高楼方子のレビュー一覧

  • 十五少年漂流記

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    高楼方子さんによる『十五少年漂流記』の短縮版。豊かでありつつも厳しい自然環境の中での、子供達だけでの漂流生活が、知恵と工夫で徐々に整っていく様子は読んでいて飽きない。本書の8倍の長さの原作をまとめたそうで、展開が早すぎる部分や、説明や描写が物足りない場面もあったので、完訳も読んでみようと思う。常に現実を怯むことなく直視して、精一杯生きる姿は潔く、真/芯の強さとは何かを考えさせられる。

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    2021年01月12日
  • ゆゆのつづき

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    ふとした瞬間に、過去に引き戻され、その時の記憶や感情が蘇ってしまうことはあるなぁ。
    子供らしくなかった私。周りの大人たちの評価にいつしか合わせるように振る舞っていた。本当に欲しいものを子供らしく口にできなくて、深く後悔したことを、いまだに思い出すことがある。

    期待して妄想し、その通りにならなくて失望し、うまく感情を表現することもできず。
    時には周りに当たり散らし。
    いつしか、期待なんかしなければ楽だ、という生き方をしてきた。
    だから、
    主人公の心の動きは、よくわかる。
    私と同年代だということもあるし、こんな年になっても、完結してない思いって、あるんだよね。うまく整理出来ないけど。

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    2020年02月21日
  • ゆゆのつづき

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    ネタバレ

    心に溢れてくるもので胸がいっぱい、素敵なことが起こると信じていた『いちばんわたしらしいわたし』と思えた11歳のゆゆ。
    失望することをおそれ心の内を沈める大人になった57歳の由々。
    忘れていたあの夏の日と今が繋がることで、11歳のゆゆが今の由々の中につづいている、今の『私らしい私』に気づいていく。
    その夏、ゆゆも由々もどちらも痛みを伴う経験をしながら、忘れられない時を過ごした。2つの夏を繋ぐ魔法。
    その魔法のかけ方がなんとも素敵だ。
    ピアノの旋律、朝の空気の匂い、黄の花のワンピース、本…世界の描き方がしっとりと美しい。
    高楼方子さんの絵本や児童文学で描く子どもや少女は等身大で愛らしい。初の文芸作

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    2020年01月10日
  • 4ミリ同盟

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    大好きな高楼方子さんの作品。ポイット氏の住む地方では、年齢や時期、その人に会ったタイミングで初めて食べることができるようにる、みんなそれを心待ちにしている果実がある。
    やさしく切ない、遠い夢のような味のするフラココの実。けれど一度食べると、自分の中の何かが消えてしまうらしい。しかも何が消えてしまうのかは実は誰にも分からない…ポイット氏は何度も食べようとするのだけれど、48歳になった今でも食べることができなくて……

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    2019年07月06日
  • ニレの木広場のモモモ館

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    本を読むだけじゃなくて、秘密基地を作るだけじゃなくて、何かを作り出すことで遊ぶ…ということも、子ども時代にしてみたかったなぁと。
    出てくる大人が魅力的で憧れます。

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    2019年03月10日
  • 4ミリ同盟

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    児童書の体裁で、子どもが読んでももちろん楽しいけど、大人にこそ読んでほしい。
     まず感心するのは高楼さんの言葉のセンスの良さ。登場人物の名前も、フラココの実という名前も、(5ミリでも9ミリでも1センチでもなく)4ミリというのも絶妙。ヘリオトロープ色というのも。ヘリオトロープって聞いたことはあってもよほど花が好きな人や色に詳しい人でないと、どういう色か思い浮かばない。(実はちゃんと表紙に描いてあるんだけど)一体どんな素敵な色なのかとすごく気になる。あー気になる気になると思いながら読むので余計に想像してしまう。上手い。
    こういう不思議な物語は、読者をその世界にスッと連れて行けるかが重要なのだけど、

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    2018年05月27日
  • ニレの木広場のモモモ館

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    ある土曜日、ニレの木の前で出会った小山モモ(5年)、小山モカ(5年)、森カンタ(4年)。
    はじめて会った三人だけど、なんだか気が合って、ニレの木広場の近くにある児童館で、一緒に壁新聞を作ることにした。家の形の壁新聞。窓を開けると、記事が書いてある、ちょっと楽しい壁新聞。

    警察が扱うような大きな事件はないけど、三人の集めた記事から小さな出来事がつながって・・・

    高楼方子さんらしい、かわいい、あったかい物語。

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    2016年08月01日
  • ニレの木広場のモモモ館

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    壁新聞作りの仲間に自分も入りたい!と思わせる要素がたっぷり。たかどのほうこさんらしい優しいストーリーと謎解き。主人公は5年生だけど、対象は3、4年生ぐらいからかな。行動力があって優しいこんな高学年になりたいなと憧れを誘います。

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    2016年07月27日
  • ニレの木広場のモモモ館

