パヴェーゼのレビュー一覧

  • 月と篝火

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    あるとき書店で見かけて以来、中身をほとんど読みもせず、これを読むまでは死ぬまい、と心に決めた本である。それを読んでしまったのだが、やっぱり、自分の直感に誤りはなかったと思う。内容についてここであらためて語ることは野暮でしかないので、語らない。まあ、これはどんな話にも共通しているけれど。気になったら読めばいいと思うし、気にならなければ読まなくてもよい。ただ、気になったのなら必ず読んだほうがよい。そんな話。

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    2022年10月20日
  • 流刑

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    実体験を主人公に仮託した自伝小説
    反ファシズム活動の罪で
    南イタリアの僻村へ移送された
    人権を奪われた者の
    研ぎ澄まされた感性の開放が静かで美しい
    近くて遠い海との間合いが
    対人関係の心理を定義しているのか
    詩情溢れる物語の構成も
    主人公の沈痛な心情に迫っていた

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    2022年06月24日
  • 祭の夜

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    初めてのパヴェーゼ。
    素晴らしかった…!!
    美しい文章なんだけれど、時々驚くような事が書いてある。
    彼の人生はどうやら波乱に満ちていて、その繊細さ故に苦しみも大きく、自殺してしまった。
    あとがきを読んで、若干自伝的だと分かった。
    他にもパヴェーゼ文学が積んであるので、色々読む覚悟でいます。

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    2021年07月06日
  • 月と篝火

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    残酷さも貧しさも全ては美しい過去となり郷愁の中に葬られる。
    地続きの今がその先にあるとしても。

    篝火はすぐに焚けないけれど、外に出れば今夜も綺麗な月が浮かんでいます。

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    2018年11月13日
  • 月と篝火

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    一切が回帰する世界のなかで、物語は象徴に導かれながらすすみ、やがて始まりに到達する。すでに決められた世界から飛躍し、別の物語へと繋がるためには、神話と時代が必要なのだ。
    パヴェーゼが目指したのは神々がまだ人間、動物と平等だった時代の共産主義的ユートピアなのだろうか。とすれば、死すべき者は常に不死である神々なのだ。

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    2014年06月30日
  • 祭の夜

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    パヴェーゼの魅力は、裏切りや孤独という自己に内包されて行く円が中心に向かって進んで行く過程で、収斂がいつか反転し、外へ向かって、世界に対して広がりを見せる極点に到達する閾が存在することだ。
    極端に個人的な内容こそが世界と繋がりうる。時代を超越し、この時代においてなお世界に対する問いがなされている。

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    2014年04月27日
  • 月と篝火

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    p84. どうやって人に説明できただろう。ぼくが求めているのは、かつて見たことがあるものを、ふたたび見たいだけだ、などと?

    初パヴェーゼ。作者も作品も知らなかったたので、「ぼく」の背景を知らず、この主人公の行動や人々の会話が何を意味するか分からず、最初は読んでいるだけだった。そのうち、イタリアの寒村の風景、「私生児」アングィッラの暮らしと、戦争で変わってしまった人々と村、祭りや労働の記憶などの味わいを感じた。ヌートのクラリネット、篝火、玉蜀黍の皮、孤児院と小作人、荒家と山羊と榛の茂み、葡萄とポレンタ、チントヴァリーノ老婆、マッテーオ旦那と2人の娘、司祭とパルチザン。貧しさの記憶と故郷パドリー

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    2020年12月16日
  • 月と篝火

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    主人公にとってこの村は血の繋がった家族はいなくても様々な繋がりがあり確かな故郷と言える
    それが失われていくそんなストーリーだと感じた
    時代の変化だとか、主人公の成長、戦争とか様々な形での喪失を味わうことになる
    ただ、孤児など弱者に対する容赦のなさは変わらないことを痛感した
    暗いストーリーと美しい描写がよかった

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    2020年03月08日
  • 流刑

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    ネタバレ

     1970年前後、パヴェーゼは学生の間に人気があった。
     ある先輩は、「僕たちもパヴェーゼやポール・ニザンを読むようになるのか」と、嘆くように語ったものだ。
     訳者・河島英昭は、イタリア文学の名翻訳者で、「ウンガレッティ全詩集」、「クァジーモド全詩集」(いずれも筑摩書房・刊、未読)等の翻訳もある。
     関係詞につながる長文、詩的な表現もそのまま、翻訳されている。

