ハンス・ペーター・リヒターのレビュー一覧

  • あのころはフリードリヒがいた

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    第二次世界大戦前の1925年にドイツで生まれたドイツ人の“ぼく”とユダヤ人の幼馴染、フリードリヒとの日々を通じて当時のヒトラー政権下のドイツを描く作品。

    これはできるだけ多くの人に読んで欲しい

    当時のドイツにいるユダヤ人たちの状況がとてもリアルに描かれているのではないだろうか。
    とてもつらい。つらいけど、きっとそうだったんだろうな、と思う。
    訳者あとがきによると、著者はフリードリヒたちと同じ1925年生まれ。おそらく作品内のほとんどが著者自身が体験したことだろうと書かれている

    120ページで主人公の父が、フリードリヒの父親であるシュナイダーさんに「(中略)早く、でておいきなさい!」と言う

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    2025年11月23日
  • あのころはフリードリヒがいた

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    『ベルリンは晴れているか』を読んだのでドイツ人だって辛いんだというのを感じた。
    それでもやっぱりユダヤ人は、そんな目にあう必要はないのに酷過ぎる。
    嬉しそうに迫害出来る人たちの感覚を疑うと思ったが
    こういう人、日本にもゴロゴロいたわと思い直した。
    人ってそういうものだよね、でもそれで終わりにしちゃいけない
    というのを改めて思った。

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    2025年08月09日
  • あのころはフリードリヒがいた

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    いやこれは……。普通の生活を刻々と蝕む戦争の影。「ぼく」がヒーローではなく、時々は他のドイツ人と一緒になりユダヤ人を囃す描写があるのもまたリアル。「わからない。ぼくはどうしたらいいのか。わからない!」には誰もが共感するのでは。

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    2025年06月05日
  • あのころはフリードリヒがいた

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    街の普通の日常を暮らす人々が差別意識をあらわにして残虐な行為へとエスカレートしていく様子がリアルで本当に怖かった。
    主人公も必ずしも善であるわけではなく、分別のつかない衝動的な子供は軽い気持ちで暴力的な行為を面白がったり大人に従ったりしてしまう。
    人間の負の側面がリアルに描かれていると思った。
    私事だけど、住んでるマンションの住人も最近挨拶してもすごく無愛想でゴミを捨てるような返事しか返さないような人が増えてきて、そういう小さな、他人を粗末に扱うことの延長に差別や負の行動があるように思えてとても乾いた気持ちになる。
    怖いなあと思う。

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    2025年03月16日
  • あのころはフリードリヒがいた

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    第二次世界大戦時のナチスドイツによるユダヤ人迫害をテーマにした作品は数多くありますが、その中でも読み継がれている名作の一つです。

    ユダヤ人であるフリードリヒとその家族が住むアパートの階下に暮らすドイツ人の「ぼく」の視点から語られる日々の暮らしは、主人公が英雄的な活躍をするわけでもなく、迫害されるフリードリヒ一家の悲惨な状況を殊更に悲劇的に描こうとしているわけでもありません。
    しかし、特にユダヤ人への憎しみを抱いているわけではない、「ごく普通」のドイツ人が、社会の大きなうねりと狂騒に呑み込まれていく様子が淡々と描かれることで、かえってその悲惨さが強調されているように感じます。

    リヒターの三部

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    2025年03月14日
  • あのころはフリードリヒがいた

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    間違いなく
    次の世代に いや 全ての世代に
    手渡し、語り継がねばならない一冊

    あの悲惨な時代、
    被害者としての日本を描いた
    ものは数あれど、
    アジアの人たちに対しての
    加害者としての日本を
    日本人の少年の視点から描いた
    児童文学が極端に少ないのだろう

    と 読み返すたびに
    思ってしまう一冊でもあります。

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    2024年07月16日
  • あのころはフリードリヒがいた

