小山宙哉のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレおすすめ度:85点
NEEMO訓練が始まる。ダイビングスーツで潜水し、六太とケンジが海底施設に入ると、2名のベテラン宇宙飛行士と1名のダイバーが待っていた。リーダーのジョージ・ラブ(宇宙飛行士)と、巨大な身体を持つアンディ・タイラー(宇宙飛行士)、そして海が大好きなハミルトン(技術支援・ダイバー)である。
NEEMO訓練1日目——。
今後は船外活動が2割、残りの8割は同時に訓練をしている他2チームと競い合う形式になるらしい。チームの評価はそのまま月ミッションのアサイン順につながる可能性が高く、他のチームには負けられないという。六太は最強の味方・ケンジがいるから大丈夫、と自信満々の顔。
NEEMO訓練2日目——。
最終日を除く12日間でやる課題は、『三分の一スケールの月面基地、および周辺設備のモデルを船外に建設すること』、そして『各チームの新人飛行士2人が、基地の新しい設備などのアイデアを出し合い、先輩飛行士2人が採用案を検討すること』だった。
新人である六太とケンジは、さっそく互いの意見を出し合い、新しい施設案を検討する。2人とも、いま実在している月面基地を発展させる方向でいくことで意見が一致し、将来的に実現可能な基地の設備を考えることに決めた。そして、大容量通信アンテナ、ローバーなどの充電ポスト、シャロンの月面望遠鏡など、互いを尊重しながら、次々とその内容を決めていく。意見をぶつけることもないため、サクサク決まり、どんどん進む。互いに最高のパートナーと感じており、このコンビで月に行けたら楽しいだろうなと思っていた。
しかし、そんな六太とケンジのコンビの状況に、先輩飛行士たちは危機を感じていた。船外活動中にも関わらず、アンディから作戦会議ができるガゼボ(酸素補給場所)に呼ばれた六太とケンジ。そして集合した六太とケンジに、アンディからとても信じたくない発表があった。
「お前ら二人のうち、月に行けるのは、どちらか一人だけだ」
この事実を聞き、六太は驚愕の顔でケンジを見る。視線の先のケンジは六太を見ず、ただ茫然自失でうつむいていた。お互いを最高のパートナーと感じていただけに、ショックを隠せずにいたのだ。
NEEMO訓練3日目——。
互いを最高のパートナーだと思っていただけに、ショックを隠せない六太とケンジ。
六太はシャロンのため、ケンジは家族のため、これまで辛い訓練も互いに励まし合い、頑張ってきた。これからどう接していけばよいのか、なかなか答えをだせないまま、相手の差し伸べた手も掴むことができず、すれ違うようになってしまった。
応援してくれる家族のためにも、六太と競うことを決意したケンジは、今回出した3つの案で、必要なものと、そうでないものを考え直すことにした。その結果、少ない時間でより良いものを作るため、大容量の通信アンテナと、六太が切望していたシャロンの月面望遠鏡を、建設しないことを提案する。ケンジの指摘通り、限られた時間ではいくつも施設を作ることは厳しい。六太は反対意見を出すことができず、肯定してしまう。
船外活動中、ガゼボでアンディと一緒になった六太は、『選ばれなかった方は、この先ずっと月へは行けないのか』と聞いた。アンディから返事は『いつ誰を何のミッションに任命するかなんてことは、誰にも分からない』ということだった。
事実アンディ自身も、なかなかアサインされず、随分待たされたという。同期の仲間がどんどん先に選ばれる中、なぜ自分だけ選ばれないのか、考え、苦しんだ時期もあったらしい。そんな辛い時期、アンディは考えるのをやめ、いま目の前にある訓練や仕事をさらに増やして、それで頭をいっぱいにしたという。
アンディの言葉を受け、ようやく自分の信念を取り戻した六太は、大容量通信アンテナも、月面望遠鏡も本当は必要だと思っていることを伝えた。
「時間内でどこまで作れるのか、みんなであがいてみませんか」
自分たち宇宙飛行士は、宇宙へ行けるかわりに、誰かの願いに応えないといけないのだ。
NEEMO訓練7日目——。
