河野啓のレビュー一覧
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競馬の世界にいない河野氏によるノンフィクションルポ。HHHはヒンディー・ホッカイドウ・ホースマンの略称(造語)だが、登場人物はヒンディーに限られず、イスラム教徒もいるし、出身地もインドに限らずベトナム・南アメリカ・ジンバブエなど幅広い。また、取材地も北海道が中心だが、千葉に行った人を追いかけたりもしている。
北海道ではインド人が多数いることや、マレーシア人のエージェントがいることはなんとなく噂では聞いていたし、地方競馬場では日本人ぽくないルックスの方が馬を引いているのをよく見るようになった。
そのあたりの事情が非常によく分かる。
浦河町では2015年に13人のインド人が初めて住民登録をし、 -
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登山家・栗城さんの訃報はなんとなく覚えている。
自分の登山する姿をネット配信するヒト、ぐらいの認識だった。
一人の人間が持つ魅力、エネルギー、挑戦、挫折、そして人間としての弱さを丹念に描いた文章にドラマ以上のドラマを感じた。
最後、それまで著者がその存在に胡散臭さを感じていた占い師との対話によって一気に解き明かされる本当の姿。
著者が栗城さんに対して抱く浅からぬ愛憎があってこそ、たどり着けた真実であるように感じた。
白くて大きく立ちはだかるエベレストに、ちっちゃなちっちゃな人間が挑む。
でもその人間自身もその人生の毀誉褒貶や、複雑な人間関係をはらむ、いわば小宇宙なのだ。 -
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栗城さんは、純粋な登山家というのではなく、山に登るインフルエンサーとでも定義すべき人なんだろうと感じた。
以前ならば自分で自分の業績を宣伝するには(あえて宣伝と書きます)せいぜい自費出版位で、しかも自費出版本などほとんど影響はないのですが、技術の進歩によりやり方によっては本当は内容が伴わなくても、影響を及ぼすことが可能になった。
しかしいいことばかりでないのは自明の理で、ある意味栗城さんの死はそれによって引き起こされた可能性だってある(それとなく文内でも暗示されているが)
報道に携わる人そして情報を受け取る我々も、この点はくれぐれも考えてゆく必要があると強く思った。 -
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ネタバレ2023/3/15 メトロ書店御影クラッセ店にて購入。
2023/6/1〜6/8
劇場型登山家?栗城史多氏の取材をしていた河野氏による、栗城氏のノンフィクション。第18回開高健ノンフィクション賞受賞作。
活動当時から栗城氏の名前は知っており、毀誉褒貶の激しい人だなぁ、と思っていたが、こんな人だった(少なくとも河野氏の眼を通しては)んだな、ということがよくわかる。他分野でもこういうタイプの人は居ると思うが、私個人としてはあまり関わりたくない感じの人だと思った(栗城氏もそうであったように、近しい人にはものすごくファンも多いのかもしれないが)。なかなか、考えさせられる内容であった。 -
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栗城さんの活動の初期に取材で関わった著者が、没後、彼の周囲の方々を取材し、謙虚に丁寧に書き上げられた良書と思います。
私自身は、彼の夢の共有には一度も参加することなく、ネットの記事を追いかけていた程度の者です。興味はあったので、購入して、自分にとってはとても早く、3日ほどで読み終わりました。
孫正義さんの、「未来をつくるため、いかがわしくあれ」という、インタビュー記事を思い出した。
当時なかった登山のライブ中継や、動画配信、夢の共有といったキャッチーな行動が多くの人に受けいれられ、彼はいかに見せ、自分がどうあるべきか、登山そのものより、追求された。見え方を追求しすぎて、いかがわしさももっていた -
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河野啓『デス・ゾーン 栗城史多のエベレスト劇場』集英社文庫。
第18回開高健ノンフィクション賞受賞作。
亡くなった人物を批難したくはないが、1ミリも共感出来ない人物を赤裸々に描いたノンフィクションであった。栗城史多の『一歩を越える勇気』が恐ろしいまでに内容が浅く、酷い自己啓発本だったので、これは最初から解り切っていたことなのだが。
タイトルの『エベレスト劇場』はまさにという感じだ。ドラマチックなストーリー重視の最初から登る気の無い態度は現地のシェルパにも指摘されている。
巷で『下山家』と呼ばれた自称登山家の栗城史多の虚言と無謀な行動の数々が描かれている。始めのうちは『七大陸最高峰単独無 -
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ネタバレ何度も何度も本を読む手が止まった。
心が痛すぎて。
栗城史多氏のことは、北海道出身の若き登山家で、七大陸の最高峰を単独無酸素での登頂を目指していることを、たまたまつけていたラジオで聞いて知っていた。
明るく元気な青年という感じで、少なくとも無口な山男ではなかった。
無酸素にこだわるのは、「酸素ボンベって重いんですよ~」ということだったので、そうなのか、とその時は何も思わず納得した。
その時のラジオは、確かに彼を応援していたはずだ。
数年後、雑誌かネットニュースか何かで見たのは、彼が詐欺師であるという記事だ。
だから逮捕された、という話ではなく、そういう声が多数あがっているという情報。
けれ -
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著者の河野啓(1963年~)氏は、北大法学部卒、北海道放送のディレクターとして、ドキュメンタリー、ドラマ、情報番組などを制作。『北緯43度の雪』で小学館ノンフィクション大賞(2011年)、本書で開高健ノンフィクション賞(2020年)を受賞。
栗城史多(1982~2018年)氏は、北海道生まれ。2002~09年に、6大陸(北米、南米、ヨーロッパ、アフリカ、オセアニア、南極)の最高峰、世界6位の高峰チョ・オユー、7位の高峰ダウラギリに登頂し、その後、2009~17年にエベレストに7度挑む(様々なルートで)も敗退、2018年に8度目の挑戦に失敗した下山中に滑落死した。35歳没。「単独無酸素」を謳うと -
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カッコ悪いところを見せられることが、一番かっこいいのに。
話題性とユニークなキャラクターで一躍有名になり、「No Limit」「否定という壁への挑戦」という言葉を掲げてエベレスト登頂を目指すも、2018年に山中で滑落、不慮の死を遂げた栗城史多さん。彼の活動初期を共にしていたTVディレクターによるノンフィクションです。
栗城さんのことは存命中から知っていましたが、いいイメージではありませんでした。巧みな営業力で有名企業から援助として莫大な金を調達し、おかげで何度もエベレストに挑戦できているけど、実力もトレーニングも不足しているから毎度失敗し、時には登山データの改ざんも図るといった体たらくのた