小野寺拓也のレビュー一覧

  • 検証 ナチスは「良いこと」もしたのか?

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    ネタバレ

     ナチスという国家が行った政策を徹底的に分析した一冊。読めば読むほど、ナチスは恐ろしい国家だと思った。病的なほどの純血主義。全ては戦争に勝利するため、労働階級への福利厚生は手厚く、純血の子どもを産んだ女性は表彰した。一方でドイツ人以外、ユダヤ人は家畜以下の扱いを行い、所有物は捨て値で売り払う。民族の繁栄のためには手段を選ばない国、それがナチスである。

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    2025年05月17日
  • 検証 ナチスは「良いこと」もしたのか?

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    経済政策
    →アウトバーン建設自体の経済効果は1935年までに50万人の雇用を生み出すにとどまるなど限定的。
    短期間で失業問題を解消したとされるが、ヴァイマール共和政末期の景気浮揚策が効果を上げつつあったこと、女性や若者を労働市場から退場させたこと、歳入を大幅に上回る財政支出と空前の規模の公債・手形の発行を行ったが、その埋め合わせは戦争による他国からの収奪により行う前提だった。

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    2025年01月27日
  • 検証 ナチスは「良いこと」もしたのか?

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    しばしば見かける「ナチスは良いこともしていた」論に対して、歴史学の観点から検証を行う。①オリジナルの政策なのか(ナチスだからこそできたことなのか)②政策の目的は何だったか③成果を上げていたのか、の3点から成果として主張されることの多い経済政策、労働政策、家族支援、環境保護政策などを簡易で明快な論理で否定していく。要はオリジナルは無いし、目的は排除を前提とした包摂と戦争に帰結し、成果も大きく評価できるものはない。「良い面もあれば悪い面もある」という一見中立や公平を装った態度は歴史解釈に限らずさまざまな分野で見られるが、本当に中立や公平な態度であるのか、をどのように受け止め考えれば良いかということ

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    2025年01月15日
  • 検証 ナチスは「良いこと」もしたのか?

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    ネットでもたまに見る「ナチスの政策にも良い部分はあった」という言説を検証・否定する本。

    その言説を発信する人たちがことごとくアレなので特に信じてもいなかったんだけど、調べもせずに否定していたら調べもせず肯定しているのと変わらないかなと思って読んた。これで堂々と否定できる。

    そもそもナチスの細かい政策を調べたことがなかったので、ナチスに関する書籍の入門編としても分かりやすくて良かった。

    結局こういうことを言い出す人って、中二病とか反対思想への反発が根底にあるんじゃないかな。中高生くらいなら教師や親の綺麗事への反発心からそういう考えに傾倒することもあると思うけど、いい大人が言ってるのは危険だ

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    2024年11月16日
  • 検証 ナチスは「良いこと」もしたのか?

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    読みやすく端的でわかりやすい。「ナチスはいいこともした」とされることのある政策に対して、ひとつひとつ根拠を提示してそれは違うと解説されている。はっきりと否定されていて気持ちがいい。参考文献も丁寧に載せてくれている。

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    2024年10月08日
  • 検証 ナチスは「良いこと」もしたのか?

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    ナチスが「良いこと」をしたかどうか。
    この問いは、レイシストのように偏見に満ちた危険な差別主義的視点だ。ナチスだから、何もかも悪いわけないじゃないか。ユダヤ人だから全てが悪いという構文が成立しないように。物事は二元論ではなく、もっと複雑だ。戦争を全てナチスのせいにして、ナチスの存在だけが反省点だからと、思想背景や構造を反省しないならば問題だ。

    私はナチス肯定派ではない。ただ、これを狂気の免罪符とするのに反対で、人間は過ちを犯しうるものとして警戒し、政策の良し悪しは当然あっただろうし、寧ろその良いと感じる魅力的な政策によって、悪しき思想が覆い隠される危険性がある、とする立場だ。だから、「ナチス

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    2024年07月15日
  • 検証 ナチスは「良いこと」もしたのか?

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    冒頭にも述べられているが、結局「良い」の定義がないままナチスがしたことは良いことではない、という結論で話が進んでいる気がした。
    著者の意見が多様に含まれており、「ナチスがしたことは良いことではない」の説得力に欠ける印象を持った。(現代の価値観からすると「良い」と言えないことは感覚的にはわかるが)
    良い悪い、はとある時代ととある限られた共同体の価値観だから論述するのが難しく感じた。

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    2024年06月09日
  • 検証 ナチスは「良いこと」もしたのか?

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    その政策は、どんな文脈でどんな目的で行われ、どんな結果をもたらしたのか。望遠鏡的視点に陥らないようにしたい。

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    2024年05月30日
  • 検証 ナチスは「良いこと」もしたのか?