六太の新しい案は、アンディのおかげで順調に作業を進め、ほぼ完成することができた。それは、SEVの荷台に搭載する新しい荷台だった。実はこれまで、資材は海中にある資材置き場から、手押し車に積んで運んできていた。そのため六太は、積んで戻ってくるだけで2時間近くかかった運搬作業を、SEVの荷台で大幅に短縮しようという。しかもSEVにロボットアームを取り付けるため、4人は組み立て作業に集中でき、運搬はハミルトンに任せられることまで考えられていた。
NEEMO訓練8日目——。
ハミルトンが資材を運んできてくれるおかげで運搬作業がなくなり、基地制作に集中できるようになった六太たち。人材も機材もフル活用することができ、管制からの評価も上がっているようだった。しかし、ケンジは悩んでいた。六太が時間を作ろうと必死だった時、自分が選ばれることだけを思っていたからだ。
アンディに話しを聞いて、先のことを考えることをやめ、今を大事に考えることにしたという六太。六太の無理なことに挑戦していきたいという考えに、ケンジは、自分の娘・風佳が思い描いたヒーロー・スーパンダマンの姿を思い出していた。ケンジを励まし見送ってくれた風佳のためにも、ケンジは無理して頑張るヒーローになることを決意した。
NEEMO訓練も9日目——。
復活したケンジのやる気もあり、六太たちは最初の計画通り、大容量通信アンテナ、ローバーなどの充電ポスト、シャロンの月面望遠鏡の3つを制作することにする。
やる気に満ちたケンジは、常に時間短縮、作業の効率化に結び付くアイデアを出し続ける。さらに呪文のように『スーパンダマン』言葉を発してはニヤけていた。
ケンジと共に力を出し合った時こそ、いろんな事がうまくいく。どういう結果になっても、2人は最高のパートナーだ。
しかしその夜、シャロンからとても辛い、悲しい報告が入る。
月面望遠鏡を月で建設するという案は問題点を多数指摘され、NASAの協議の結果、不採用となってしまったというのだ。
NEEMO訓練も終盤にさしかかった頃——。
六太のもとに、シャロンから連絡がくる。いまは仲間と協力し、新たな月面望遠鏡の建設案を考えている最中で、次こそNASAに認められるものを目指して、シャロンは諦めないという。
『It's a piece of cake!』
NEEMO訓練完了後——。
NASAの会議室では、訓練成果を検討していた。中でも注目されていたのは、六太が訓練終了間際に出した新設備案だという。
「ナンバ・ムッタは、この2週間、他の誰よりも月面にいた——」 -
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ネタバレおすすめ度:85点
月での事故が原因で、宇宙服を着て緊張状態に置かれると、発作に襲われるようになってしまった日々人。
このままでは宇宙での船外活動ができず、希望する月ミッションには加われない。そのため日々人は、兄・六太には病状を伏せたまま、かつての自分を取り戻すべく、極寒の地・ロシアへと向かった。
そこで待っていたのは、日々人のことをヒビチョフと呼ぶ、宇宙飛行士・イヴァン・トルストイだった。ロシアの英雄でもあるイヴァンの家に招待された日々人は、彼の妻・エミーリアや、その友人たちに囲まれ、酒を飲み交わし、楽しい時を過ごす。
「心の健康のためには、ある程度の酒は必要なのだ!」
しばらくすると、そこにイヴァンの娘・オリガ(15歳)が帰宅した。そっけない挨拶をし、まるで日々人に感心がないかのように去っていくオリガ——だったが、彼女の頬には緊張の汗が流れていた。実はオリガは、アニメ『Mr.ヒビット』のモデルになった日々人の、大ファンだったのだ。
イヴァンは日々人に「頼みがある」と、映像データーが入ったDVD『オリガの成長記録1』と、ビデオカメラを日々人に手渡した。なんでも、明日ダンスコンクールがあり、オリガが出演するという。自分は訓練と重なって行けないため、日々人にオリガを撮影してきて欲しいというのだ。
ほろ酔いで帰宅した日々人は、早速オリガの映像を観ていた。画面の中のオリガは、何度やってもうまく踊れず、すぐにいじけては怒られていた。明らかにまわりの子の方がうまい状況に、オリガにバレエは向いてないんじゃないかとさえ思えてしまうほどだった。