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    2019年03月24日
  • 祭の夜

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    なかなかすごかった。濡れ雑巾を投げつけられたかのように、冷たくビターンと胸に貼り付いた。何か太宰治の「桜桃」「トカトントン」みたいーと思ったら、この人も自殺してた。
    レオーネ・ギンツブルグの立ち上げた出版社に入社。職を得るためにファシストに入党する。ギンツブルグが逮捕され、本人も逮捕島流し。
    そういう政治的に犠牲を得た人。
    作品は言わずもがな、「理由はないのよ、でも今日曇ってるから何か生きるのしんどい、足だるいし」そう言った感じの。。。なんだかねー、退屈してる女にはモテたりしてる。だからほぼ太宰。

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    2018年11月08日
  • 流刑

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    読み始めの感想は暗い灰色の世界観だったのだけれど、時間の経過と村人との交流に伴う自身の孤独から孤高への変化により、仄かな温かさや凛とした強さが感じられた。
    それでも、愛情に触れたいのだけれど人を心の奥底から信用出来ない哀しみや寂しさが作品全体から漂ってきていて、それはやはり自身の境遇や恋人とのすれ違いが作品内に色濃く表れているからなのかと思う。

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    2012年05月15日
  • 月と篝火

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    ネタバレ

    私生児の「ぼく」が成長し、知恵をつけて独立し、アメリカで資産を得て故郷に戻ってくる話だが、時が行ったり来たりするのと登場人物が多くて整理しきれなかった。
    解説を読んで、たくさんの象徴が用いられているのがわかった。
    月は死と復活の象徴であり、篝火も夏至の夜、聖ジョヴァンニの祭りに焚かれて再生と豊穣を祈るものである。
    最後に、ファシストと通じていた美しいサンティーナが銃殺されて葡萄の枝と燃やされ、その痕が篝火の痕のように残っていた、という描写があるが、それは祭りの供物であり、戦争の供物であったという解説になるほどなと思った。かつての「ぼく」の主人の3人の娘たちは、サンティーナをはじめ、それぞれ男に

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    2024年03月26日
  • 祭の夜

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    カルヴィーノが編集者時代に、パヴェーゼの遺稿から拾い上げて編んだ短編集。『月と篝火』や『美しい夏』のもととなった作品が収録。

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    2022年11月14日
  • 月と篝火

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    パヴェーゼの最高傑作と名高い本作。タイトルとゴッホの絵に惹かれる。個人的にはやや難解。『美しい夏』の方が個人的には好み。

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    2022年09月08日
  • 祭の夜

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    淡々とリアリティの日常を描いているけれども、時に人間の内側をえぐり出すような描写をする。サラサラ読んでいたのに急にパンチを喰らう時がある、そんな感じの作家ではないだろうか。初めて読んだ作家だし、そもそもイタリアの作家はカルヴィーノしか知らなかった(しかも読んだことはない)から、こういう感じかあと思いながら読んだ。イタリアも作家に興味が出てきた短編集(これはカルヴィーノが編集)。日常感の中の意外性をみたい方は是非。

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    2018年10月29日
  • 月と篝火

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    「故郷は要るのだ、たとえ立ち去る喜びのためだけにせよ。」
    すべてが“私生児だから”というのが理由になるだろうか?
    月は憧れ、篝火は最期の象徴。

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    2014年09月11日
  • 月と篝火

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    先日読んだスーザン・ソンタグが取り上げていた、パヴェーゼの最後の長編小説。
    40歳になった主人公が、生まれ育った故郷の村を訪れる。その村でかつて起きたさまざまなこと、現在のさまざまな様子、あるいは別の土地(アメリカ)で体験したさまざまなことが綴られる。
    これもまた、「場所」に関する小説である。時系列が少々入れ替わっており、通時的な「歴史」というよりも、すべての事象が共時態的に「止まった時」のなかに漂うような、そんな場所=時間が描出されている。
    この場所に登場する人物が多く、どの名前がどんな人物を指しているのか、ちょっと混乱させられた。
    背景として、両大戦にまたがって、ファシスト党のムッソリーニ

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    2014年07月29日
  • 祭の夜

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    パヴェーゼは超短篇もよいです。個人的に一番気に入ったのは「ならずもの」。特に最初の、部屋(牢屋)に差し込む光の描写が、部屋の闇を際立たせて、夜におこる物語全体の闇を美しくしていて、とても印象に残ります。謎の神父?とほかの囚人たちの対比もよい。ただ、文章がぎこちないのは結構気になります。原文はどういう感じなんだろうか…?

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    2012年10月27日