尾上定正のレビュー一覧
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<目次>
はじめに
第1部台湾有事シュミレーションン
序想定する背景
シナリオ①グレーゾーンの継続第3次台湾海峡危機
シナリオ②検疫と隔離による台湾の孤立化ベルリン危機
シナリオ③中国による台湾への全面的軍事衝突
シナリオ④危機の終結
第2部座談会ー台湾有事の備えに必要なものは何か
第1章台湾の価値を正しく認識せよ
第2章国家戦略上の弱点
第3章自衛隊は準備できているか
第4章戦時における邦人輸送と多国間協力
20225/20発行
2021/8/14-15に行われた日本戦略研究フォーラムに
よる政策シュミレーションの結果と、2021/11/11に
行われた参加者のうち4名の座談会の様子 -
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安倍総理が、30大綱を作る準備過程の冒頭で自衛隊最高幹部を前にして聞いた質問がタイトル。定番となっている4人のディスカッションシリーズ最新版。
台湾有事が切迫しているという認識のもと、日本の安全保障体制について話し合っている。彼らの話を聞いていると安倍総理の外交、安全保障面での功績は大きいのだと改めて知った。
NSCの活用、サイバー部隊の本格的な充実、サイバーについては民間の活用、普段から閣僚レベルで有事の図上演習を実施すべき、核シェアリング、防衛産業が防衛力そのものであることなど。
台湾有事についての政策シミュレーションの概要も付録として載せている。 -
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台湾有事を起こす利点はなんだろう、というのが釈然としない。経済的には合理性がなさそうなので、完全に政治的な動機になるだろうか。半導体などの資源や技術封鎖は技術者の引き抜き等で対処、市場の大きさからも相互に不利な点が多く、大衆も日本同様にインターネットやスマホなどのエンタメで骨抜き。民主化運動は軍部の威圧でコントロールするし、そもそも一党独裁は簡単には崩せない。つまり党内の派閥争い、あるいは、アメリカやその背後の思惑が暴走するという感じになるのだろうか。
これは読む前の考えで、動機については読後に何か変わったというと、正直あまり変わらない。動機よりも、もし有事が起きたらどうなるかが本書の視点だ -
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台湾、朝鮮半島の有事は対岸の火事などではないし、米軍基地をいくつも抱えた日本は大きなダメージを受けるだろう。これまでは戦後の新憲法と冷戦という対岸の煙のおかげで殆ど何もしてこなくても問題にならなかった。しかしながら現時点では中国、北朝鮮の軍事行動がますます活発化し、日本に居る米軍がターゲットになることを考えると、ヤバいと思わなければいけない。ロシアのウクライナ侵攻でフィンランドやスウェーデンはNATO加盟に舵を切ったが、日本も周りが問題児ばかりなんだから、この議論を活発化させないといけない。兼原信克氏の別の本「歴史の教訓」も読んでみたい。
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兼原さんが一流の軍人と見る自衛隊OB陸海空からそれぞれ1名と諸々のテーマについて議論。
コロナ禍で明らかになった後方支援体制の脆弱さ、防衛装備工業会は飽くまで任意団体で統制する力はないこと、米台共同作戦は日米ですら常々共同でやっても不具合出るのだから相当難しい、朝鮮有事では船がそんなにないので北からの難民はせいぜい数千人程度ではないかという推測、核抑止の複雑さが高まっているのに核戦略の専門家がいない自衛隊、防衛装備庁は想定したメリットより欠点が目立っている等々。
政軍関係についての議論や自分達が幕僚長として創設に関わった防衛装備庁の問題など彼らだから話せる内容は面白かった。防衛大綱の改正や統合 -
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著者のひとり兼原信克氏の話をラジオで聴き、興味を持ち本書を手に取った。日本の安全保障の状況がよくわかる内容だった。
陸海空の元自衛隊の最高幹部と元内閣官房副長官補の4人での座談会という形で本書はまとめられている。令和3(2021)年4月に発行されているので、ロシアのウクライナ侵攻の1年前の話である。危機はすでにはじまっていたのだと思い知らされる。北朝鮮中国そしてロシアの核保有国に接する日本はもっとも危険な場所に位置する。
安全保障にかかわるトップクラスの地位にいた人が必要と感じてきた法整備や予算確保さえ進まないことに不安が募った。
最後の「日本の安全保障に対する10の提言」に希望を持ちたい -
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Posted by ブクログ
【総括】
陸海空自衛隊の元最高幹部クラスが、日本を取り巻く安全保障環境と安全保障政策上の課題について比較的率直に議論していて興味深い。
【興味深かった個別論点】
◯特に海自は装備品の修理・管理を民間企業に依存しており、企業人員を動員できる制度を作らないと継戦能力に支障をきたす。
◯台湾有事、朝鮮有事の際の日米協力・事態対応シナリオが詰まっていない。
◯軍事技術・研究にかける予算が日本は少なく、学術会議はじめ学界が自衛隊等との協働を忌避している実情が軍用技術の発展を阻害している。大抵デュアルユースなので専門的にフォローするポストが政府内に必要。
◯装備協力・移転促進のためには、セキュリテ