公演当日——。
ビデオカメラを片手に、日々人は劇場へ来ていた。大勢の観客の中、やがて幕が開くと——星空の下で子どもたちが踊り——主役が登場する。驚くことに、主役はオリガだった。舞台を観ながら、日々人は練習を嫌がる子どもの頃のオリガを思い出していた。もっと楽な方がいいと言うオリガに、母・エミーリアは言う。
『人に見られることをするには、見えない踏ん張りが必要なの。苦しくて苦しくて大変な演技ほど、美しく見えるの』
舞台のオリガは美しく、完璧なアラベスクをキメていた。
公演後、日々人はオリガに、自分がパニック障害を治しに来たことを打ち明ける。
「日々人ならすぐ治る」と明るいオリガに励まされた日々人は、その帰り道、彼女が欲しがっていた新品のブーツをプレゼントした。
日々人はコスプレをしながら徐々に宇宙服への恐怖を和らげていこう、という訓練を始める。
ロシアで極秘にリハビリ訓練をしていたところ、JAXAから突然の帰国命令が届く。リハビリに時間がかかっているという理由で、『安全スーパーバイザー』として働くよう、辞令されてしまったのだ。
その夜——。
帰国のため荷物をまとめていた日々人の部屋に、思わぬ来客があった。それは、泣きはらした顔のオリガだった。日々人の処遇を聞いたオリガは、居ても立ってもいられず会いに来てしまったのだ。
「これ……あげる」
オリガが差し出したのは、日々人が観たがっていた、『オリガのダンスの成長記録』の続き。たまに観て、自分のことを思い出して欲しいというオリガの願いのようだった。
オリガを家まで送る道すがら——。
通りかかった公園で、オリガは自分より背の高い、ガガーリン像を片手で示した。ユーリ・ガガーリンとは、世界発の有人宇宙飛行を成功させた、ロシアの宇宙飛行士である。オリガは、イヴァンに聞いたというガガーリンの豆知識を披露。しかし最後までは話さず、「続きは次回、日々人がまたロシアに来た時に」と笑顔を浮かべた。
そして、オリガとの別れの時——。
「じゃね! イエーイ!」
ヒビットの決め台詞を言いながら、みるみる遠ざかっていくオリガ。彼女を最後まで見送った日々人は、自信が持てない自分を悔やんでいた。
『パニック障害を治したら……今度は堂々と、またロシアに来る——また会いにくるよ、オリガ——』
月面バギー開発で見事成果を出すことができた六太は、先輩宇宙飛行士・ビンスに連れられ、新たな訓練の説明会場へと来ていた。
六太たちはこれより数日後から約2週間、NEEMO(ニーモ)で実践訓練をするというのだ。
六太はロシアから帰国した日々人と、朝食を食べながら近況報告をしていた。「やっと自分も月へ行くための第一段階に立てた」と喜ぶ六太を前に、日々人の顔はどうにも浮かない。怪しむ六太だが、まさか日々人がパニック障害で、さらには安全スーパーバイザーに任命されたことなど、思いもしないようだった。 -
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ネタバレおすすめ度:85点
バトラー室長に呼び出され、一人で考えた末、六太は自分にとって一番の金ピカである『月』を目指し続けることにした。そして、自分よりふさわしい人物である伊東せりかに、ISSへの席を譲ることに決めたのだった。
その直後、六太の研修先も決まった。六太は、少々クセのある技術者・ピーター、ダン、ハロルドたちとともに、バギーの開発・改良業務に加わることになったのだ。
日々人、ロシアへ出発の日――。
新たな訓練のためロシアへ行く日々人を見送った六太は、雑誌の編集者からもらった写真を見ていた。それは、月面に2人が並んでいる写真。
一方、日々人は険しい表情で2人の写真を見ていた。
六太に知らせていないが、日々人の新しい訓練の内容は、『パニック障害を克服する』ためのものだったのだ。月での遭難が日々人の心に恐怖を植え付けてしまい、危険性を伴う状況で宇宙服を着ると、発作が出てしまうのだ。
一方六太は、いままさに、バトラー室長と吾妻、NASAの役員たちに、『崖や谷に落ちない、月面バギーの改良案』のプレゼンを始めようとしていた。
それは『それぞれの車のフロントガラスに、架空の共通道路を映す』というものだった。
