山口尚のレビュー一覧
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難しい本を読む「必勝法」はないが押さえるべき「正攻法」がある、という、変な煽りのない素直な序文に好印象。
読書好きな人は無意識にできている読解法が丁寧に説明されており、わかりやすい言語化にスッキリした。
キーセンテンスを掴むとか、相手の意見を理解するのは賛同するのとは違う、みたいなことって、Twitterでのすれ違い論争を見ていると意外と皆できていないよね、というポイントだと思う。
「難しい本」のサンプルとして日本の哲学書を使っているのも面白かった。一部を紹介されて続きが気になる、というのは国語の教科書での経験を思い出す。懐かしい。
読書法を紹介した後に読書会のススメという展開は物珍しかっ -
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日本に独自な哲学が勃興してきていることを、十分な筆致でもって描き出している。もともと哲学界は関係者にしか分からない用語を使って、探究を進めてきたが、一般の人にも知の果実を届けようと、努力する哲学者も一方で存在し、私が知る限りでは、内田樹や鷲田清一はその部類に入るだろう。本書では、その後進を引き受けた、分別盛りの哲学者による知見を紹介している。紹介された哲学者はそれぞれ社会で苦しむ人々に視線を送り、思考革命を起こすことによって打開を図る方法を用いる。長々しい話をして面倒だと思う人はいるだろうが、理屈が好きな人には効用があるに違いない。ただ、哲学用語は依然として使用されているので、全く一般向けにな
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山口尚(1978年~)は、京大総合人間学部卒、京大大学院人間・環境学研究科博士課程修了の哲学者。大阪工業大学講師、京大講師。
本書は、日本哲学(「J哲学」)の6人の旗手、國分功一郎、青山拓央、千葉雅也、伊藤亜紗、古田徹也、苫野一徳のそれぞれの思想を紹介することより、「J哲学」の最前線でどのような思索が展開しているのかを論じるものである。
私は、いわゆる哲学、現代思想については、特段の専門的な知識は持たず、これまでノンフィクション系の本の一部として、千葉雅也の『勉強の哲学』、『動きすぎてはいけない』を含む複数の著書(千葉は出身高校が同じなので少々注目している)、伊藤亜紗の『目の見えない人は世界を -
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J哲学といっても、西洋哲学の焼き直しというか、その系譜を辿り、日本の肌感覚に合てはめて再解釈しただけではないかという予感をもって読んだ。本書の言葉を借りるなら「不自由」への挑戦。つまり、そこに「自由への意思の存在肯定」を嗅ぎ取りページを捲る。
オムニバスのような本。青山氏と苫野氏以外は個別に読んだ事があるので、何となく、思い出しながら再編集された主張をなぞる。
ー 理を尽くして考えればまさに「意志が始まりを所有したことなどあったためしがない」と言えるのである… 青山はこうした議論が中途半端だと考える。なぜなら決断の瞬間はありえないとする彼の議論は人間以外にも当てはまるので… 分岐問題は脳・ -
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難しい本、というより哲学書を読むための本。ちょうど哲学者に関する本を読んでたが全くわからなかったので助かった。
難しい本を読む必勝法ではなく正攻法の紹介と書かれており、自分が意識して実践している内容もあった。
本書では部分と全体をいったりきたりしながらキーセンテンスを見つけることが重要だという。その中で主張したいことを捉えていき、理解につなげる。また、具体的な例えがあるとより理解が深まる。1人では例えを出すのに限界があるため、読書会をするといいという内容だった。
読書会について、みんなでどんな話するんだろうと謎に思ってた部分があったため、このような目的でやるのかと気づきがあった。
必勝法ではな -
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この本の感想として、まずわたしは普段の生活で自らが変だな、と違和感を感じたことについて書いておこうと思います。
○会社のイベントで、あたかも任意であるかのように出欠確認がとられるのだが、実は拒否権はない(参加しなくては今後の査定に響いてしまうと思われる)
○研究職という「職業」に、「好きなことを仕事にできてよかったね」などと言葉をかけられるのだが、実際はたまたま研究者である。
○就職活動で思ってもいないようなことを言わされる(言わなくては不利益があるのではと思わされる)。
特にそのような形で外的な要因によって決まったことがら(実は非常に多いことだと思われる)に対して、弱音を吐くとか、不満