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    ネタバレ

    やっぱ高楼さんのおはなしはいいですねー。
    壁新聞作成に夢中になる子どもたちが微笑ましく、
    読んでる間、ほおが緩みっぱなしでした。
    この町探検!ってな感じでしょうか。
    バスのおじいさんの正体にはビックリ。
    そーくるかあっという感じ。
    まんまる画家さんにもすっかりだまされました。
    ニレの木違いで始まった縁。
    いい出会いを重ねてるなあっとしみじみ羨ましくなる一冊。

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    2015年12月16日
  • 十五少年漂流記

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    停泊していた船が動き出してしまい、15人の少年たちを乗せた船は孤島へ流れ着いた。
    知恵と勇気と一致団結しながら、2年もの歳月を彼らは、その島で生活していく。

    まず、登場人物が多いので、挿絵があって助かった。
    把握するまでに何度見直したことか。

    少年たちは出身地も様々で、その国々の個性が少年たちに反映されているようだ。
    プライドの高いイギリス出身のドニファンには、「また君か…」と何度も思ったし、ドニファンに常に味方する少年たちは、まるでハリーポッターのマルフォイ+αそっくり。
    それでも、年齢もばらばらの少年たちが、年長者たちに統率されながら、規律を作り、知恵を絞り、2年という長い歳月を乗り越

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    2024年01月20日
  • ゆゆのつづき

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    ネタバレ

    お気に入りの服を着て、何か素敵なことが起こらないかなーーーっとワクワクする女の子の心、
    めっちゃわかる。
    ってゆーか多分今でもある
    けど、ゆゆのその期待は見事なまでにどんどん裏切られてゆく。
    これ、子供が読んだら面白いのかな?
    まあ題名は つづき だからな
    そのつづき の果てに、まさにこれこそ人生の贈り物っと言ったところ

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    2023年06月29日
  • ゆゆのつづき

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    児童書でよく読んでいる高楼方子さんの本。
    「大人の女性たちに読んでほしい」というオビの推薦文もあり読みましたが、ちょっと期待が高すぎた印象。

    黄の花のワンピース
    ディアベリのソナチネ
    十五少年漂流記
    ジェラールフィリップ

    高楼方子さんらしい、夢のあるほわっとしたお話ではありました。


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    2023年04月12日
  • ゆゆのつづき

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    子供向けの本かと思いきやこちらは、子供向けの名作をたくさん書いてきた著者が大人のために書いたものだという。個人的にははまらない方でした。

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    2022年03月07日
  • 4ミリ同盟

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    高楼方子さんの作品は、「ゆゆのつづき」以来、久しぶりに読みましたが、今作はユニークな中にも、ひっそりと大切なものが潜んでいる、おとぎ話のような面白さを感じました。

    「フラココノ実」を食べられない現実に、不安を抱えて生きる、四十代の主人公「ポイット氏」が、同じ仲間三人と協力して、なんとか実を食べようとお互いに協力し手を結んだのが、「4ミリ同盟」。

    同じ仲間と書いたが、細かい点での嗜好というか、考え方の違いを強調しているところが、重要なのかなと思いました。フラココノ実や、周りの考え方に惑わされずに、あくまで現実に起こったことを冷静に見つめる、と。児童書だけど、なんだか大人も読めて奥が深いという

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    2024年11月10日
  • ゆゆのつづき

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    ネタバレ

    ああ、「期待しなければ失望することはない」と私も思ったことありますね。むしろ、私の場合は、単に傷付くのが嫌なだけですが。主人公「ゆゆ」の11歳の夏の1日の思い出と、40数年後の現在の「由々」の夏の日々の出来事が思わぬ形で様々にリンクする物語は、音楽、文学、町や自然の美しさなども絡め、瑞々しくも、匂いを感じさせてくれるような文体が心地好く感じられました。そのリンクの多さに、ちょっと偶然が過ぎるかなと思ったりもしましたが、龍彦とれい子の場合は、由々がずっと続けてきた翻訳の仕事によって、つながったのだから、それはやはり、由々自身が引き寄せたと考えても良いのではないかと思います。そう考えると、やはり人

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    2021年05月25日
  • 4ミリ同盟

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    ネタバレ

    ポイット氏はフラココノ実を食べたことがない。

    この本の世界では、人はある時期がくるとみんなフラココノ実を食るようになる。はじめて食べる時には、未知の味を味わおうと大人びたふうを装ったり、精神鍛錬に励んだりする人もいれば、逆にフラココノ実を拒否しようとする人もいる。けれど、一人一人違う「食べ時」が来たら、人はフラココノ実を食べずにはいられない。
    大きな湖の中程にあるフラココノ島にある木になるフラココノ実。一度食べたら、毎月一度食べに行くことになるが、そうなると、フラココノ実は日常のひとつでしかなくなる。
    大人はほぼ、フラココノ実を食べている。

    だけど、ポイット氏は、そこそこおじさんで、仕事も

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    2018年05月17日