さらに、六太の発表は続いた。JAXAに協力を要請したところ、『かぐやII』が観測した地形情報から作った、最新の月面3Dマップも提供してもらえるというのだ。クレーターの位置や深さまで、かなり詳細に閲覧することができるという。そのデータを使用すれば、月面ナビのプログラムがすぐできるのである。
プレゼンを終えた六太の案は、開発予算まで考慮した、文句なしの内容だった。
月の訓練への道を開くには、バトラー室長に認めてもらうしかない。そう感じた六太は、先輩アレックスとT-38に乗り込み、魔法の裏技を披露しようとしていた。魔法の裏技とは、見る者にはロケットの打ち上げのようにも感じられる、バーティカルクライムロールというアクロバット技のこと。
18時30分ちょうど、六太の魔法の裏技は、バトラーにも見える位置で見事に成功した。
実は六太は、バトラーだけでなく、せりかにもメールを送っていた。その内容は、『今日の訓練でエーリントンに着いたら、18時33分に空を見てほしい』というもの。以前、六太の飛行の師匠・デニールは言っていた。
『空にハートマークでも描けりゃ一流だ。意中の女にでも見せてみろ。イチコロだぞ……ウハハッ』
六太はせりかにハートマークの軌跡を見せて、告白しようとしていたのだ。
しかし残念なことに、せりかのいるシャトルバス側から見えたものは、ハートマークではなく、バルタン星人のハサミ型だった。
そしてハートマークに見える位置から空を見上げていたのは、なんとバトラーだった。自分が告白されたと思い赤面し、愕然と空を見上げているバトラー。その様子は、明らかに動揺していた。
一方、日本にいるシャロンは、来日したモリソン博士たちに、月面望遠鏡の計画を引き継いでもらおうとしていた。自分の手が思うように動かないこと、もう話せなくなることを受け入れ、準備していたのだ。 -
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ネタバレおすすめ度:80点
六太は、「僕はいざという時、役にも立たないダメ人間です」を英語で言うとどうなるか、シャロンに聞いた時のことを思い出していた。
『イッツア・ピース・オブ・ケイク』
直訳すれば「ケーキ一切れ分」ということだが、違う意味もあるというシャロン。その時の六太は、マイナスの意味で受け取ったが、本当の意味は――。
『楽勝だよ』
こういうウソを、平気な顔でついてしまうのがシャロンだった。
後日、六太にシャロンからメールが届いた。
『私も3年後か4年後かに、あなたに月面望遠鏡建設計画の全ての説明を伝えに行く予定です。覚えることだらけよ――覚悟はいい?』
メールに返信しようとするも、その手は動かない。シャロンを元気づけられるような文章が、考えても考えても生み出せなかったのだ。そのため六太は、シャロンに教えてもらった言葉で返した。
『イッツア・ピース・オブ・ケイク』――。
デニール・ヤングが日々人に飛行訓練をすることになった。
「飛行前のチェック作業は気を抜くな。事故った時、整備士に責任を押し付けるのは、パイロットの恥っちゅうもんだ。心のノートにメモっとけ」
情報や知識は頭のノートにメモり、大切な事柄は心のノートにメモる、最初の教えであった。
訓練中、デニールに六太は、なぜ訓練前いつも写真に敬礼しているのか尋ねた。
「彼らにあいさつもなしに、アスキャンに操縦を教えるのはなんか後ろめたくてな」
写真に写っている彼らは皆、事故で殉職したパイロットたちで、中には訓練中の事故で死んだ宇宙飛行士もいるというのだ。この大事な事実に関してデニールは、いつもの「メモっとけ」を言うことはなかった。だが六太はしっかりと、『心のノート』に記していたのだった。
会議や講演会でいったん日本に帰国した日々人は、多忙なスケジュールをやりくりし、『大きな荷物』を持ってシャロンに会いに行くことにした。
シャロンの研究所へ着くと、日々人はまっすぐピアノの部屋へと向かった。ピアノの鍵盤を押し、自分が買ってきた『大きな荷物・キーボード』の鍵盤の方が軽いことを確かめると、笑顔でこう言った。
「シャロン、これで気晴らしに一曲出来るよ」
