わらない訳で。
風間家の原風景とも言える、庭での兄弟と父親でのミット打ちの風景が何度も家族を繋いでいる。
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Posted by ブクログ
児童養護施設で育った2人が再会し、失った記憶を取り戻そうとする。
視点人物が移り変わり、主語が変わる。それは2人の人が一つに溶け込んでいくような、2人の関係性が密になっていくのを表しているようにも感じる。
そして、2人が兄弟であったことが過去の記憶を知ることにより判明する。
そこまでは2人が1人であったような文体から、関係性はより強固な血縁の繋がりがあるのだとわかったのにも関わらず、2人が離れていく様が文体からも伝わる。
そして、最後の場面。
お世話になっていた児童養護施設長の言葉。
「あんまり覚えてねえんだけどなあ、お前さんがそう言ってくれるなら嬉しいこっだな」
記憶にこだわる登場人物とは、 -
Posted by ブクログ
ネタバレ難しい。だがしかし面白い。
詩的で私的な文章。そのすべてを拾えてはいない。
だがここに敷かれている雰囲気は儚くも美しい青春の一回性を孕んでいる。
僕が生きる今は、過去から連続していて未来に繋がっている。しかし僕が生きているのは確実に、今だけ、なのである。
98 どこに向かうか誰が何をするかわからない常に惑い揺れ動く今を抱えた人間が交差し交錯して織りなす綱渡りが延々と繰り返される日常のワンシーン、その都度奇跡的でだからこそ危険性を孕む一回性。その先が見えなくとも暗闇の中で不安定な綱の上を歩く、歩こうとする一瞬のことを、高島は臨場感、すなわち、今って感じ、と呼んだ。
100 認めてあげない -
Posted by ブクログ
ネタバレ⚫︎感想
ストーリーでは二人の記憶が一つに収束していき、描き方では「僕」と「私」の視点が混ざり合い一つに見えるようにも仕掛けてあって、文章でこういう試みができるんだなぁと思った。
⚫︎あらすじ(本概要より転載)
「一緒に、失くした記憶を探しに行こう」。彼女の言葉で、僕らの旅は始まった。
過去を奪うものたちに抗い、ままならない現在を越えていく、〈愛と記憶〉をめぐる冒険。
デビュー作『鳥がぼくらは祈り、』、芥川賞候補作『オン・ザ・プラネット』を超える、鮮烈な飛躍作!
「ねえ、覚えてる?」--両親を知らずに育ち、就職した僕〈一志〉のもとに、見知らぬ女性が訪れる。
〈杏〉と名乗る彼女は忘れていた