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    事実を押さえた筆致で綴る。筆者リヒテルがフリードリッヒと過ごし、関わった17年はモノクロで再現され、取り囲む景色、人々、会話が再現される。

    善悪を語るのではなく、これを読んだ人間がどう感じ、どう捉えたか、それぞれの胸に手を置いて考える事を突き付けられる。
    ナチスモノを始めて読んだのは14歳の時の「アンネの日記」
    日本でぼちぼちナチスの罪状に陽が当てられたころで私の頭では余りの惨さに現実味を感じられず、咀嚼できていなかった・・そして子供等と見た「シンドラーのリスト」・・無論彼彼女らは無言のうちに感想すら吐けなかった。

    子育てに段落が付き、仕事の合間にナチスモノを読み続けて来た。。読むことは人

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    2023年04月12日
  • あのころはフリードリヒがいた

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    悲しいお話だった。特に最後のフリードリヒが蹴られて死ぬところは「僕」たちが自分の身を守る為に何もできずにただ見ているだけだったので辛いなぁと思った

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    2022年05月02日
  • あのころはフリードリヒがいた

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    ナチスによるユダヤ人の迫害。
    市井の人々の目線で描かれるとまた違う迫力がある。
    進んで暴力に加わるもの、躊躇いながらもその力に陶酔してゆく者、抗い信念を貫こうと苦しむ者。
    岩波少年文庫、大人の胸にも強く残る作品だった。

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    2021年12月31日
  • あのころはフリードリヒがいた

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    2021年のオリンピック演出(演出家が過去ホロコーストをネタにした)といい、日本人は今一度世界が抱える歴史にしっかり向き合うべきだと考える!!!


    この本を読んで、演出家の方は当時の状況を面白おかしくネタにしようとは絶対に思わないはずだ。

    当たり前の日常から、少しずつ迫害を受けていく生々しい状況をこの本で感じ取れるだろう。主人公は1番側にいて大親友の友達を最後まで守りきれなかった歯痒さを見てて感じた。

    皆に一度は必ず読んで欲しい一冊!!!

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    2021年11月25日
  • あのころはフリードリヒがいた

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    読みながら苦しかった。読み進めるうち、徐々に苛烈になっていくユダヤ人迫害。深くなっていくフリードリヒ一家の絶望。シュナイダーさんの、ユダヤ人への迫害が20世紀という理性ある時代にもなって、そこまで酷いものにはならないだろうという期待に、胸が詰まった。どうしてこんな結末にならなければならなかったのだろうと思いながら、これが現実にいくつもあった出来事の一つなのだと思うと、頭が痛かった。アンネの日記とか戦争関係のものはいくつか読んで知ってたのにね。でも読んでよかった。
    著者自らの経験をつづった3部作ということで、他の2作品もゆっくり読もうと思う。
    ユダヤの文化について注付きで細やかに書かれていて面白

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    2021年07月16日
  • ぼくたちもそこにいた

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    「あのころはフリードリヒがいた」と、ほぼ同時代を描きなから、視点としては、ヒトラーユーゲントの一員としてどう過ごしていたか、ということが描かれている。
    少年~青年までが「組織」として統率されている。
    だから、そういうのになじめる子にとっては、わりとわくわくできたかもしれない。
    ただ、行き着くところは戦場なんだ。
    一寸先には死があるんだ。
    大切に大切に育ててきたのに。

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    2021年07月08日
  • あのころはフリードリヒがいた

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    人間て、自分が苦しい状況になった時、他者を見下したり攻撃したりしたくなるのか。
    冷静に善意(いや、普通)の感覚を持っている人がいても、それを貫けない世の中になってしまう。
    だから、少なくとも、周りに流されるんじゃなく、自分の頭で考えられるようにしたい。

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    2021年06月26日
  • あのころはフリードリヒがいた