笑顔の日々人に、驚きと喜びの涙を浮かべるシャロン。そして、一緒にいた助手の田村も驚き、感動していた。
それもそのはず、実は六太からも『キーボード』が贈られていたのだ。きちんと手紙も同封されており、最後の一文には「弾いてみてよ 六太より」と書かれていた。
2026年8月23日、日本にてアニメ版ミスターヒビットがスタートした頃――、六太はジョンソン宇宙センターの超巨大プールにて、無重力に似た環境での船外活動の訓練に励んでいた。
2026年11月1日には、六太や宇宙飛行士仲間たちが、デニール・ヤング、68歳の誕生日を祝い、丸いグラサンをプレゼント。
2027年6月20日――たくさんの訓練とイベントを経て、六太たちは『デニール引退の日』を迎えた。
「心のノートにメモっとけ。引退式でぶちまける水の勢いは、退く者への感謝の大きさに比例する」
六太は泣きそうになるのをこらえ、誰よりも先に、バケツの水を遠慮なきスイングでぶちまけた。
そして――ついに六太たち訓練生は、正式な『宇宙飛行士』に認定された。これでようやく、六太は日々人と並ぶことができたのだ。
さらに、バトラー室長に呼び出された六太は、重大発表を聞くこととなった。1年半後のミッションで、六太がバックアップクルーに推薦されたというのだ。
いきなり日々人にならぶ出世コース、驚いた六太の反応は――!? -
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ネタバレおすすめ度:85点
宇宙飛行士候補生の訓練として、カムバックコンペティションに参加することになった六太たちは、2週間の準備期間を経て、ついに大会当日を迎えていた。
しかし、六太たちE班には試練が待ち受けていた。局地的な雨によって、コースの一部がぬかるみになってしまっていたのだ。
E班のローバーはスポンジタイヤ。スポンジが水分を吸収してしまったら、負荷がかかって止まってしまうのだ。打ち上げまで時間がない。六太たちは、スポンジタイヤを濡らさない方法を、早急に考えなければならなくなった。
案内して貰った備品倉庫で、六太は気づく。
このコンペの訓練は、チームワークの向上だけが目的はないこと。今体験しているのは、宇宙開発の縮小版であり、宇宙飛行士を無事に送るため、支える側の人達がやってきた仕事なのだ――と。
六太は、備品倉庫で手に入れた『シリコンボンド』をスポンジタイヤに塗ると、見事、水濡れを防止することに成功した。
コンペ結果発表――。
六太たちE班は、全体の5位になることができた。
ジョンソン宇宙センター――。
砂漠の真上に、パラシュートが全てキレイに開いたオリオンが、見事に降下してきた。大歓声の中、ジョンソン宇宙センターの滑走路に、ダミアン、リンダ、そして日々人が到着した。
ゴダード宇宙飛行センター――。
天文学者であるシャロンが、宇宙開発についてプレゼンをしていた。シャロンの提案は、NASAの宇宙飛行士に協力を依頼し、月面で望遠鏡を組み立ててもらおうというもの。
ある夜。レストランでは、ケンジやせりか、南波父母やシャロンたちが集まり、『日々人お帰り会』が行われていた。せりかは、子どもの頃からファンだったシャロンに会うことができ、感激。
しかしふと見ると、シャロンの手にしていた携帯は、ところどころが欠け、傷が付いていた。
シャロンの検査結果は、ALSだった。
あと数ヶ月で、シャロンは大好きなピアノも弾けなくなってしまうのである。そのことを告げられても、それでもシャロンは笑顔を忘れなかった。 -
Posted by ブクログ
一難去って、また、一難。
でも、失敗を織り込んで計画をたてていかなければならないというのは本当で、その企業というか、職業が生き残っていく幅というのは、その無駄の部分をどれぐらい許容できるかによると思います。
効率や、結果だけではかられることも多いのですが、「この方法では、出来ない」ということがわかるだけでも、ものすごく大きな一歩となる。
それは、失敗ではないのだよ。
だからまあ、特に研究や実験なのにかかわらず、成果をあげろというような人間は、ろくなもんではない。
その圧力が強くなれば、ありもしない成果をでっち上げなければならなくなのではないかと思います。