エドワード・ブルック=ヒッチングのレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
スポーツ。憂いごとを忘れ、羽を伸ばす活動。
サミュエル・ジョンソン
とはいえ、羽を伸ばすにも節度と限度があるだろう。
ルールを定めて危険を回避するスポーツ、動物保護の法整備。
もしかしたら、近年まで存在したスポーツや娯楽の黒歴史が、
変遷する倫理観に影響を与えて、現代では廃れたのかもしれない。
そんな思いに捉われる、残酷で危険で、ばかばかしく、素朴な、
けれど、かつて多くの人が熱狂した、
100近い奇妙なスポーツや娯楽を紹介している。
“残酷”の多くは動物虐待の歴史。
猫入り樽たたきに猫焼きなど、悲しいまでの猫の受難。
名称は知っていたが、クマいじめの残虐行為の凄惨なこと。
雄鶏、カモ、ロバ、ライオン、その他の動物たちも、同様に。
中世の過酷な日々の中で残酷なことに麻痺していたというけど、
紳士淑女のキツネ潰し等、王侯貴族も楽しんでいたような。
“危険”は無鉄砲な人が惹きつけられる、リスクの大きい競技。
オートポロ、町VS.町の過激な模擬戦争、氷上テニス、
モブフットボール、相手の頭から血を流すと勝利の杖術など。
オリンピック種目では、ハトを撃つ競技や凧揚げ、
カーレース、乗馬走り幅跳びなどがあったことも。
荒らし過ぎるバイキングのスポーツは、伝説なのか、現実なのか。
その他、酔っ払いの試合?なドワイル・フロンキング、
金魚飲み、手塚治虫の『W3』みたいなモノホイール、
暴動に発展したうなぎ引き、引っ張り合いでは
昔の日本にあった首引きも紹介されていました。
100近くのスポーツや娯楽は、それらの内容の混沌のため、
頭の中がクラクラしちゃう。歴史を考えるうえでも貴重です。 -
Posted by ブクログ
この本で紹介するのは、実在しない未知の領域、
幻の島の経緯と検証。そして、それらが載っている古地図。
蜃気楼や雲、氷山等の自然における見間違いだけではない。
地図制作者の誤記はまだしも、余白恐怖症とは?
政治や信仰での主張、名誉欲、願望、詐欺といった
人為的な、生臭い理由もたっぷりと。
支援者等の名前を存在しない島に付けたというのも・・・
ピープス島なんてのもある。
(サミュエル・ピープス、知ってたかな?)
まさに、世界を惑わせた地図!
しかし、地理、地誌、民族、生物等の描写の素晴らしさ、
創造性には驚かされるものがあります。
世界地図帳を傍らに置いて、場所を推測するのものも
楽しかったです。 -
Posted by ブクログ
「キツネ」と「潰し」この二つの語が合成される意外性。なんとパワーのあるタイトルだろうか。英語だと「キツネ投げ」の方が正確な訳だけど、「潰し」を採用した訳者に拍手を送りたい。
ちなみに英語の原題ではその後「タコ・レスリング」と続く。こちらも日本語版の副題に入れて欲しかった。
前書きの中で、紹介した現代では廃れてしまったスポーツ(死競技?)はおおむね「危険」「残酷」「バカバカしい」に大別される、と述べられている。勿論二つ以上の条件に当てはまるものもあるけれど、本当にその通りだった。(「金魚飲み」なんかはその全てに当てはまる)
「危険」は文字通り生命や身体の危険が大きすぎるもの。「オートポロ」「バルーン・ジャンピング」「花火ボクシング」など。
「残酷」は動物虐待系。タイトルにある「キツネ潰し」をはじめ、「クマいじめ」「野鳥たたき」「猫入り樽たたき」「リス落とし」「カワウソ狩り」など名前からして酷い。
「バカバカしい」ものはそれそもそもスポーツか?とツッコミたくなるようなものも多い。「ろうそく釣り」「ポールシッティング」「水上三脚」「ピッチングマシン砲」など。
人類史の中のアホな側面を見れてとても面白いのだけれど、過去の話に限ったことではないなと思った。現在でも人が死ぬ危険な競技はいくつもあるし、闘牛や闘犬のように動物虐待が競技として生き残っているものもある(娯楽の為のハンティング、スポーツハンティングもそうだ)。バカバカしいものは、「チェス・ボクシング」などマイナーなものに目を向ければ枚挙にいとまがないだろう(以前、ハイヒール100m走というのをネットで見たことがある)。
マイナースポーツに限らずメジャーなものでも、時の変遷を経ることで今後評価が変わることもあるに違いない。
100年後にこの『キツネ潰し』のような、忘れられたスポーツ事典が出版された時、そこにどんな項目が追加されているのだろうかと夢想する。
本の構成としては、全ての項目がランダムに紹介されてたので、上記の3つのカテゴリに分けるとか種目のジャンルで分けるとか年代で分けるとかしてるとより良かったかな、と思う。あと、スポーツ名称は原文併記してほしかった。「キツネ投げ」→「キツネ潰し」のような意訳がきっと他にもあったはず。
あと事例が欧米圏に偏っていたので、続編があればぜひ非欧米圏を中心に取り扱ってほしい。 -
Posted by ブクログ
様々な視点から『これぞ奇書!』と言える本を集めた本。語られるテーマは、本の形や材質・大きさといった本の形状、または、暗号・科学・宗教といった記述された内容など。カラー写真や挿絵が豊富なので眺めてるだけでも楽しい。
「木の本」や角本やバイオリンに書かれた戦時日記と言った、いわゆる『本』の形ではない本、蛇・鳥・犬・スイギュウ・山羊・牝牛等の動物の毛皮を使った本は見た目のインパクトが凄い。
人皮装丁本が作られる経緯や、血で書物を書く伝統があることには吃驚した。そういう書物を作ることに意味があるのだろう。
息で吹き飛ぶぐらい小さい本や2メートル程の大きい本は読むのに苦労しそう。「豆本」は人間の技術の限界に挑戦している感じ。