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    さまざまな出来事が時系列で進んでいく。
    リヒターの作品3作目にして初めて一気に読みきりました。ノンフィクションが好きなせいかもしれません。あとがきにも「おそらくこの作品のほとんどが著者自身の体験、少なくとも自分の眼で見、耳で聞いたことだろうと思います」とあるので。

    アンネの日記があまりにも有名ですが、これもまた、誰もが読んでおく(知っておく)べき本ではないでしょうか。

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    2021年01月31日
  • あのころはフリードリヒがいた

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    ハッピーエンドが好きです。登場人物のがんばりが報われる物語が好きです。しかし世の中そんな話ばかりでないことも知っています。

    戦時中のドイツでの物語。ドイツ人のぼくが見た友人のユダヤ人フリードリヒの生涯。ユダヤ人迫害の様子が、ドイツ人の目から淡々と描かれています。
    つらい展開が見えているため、手に取ることを躊躇していました。思い切って読んでみると、静かな文章がスルリと胸に迫り、つらさに目を背けることなく読むことができました。重い内容のものを読ませることができるのも小説の力なのでしょう。

    まだ平和だった幼年期から書かれているため、世の中の変わりようがはっきりと感じられます。
    徐々におかしな方向

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    2022年02月22日
  • あのころはフリードリヒがいた

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    ・教科書には「ベンチ」の一部しか掲載されていないので、通して読めてよかった。

    ・児童向けではあるが、ユダヤ人が置かれた状況をよく理解できて読みやすい。フリードリヒは架空の人物ではあるが、当時彼のような人々がたくさんいたのだと思うと胸が苦しくなる。

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    2025年07月26日
  • あのころはフリードリヒがいた

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    同じアパートで兄弟のように育ったユダヤ人のフリードリヒとドイツ人のぼく。しかし時代はナチの時代。ごく一般人でもユダヤ人を排斥していく。それはまるで狂気。最後に空襲されて怖いから防空壕に入れてほしいと泣き叫ぶフリードリヒを拒絶したシーンがなかなか衝撃的だった。まだ子どもを空襲の最中に放り出すなんて…ユダヤ人がどうしてここまで憎まれるのか、よく分からない。当たり前のようにユダヤ人を排斥していく空気に胸がヒヤリとする。

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    2025年06月02日
  • ぼくたちもそこにいた

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    「あの頃はフリードリヒがいた」の続編。模範的でいい奴のハインツも、ヒトラーに批判的だったギュンターも「普通」の少年だったぼくも戦時下のドイツの渦にまきこまれていく。中でもギュンターがヒトラーユーゲントに入ったのが衝撃だった。「なぜあんなことになったのか」と思えるような時代でも、その時その場にいて飲み込まれ、そして主体的に関わっていく感じがリアル。

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    2025年04月11日
  • あのころはフリードリヒがいた

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    不況で父が失業中のドイツ人少年「ぼく」と父が郵便局員で安定した生活を送るユダヤ人少年フリードリヒ。2人は同じアパートで誕生日も1週間違い。貧しいぼくにフリードリヒはこだわりなくおやつなどを分け家族ぐるみで仲良し。ヒトラーが台頭してきて失業から脱しナチスを支持するようになる大人たち。ヒトラーユーゲントに憧れるこどもたち。
    振り返って見ると極端でとんでもないことなのに、じわじわとユダヤ人への迫害が強まっていく流れが恐ろしい。
    三部作のようなので残りの2作も読もうと思う。

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    2025年03月01日
  • あのころはフリードリヒがいた

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    心が痛い、そして重い
    人間って本当に残酷だ……
    出来事だけで淡々と進んでいくだけに、色々想像したり、感情を巡らしたり、と様々考えさせられる
    読む度に違う受け取りが出来そう
    心身共に元気な時に読んだ方がいいかも知れない
    ただ人生で一度は読むべき大切な作品だと思った
    ユダヤ教の家庭の様子が少し垣間見れて勉強になった
    信仰、宗教ってなんなんだろうなぁ~

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    2025年02月02日