【感想・ネタバレ】第三帝国 ある独裁の歴史のレビュー

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Posted by ブクログ

出版当初、話題になったナチズム研究の書籍。
話題になったのも頷ける本で、めちゃくちゃ面白い。
自分はナチス関係の書籍を熱心に追っているわけではないし、何ならこの手のナチス関係の本のスタンダードなものしか読んでいないので知識が固定化してしまっている。本書はそんな自分を揺さぶってくれるような本で、今後も折を見て読み返したいと思えるような本だった。
それにこの薄さにも関わらずかなりわかりやすくまとまっている。

ただ初めてナチス関係の書籍を手にする方は、ここから手を出すとちょっと難しいかもしれない。
なので新書で何冊か読んでから読むのがいいかもしれない。

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2024年05月01日

Posted by ブクログ

ナチスが台頭していった過程がよくわかるコンパクトな概説書。もう最初から戦争する気満々で、よく言われる”経済”も、国内のユダヤ人や戦争で分捕った周りの国をこき使って得たものを、ドイツ系白人のみに対して(不満の出ない範囲で)優遇したもので、とても経済政策と言えるようなものではない。ユダヤ人だけでなく、ジプシーもロシア人も”死んでしまえ”なわけで、自民族だけが優れているという狂信がいかに危険なものかがよくわかる。強盗の家族が”でも僕たちには贅沢をさせてくれた”というようなもので、本当にナチスに対して肯定できるようなものは何もないことがよくわかる。ナチスがなぜ今でも厳しい批判の対象なのか、事実をよく知ったうえで理解しないと。

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2021年03月08日

Posted by ブクログ

第一次大戦後、ナチが政権をとり、敗戦するまでを、権力掌握やユダヤ人迫害の過程、経済や社会の状況から戦争まで、コンパクトに幅広く網羅している。

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2022年01月09日

Posted by ブクログ

ナチ体制の最新の研究がコンパクトにまとまっている。細かく章で区切りがなされていてテンポ良く読める。

個人的にはポーランド人の「ドイツ化」はあまり目を向けてこなかったので、10章「暴力の爆発」はかなり勉強になった。ナチスによる迫害はユダヤ人のみならず、ポーランド人に対しても残虐な行為をしており、対ポーランド戦は悲惨な結果となった(開戦〜1945年までに3500万人中の6分の1が命を失っている)

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2021年08月04日

Posted by ブクログ

ナチズム研究の大家である著者が、平易かつ短いページ数でナチズムの最新の研究成果を語る入門書の翻訳版。たまたま手に取ったのはTwitterの「その道の専門家が選ぶ優れた入門書」的なハッシュタグで話題になっていたからなのだが、内容は非常に平易で大学1年生レベルの予備知識がなくても十分に読み進められるものとなっている。

もちろん入門書とはいえ、現代に出版する以上、最新の研究成果の盛り込みが求められる。本書で特に重視されているのは、植民地経済の延長線上にポーランドなどの東欧の占領を位置付ける、という視点である。植民地というと、どうしても欧州の列強がアフリカやアジアに対して行ったこと、というのが通説であろうが、生産力の確保や植民地住民への差別意識などという植民地支配においてみられる事象はすべからくドイツの東欧占領において、確かに共通している。

そうした観点も含めて、ナチズムを学ぶ上での極めて良い良書。

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2021年03月14日

Posted by ブクログ

 新書版で250ページという中で、第三帝国の歴史をコンパクトにまとめている。
 もちろんどういった史実を重視し取り上げるかについて著者の考え方はある訳だが、ナチ支配確立以降の、ポーランド、ソ連の占領地域の植民地化の問題、またユダヤ人政策の経緯について比較的詳しく叙述がされている。


 個人的に興味があるのは、なぜナチスが政権を取れたのかということだが、著書は2つの要因が決定的だったとする。1つは、大統領始め国民保守派の指導的グループが、権威主義的で議会に拘束されない統治システムを確立することを目指しており、そこでは左派自由主義政党や社会民主党、労働組合の影響力は排除されることとされていたが、選挙でナチ党が急進右派の最大勢力になってしまい、無視することが出来なくなってしまったこと。もう1つは、世界恐慌によりドイツ経済が崩壊し、ドイツ社会の多くがヴァイマル政治体制に対する信頼を失い、より急進的で前途有望な選択肢を試してみようと決心したこと、と言う。

 ナチズムに関する本は汗牛充棟だが、本書は流れが良くまとまっていて、とても読みやすい。

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2021年02月15日

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