島口大樹のレビュー一覧

  • 若き見知らぬ者たち

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    映画のために書き下ろされた、ということで映画を観る前に読んでみました。初めての作家さんでしたが場面の切り替え方や言葉の紡ぎ方が独特でとてもすき。他の作品も読みたくなってしまう。
    とはいえ、この作品は初っ端から最後まで暗く重く苦しく切ないことばかりしか起こらないので、絶望的な気持ちになってしまった。
    ただ誰にでも現実的に起こりうるリアリティが混ざっているので、簡単に客観視もできず、深く考えさせられることも多かったかな。
    日向の飄々とした姿が愛なのか諦めなのか優しさなのか、映画でどんな女性として登場するのかが楽しみ。

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    2024年10月09日
  • 遠い指先が触れて

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    ネタバレ

    ⚫︎感想
    ストーリーでは二人の記憶が一つに収束していき、描き方では「僕」と「私」の視点が混ざり合い一つに見えるようにも仕掛けてあって、文章でこういう試みができるんだなぁと思った。

    ⚫︎あらすじ(本概要より転載)

    「一緒に、失くした記憶を探しに行こう」。彼女の言葉で、僕らの旅は始まった。
    過去を奪うものたちに抗い、ままならない現在を越えていく、〈愛と記憶〉をめぐる冒険。
    デビュー作『鳥がぼくらは祈り、』、芥川賞候補作『オン・ザ・プラネット』を超える、鮮烈な飛躍作!

    「ねえ、覚えてる?」--両親を知らずに育ち、就職した僕〈一志〉のもとに、見知らぬ女性が訪れる。
    〈杏〉と名乗る彼女は忘れていた

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    2024年02月27日
  • 遠い指先が触れて

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    ネタバレ

    人称が入れ替わる独特の文体なので、
    なんとなく、彼と彼女が溶け合うような感覚でふわふわと読んだ。

    小さな頃の記憶って、この物語のような外部要因がなくても
    親や親戚から聞いた(聞かされた)話のツギハギだったりするので、
    記憶の不思議さを感じる。

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    2023年08月01日
  • 遠い指先が触れて

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    ネタバレ

    主人公の元へ、児童養護施設で一緒だった「杏」と名乗る女性が訪ねてくる。
    杏が語る2人が幼少時にされた事とは─。

    タイトルと装丁で読んだんですが、すごく内容にマッチしてると思う。
    意識があっちへ行きこっちへ行きする、「僕」と「私」が混じりあっていく、のを文章に起こしたような文体。
    (文学的なんだけど、この本の後は理路整然としたミステリーを読みたくなった)
    「失った記憶も私の人生の一部だから」~ってテレビドラマのテンプレみたいな台詞を読みながら、児童養護施設ってことは十中八九ろくでもない児童虐待の記憶では…?と思ってたけど。知らない方が幸せなこともあるよね。
    芥川賞系統だな~って、後味。

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    2023年03月04日
  • 遠い指先が触れて

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    文字のボリュームと文章の雰囲気から「わりとサクッと読めるかな。」という最初の印象は早々に外れる。
    僕の視点と彼女の視点が1ページの中で何度も入れ替わり、じっくりたどるようにしか読み進められない。
    二人の関係性を表しているのだろう。
    次回の芥川賞候補になりそうな作品。

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    2022年12月10日
  • オン・ザ・プラネット

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    大学生の日常を切り取ったような描写のため、まとまりのない会話はまさに現実だったと感じた。哲学的な発言は理解に苦しむことが多々あったが、これもこの本の特徴であり面白さのひとつなのだろう。hspである私の頭の中もこのようにまとまりのない事を常に考えている。故になぜか親近感がわいた。

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    2022年05月28日
  • オン・ザ・プラネット

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    第166回芥川賞候補作、島口大樹さんの作品は初読み。今時の若者といった感じの男子3名女子1名の4人が、映画を撮るために車で鳥取砂丘を目指すロードノベル。テーマは「記憶」で、横浜~鳥取までに交わされるすべての会話に意味が詰まっており、主人公の心理描写が詳細に描かれる。内容はメタフィクション的なかんじで、哲学的で難解と思う人も多いと思う。ラスト20ページはかなりいい感じで、読後感はよかった。

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    2022年02月23日
  • オン・ザ・プラネット

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    旅をしているにもかかわらず、ずっと密室で対話しているような錯覚に陥る。情景が排除され、それぞれの不安定で内省的な言葉が行き交うからだろう。「なんとなくわかるよ。なんとなくわかるんだけどさ、よくわかんない。」不安定さを端的に表している。

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    2022年02月17日
  • オン・ザ・プラネット

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    小説というか、ロードムービー。

    東京の若者が、鳥取を目指すロードムービー。
    淡々と映画を撮っているような、その文章の進み方に、なんとなく読み続けて鳥取へ。
    ロードムービーに、作者の意図とかはあるのか?
    ロードムービーは、ロードムービーであることがその存在の理由に思える。

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    2022年02月16日
  • オン・ザ・プラネット

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    この世界じゃないどこかに、弟がいる!と思っているトリキ。
    若者が話す、今時の言葉や、言い方などがずっと続くが、
    リズム感がいいので読みやすい。
    ゴミなのか?海に落ちている物を集める女子について、あるいは犬の散歩について話すマーヤ。
    浜松のトリキの実家に泊まり、鳥取へ。
    「世界って何?」
    話が尽きない。
    青春だなぁと思う。
    表紙も印象的。
    芥川賞ってこうだよ、結局、何だろう?わからん!って感じ。
    登場人物の島口って作者?
    1羽持ち帰った鳥の話は、ホラーのようで怖すぎる。終わり方の印象が強い。

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    2022年02月06日
  • オン・ザ・プラネット

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    芥川賞候補作ということで読んでみた。記憶や現実と虚構など概念的な話が多く難しかった。学生たちがそれぞれの考えを述べて、互いに影響しあいながら話が発展していく様子と、観客が映画を観て、または読者が小説を読んで何を感じて何を考えるか、通じるところがあり面白いと思った。同じものを見てもそれぞれの過去によって連想するものは違い、考えることも変わっていく。そんなことを私はこの作品から考えた。

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    2022年01月28日
  • オン・ザ・プラネット

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    哲学的な要素が多く含まれていて難解でした。一行が長く、何の話をしているのか捉えきれない部分もあって情報量が多く、処理しきれないところがありました。
    けど、難しく話しているのであって共感できる部分も確かにありました。

    後半は展開が早く進んで比較的読みやすかったです。まだ若い作家さんなのにこれほどの文章力があるのかと感嘆しました。
    次回作にも期待したいと思います。

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    2022年01月26日
  • オン・ザ・プラネット

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    難しい…会話部分の深い深いやりとりは一語一句拾ってしまうと読むのが大変かも。
    雰囲気を楽しむ作品なのかなーと思った。
    あと、後半になると一気に話が進みます。

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    2022年01月19日