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    ・失業対策や家族政策、アウトバーン建設など、ナチスの政策の中で良いことと言われることもある政策。判断するためには、事実を押さえることはもちろん、オリジナル性やその目的、背景もきちんと理解することが必要。そうすれば決して評価できないとの論評。事実だけでなく解釈の重要性を認識


    ・事実、解釈、意見という三層構造は、歴史的思考力の前提としていよいよ重要になる。事実から意見へと飛躍することの危うさは、何度でも指摘しておく必要がある。意見を持つことはもちろん自由だが、それはつねに事実を踏まえた上で、解釈もある程度はおさえたものでなくてはならない。

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    2024年05月12日
  • 第三帝国 ある独裁の歴史

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    第一次大戦後、ナチが政権をとり、敗戦するまでを、権力掌握やユダヤ人迫害の過程、経済や社会の状況から戦争まで、コンパクトに幅広く網羅している。

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    2022年01月09日
  • 第三帝国 ある独裁の歴史

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    ナチ体制の最新の研究がコンパクトにまとまっている。細かく章で区切りがなされていてテンポ良く読める。

    個人的にはポーランド人の「ドイツ化」はあまり目を向けてこなかったので、10章「暴力の爆発」はかなり勉強になった。ナチスによる迫害はユダヤ人のみならず、ポーランド人に対しても残虐な行為をしており、対ポーランド戦は悲惨な結果となった(開戦〜1945年までに3500万人中の6分の1が命を失っている)

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    2021年08月04日
  • 第三帝国 ある独裁の歴史

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    ナチズム研究の大家である著者が、平易かつ短いページ数でナチズムの最新の研究成果を語る入門書の翻訳版。たまたま手に取ったのはTwitterの「その道の専門家が選ぶ優れた入門書」的なハッシュタグで話題になっていたからなのだが、内容は非常に平易で大学1年生レベルの予備知識がなくても十分に読み進められるものとなっている。

    もちろん入門書とはいえ、現代に出版する以上、最新の研究成果の盛り込みが求められる。本書で特に重視されているのは、植民地経済の延長線上にポーランドなどの東欧の占領を位置付ける、という視点である。植民地というと、どうしても欧州の列強がアフリカやアジアに対して行ったこと、というのが通説で

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    2021年03月14日
  • 第三帝国 ある独裁の歴史

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     新書版で250ページという中で、第三帝国の歴史をコンパクトにまとめている。
     もちろんどういった史実を重視し取り上げるかについて著者の考え方はある訳だが、ナチ支配確立以降の、ポーランド、ソ連の占領地域の植民地化の問題、またユダヤ人政策の経緯について比較的詳しく叙述がされている。


     個人的に興味があるのは、なぜナチスが政権を取れたのかということだが、著書は2つの要因が決定的だったとする。1つは、大統領始め国民保守派の指導的グループが、権威主義的で議会に拘束されない統治システムを確立することを目指しており、そこでは左派自由主義政党や社会民主党、労働組合の影響力は排除されることとされていたが、

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    2021年02月15日
  • 検証 ナチスは「良いこと」もしたのか?

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    ナチス研究を20年以上やってきた著者がナチスが行った行為に対してダメ出ししている感じがする。一部の人が「良いこと」として評価していることも「自分たちのために行なった行為が、結局的に良いことに見えるだけ」と言っているだけで相手に歩み寄る感じは受けなかった

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    2025年08月12日
  • 検証 ナチスは「良いこと」もしたのか?

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    ナチスを肯定しようとする一部の風潮を真っ向から批判する内容。「良いこと」として挙げられるナチスの政策を専門家の視点から1つ1つ切り捨てていく。実際に本書では99%は「良いことでもなんでもない」という主張であったように感じる(1%分は筆者の主張を踏まえて私の主観)。ゴリゴリの社会派な内容なため、読みづらさが各所にあった。

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    2024年09月29日
  • 検証 ナチスは「良いこと」もしたのか?

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    もっとダークな部分かと思ったら、上っ面だけのような感覚だ。
    事実ばかりが取り上げイコールナチとなっている知識に、ナチの目標や目的が加わった。
    教科書や新聞を読むような誌面で雑誌感覚で読めた。

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    2024年06月29日
  • 検証 ナチスは「良いこと」もしたのか?

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    とにかく読みやすい本。
    だけどあまり納得はできなかった。
    その政策が良いか悪いかを評価する際に「オリジナリティ」って必要?
    優良なドイツ人を(平易な言葉を使うならば)エコ贔屓して戦争に突き進む政策といえど、その一部の優良なドイツ人たちには確かにメリットがあったんじゃない?それって(ごく一部の人に限るという但し書きがつくとはいえ)「いいこと」なんじゃない?と思ったり。
    ナチが極悪非道の組織であることは百も承知だけど、「ナチスはいいこともしたのか?」というテーマで語るなら、いやいいこともしたように思えるけど……と考えてしまう内容。
    私の理解度が足りずモヤモヤが残る読後だった。
    またナチへの理解を深

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    2024年06月10日