紀蔚然のレビュー一覧
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最高。楽しかった。呉誠と長い間一緒に捜査した気分。
インテリウーチェンのながーい御託を聞きながら、臥龍街に思いを馳せ、パニック障害に共感し、
わけのわからない事件に目を白黒させ…
パニック障害と付き合いながらなんとかやっているウーチェンの心理描写、台湾社会の鋭い観察、台湾人論もお見事。もちろん連続殺人鬼のねじれに捩れて暗く病みきった心理も!
コージーミステリーな要素も多分にあり、
事件は面白いし、とても好み。
将来、ウーチェンみたいな生活も悪くないかも。
台北が好きなのでタイトルでなんとなく手に取った本だったけど大正解。第二巻、早く文庫本求む!! -
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ネタバレ前作の内容をほとんど忘れたころになって読むことになった。複数の事件を並行して扱い、彼我の進展が交互に現れるおかげで、やきもきしながらテンポよく進んでいくという珍しくも楽しい体験ができた。主人のパニック発作の話もあり、彼自身もひとつの謎として展開を面白くしている。
他にも気持ちのいい登場人物が多いおかげで、読み進めるのが楽しかった。クライマックスの悪人対決は三頭の蛇などと述べられているが、高慢ながら同情の余地もある弁護士氏が生き残れたのは素直によかったと思う。
ところであとがきに「三作目は主人公をダークサイドに落とす」などと書かれていたのだが、なにそれこわい。 -
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★5 あの私立探偵が返ってきたよ! 高品質、超濃厚な探偵小説 #DV8 #台北プライベートアイ2
■あらすじ
元大学教授の私立探偵の呉誠は、前回の連続殺人事件の解決以降、台北の淡水に引越しをしていた。彼は淡水にあるバー「DV8」に通うようになっていた。
ある日、新人弁護士の安安から仕事の依頼を受ける。少女時代、ある事件に巻き込まれた際、助けてくれた少年を探してほしいというものだったのだが… 前作、台北プライベートアイに続く、シリーズ第二弾。
■きっと読みたくなるレビュー
★5 高品質な探偵小説、どなたでも安心して読める一冊ですね。台湾の街並みやそこに住む人間たちを味わいながら、ボリューム -
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劇作家で大学教授でもある呉誠(ウ―チェン)は若い頃からパニック障害と鬱に悩まされてきた。ある日、日頃の鬱憤が爆発して酒席で出席者全員を辛辣に罵倒してしまう。恥じ入った呉誠は芝居も教職もなげうって台北の裏路地・臥龍街に隠棲し、私立探偵の看板を掲げることに。
にわか仕立ての素人探偵は、やがて台北中を震撼させる六張犂(リョウチャンリ)連続殺人事件に巻き込まれる。呉誠は己の冤罪をはらすため、自分の力で真犯人を見つけ出すことを誓う。
監視カメラが路地の隅々まで設置された台北で次々と殺人を行う謎のシリアルキラー〈六張犂の殺人鬼〉の正体は?
華文ミステリにも、少しずつ慣れてきた。文庫化されたので読んでみた -
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みなさま、ご無沙汰しております。しばし、漢字だらけの航路に出ておりました。
その航路の名は『DV8 台北プライベートアイ2』。台湾発の探偵小説『台北プライベートアイ』の続編でございます。
続編だからもう慣れたはず…と思われそうだが、今回も漢字の海にアップアップだった。
事件に次ぐ事件、その度に増える登場人物や重要ワード…。予感はしていたけど前作よりもページ数が増えていて、おまけに漢字を吸い込みすぎて腹パン…というのが正直な感想である。
「友だちになりたいわけではないが、人とつながっている感じは欲しい。もっと正確に言えば、おれは人類を憎んでいるが、人間を必要としているんだ」(P14)
主人 -
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シリーズ2作目。主人公は呉誠と言う中年を過ぎた私立探偵。台北の北、淡水に越した彼がDV8と言うクラブを舞台に、安安と言う女性の依頼を受け、過去に接点をもつ人物探しから始まるハードボイルド系ミステリー。気の良いクラブの常連や元刑事達と連携して連鎖的に謎を解いていく。プロセスもしっかりしていて、台北近辺の街もリアルに描いている。何よりあちこちに散りばめた蘊蓄も程よく読ませてくれる。海外や、日本では横山秀夫氏、島田荘司の作家の名も出てくるし、まさか、シンセ奏者の喜多郎氏も、、。事件に関係ない所でも読ませてくれた。ミステリーとしても上出来と思った。
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ネタバレ台湾は遊びに行きたかったけど機会無く終わりそう。台北歩き経験有りにとって本作は臨場感満載になると、行ったことがないのにそう思えてしまう。自分語りのストーリーだけど、なんか読みやすいし軽い文体に惹きつけられて一気に読み終えた。私立探偵の旗揚げ物語に少しだけハードボイルド要素や台湾独自の宗教観が加わり、警察との協力関係で事件解決に臨んでいく展開。私立探偵っぽさがあまり出てないのも好感。華文ミステリが気になり揃えたうちで1作目の着手だが、第一印章として華文で一括りにできない幅の広さを感じている。最近文庫化され、また続刊も出て早速入手、文庫化になるまでに読みたい(いつもそう思う)。