河野啓のレビュー一覧

  • デス・ゾーン 栗城史多のエベレスト劇場

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    カッコ悪いところを見せられることが、一番かっこいいのに。

    話題性とユニークなキャラクターで一躍有名になり、「No Limit」「否定という壁への挑戦」という言葉を掲げてエベレスト登頂を目指すも、2018年に山中で滑落、不慮の死を遂げた栗城史多さん。彼の活動初期を共にしていたTVディレクターによるノンフィクションです。

    栗城さんのことは存命中から知っていましたが、いいイメージではありませんでした。巧みな営業力で有名企業から援助として莫大な金を調達し、おかげで何度もエベレストに挑戦できているけど、実力もトレーニングも不足しているから毎度失敗し、時には登山データの改ざんも図るといった体たらくのため、アンチからは皮肉を込めて「下山家」と呼ばれている等、今でもインターネットを開けばいい側面よりも悪い側面のほうが目立っている様相です。

    栗城さんの登山界におけるポジションは、美術界におけるラッセンのようなものではないでしょうか。栗城さんは登山界の権威からはほとんど無視されているけれど、世間の大多数の人には絶大な認知度がありました。登山に興味のない人の中で、栗城さんの名前は知っていても、他の登山家の名前を挙げられる人はほとんどいないでしょう。美術界からは黙殺されつつ、普段美術に触れない人をターゲットに飛ぶように絵が売れたクリスチャン・ラッセンと同じ、界隈からの孤立と世間からの称賛。それだってもちろん凄いことですが、一方ではオーセンティックではない、正統派ではないというイメージは免れられないでしょう。

    著者はこの本を書くにあたって、栗城さんの学生時代の山岳仲間や恩師、ビジネスで関わった相手、サポートしたシェルパなど多くの方の話を伺っています。おかげで本書には栗城さんの来し方、取り巻く状況や登山記録などが丁寧に書かれています(後半の占い師やイタコの登場といったあまりにもなオカルト展開には面食らいました。原始から山は霊的な場所とされ、山こそスピリチュアルそのものではあるのだけど、、、。つくづく栗城さんは理屈の人ではないんだなあ)。

    でもこの本を読んでも栗城さんの真意はつかめません。栗城さんの一番そばにいて、今も事務所を守っている元マネージャー小林さんからの証言を得られなかったこともその理由のひとつかもしれませんが、そもそもの話、生前の栗城さんのインタビューなどを読んでも、私は彼に共感できることは一切ありませんでした。なんで嘘をついてまで「単独」「無酸素」にこだわったのか。それこそエベレスト、登山そのものになんでこだわったのか(晩年、登山が好きだったかどうかさえ疑わしいのに)。なぜ「正統派」側の評価軸を手放さなかったのか。別の方法なら誰もが文句を言わない、かつ栗城さんだけがなし得る輝き方は絶対にあったはずなのに。栗城さんは聞こえのいい言葉を盾に、裏にあるカッコ悪い姿、それも含めた「真意」を必死に見せないようにしていると感じました。臆病な人だったのでしょうか。純粋な人たちの応援を反故にする恐怖があったのでしょうか。

    本書にある言葉のひとつに、私は強く共感します。「かっこ悪いから、かっこいいのだ」。栗城さんは自分のカッコ悪い姿を晒すことを避けて、繕おうとした。カッコ悪いところを見せられることが一番かっこいいのに。しかし同時にこの言葉は私にも突き刺さるものであって、カッコ悪いところを晒すのはとても勇気がいることと、つくづく身につまされる心持ちがしました。

    栗城さんのファンは彼が亡くなった後、どのような感情を抱いたのでしょうか。没後、彼の写真展示会が催された時の記事や動画を拝見しました。場内にはファンが訪れ、設置されたメッセージスペースには来場者から栗城さんへの言葉が書かれていて、「ありがとう」「感謝」「憧れです」など、真っ白いスペースが美辞麗句で埋め尽くされた中、目に飛びこんできたひとつのメッセージがとても印象的だったのです。

    「死んじゃダメなのに」

    自分に対する苦言を最後まで受け入れなかった栗城さんを気遣いつつ、追悼ムードに水をさしかねないギリギリのラインで伝えようとする、書いた人の意思を強く感じるメッセージでした。賞賛ばかりの世界は不健康(アンチばかりも然り)です。そんなメッセージがあったことにホッとしたことを覚えています。

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    2023年08月11日
  • デス・ゾーン 栗城史多のエベレスト劇場

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    栗城さんのことは亡くなった時のニュースでしか知りませんでしたが、なぜここまで世間から賛否両論の注目を浴びたのかよくわかりました。
    人を惹きつける才覚と嫌われる才覚は紙一重だなあと。

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    2023年07月12日
  • デス・ゾーン 栗城史多のエベレスト劇場

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    ネタバレ

    栗城史多、一時夢中でネットを追いかけていたけれど、途中から胡散臭さを感じて離れた。
    本当はどうだったんだという疑問にやっぱりなと納得できたと同時に、彼の取り巻きはそれを知っていて、ウソを真実かの如く発信していたと想うとさらに腹立たしい。
    そう非難されるたくないから取り巻きはすべからく取材拒否。まったくだ。

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    2023年05月28日
  • デス・ゾーン 栗城史多のエベレスト劇場

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    ネットニュースで見かけたりSNSで話題になるのを過去に見かけて、気になって調べたこともあったが、久しぶりに「栗城史多」の文字を見て本書を購入。

    栗城史多の登山家としての評価、ビジネスマンとしての才覚、実際のエベレスト登山の考察、それらだけで構成されていると思っていたが、テレビマンとしての著者の葛藤や、人間臭さが随所に織り込まれていて、ワンランク上のノンフィクション大作となっている。

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    2023年02月27日
  • HHH インド人、ジャパンの競馬をHelpします!

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    タイトルは予想通りRRRのパクリ?
    外国人が支える日本の厩舎の現状を伝えるドキュメンタリー。
    こうした事実は多くの人たちが知るべきではないのかな?

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    2026年02月07日
  • デス・ゾーン 栗城史多のエベレスト劇場

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    栗城氏のイメージとしてはネットでボロカスに叩かれていた印象が強く、終盤は読んでいて辛かった。これほどまでに追い詰められていたのか、と。ノンフィクションとしては色々と歪な今作だけど、著者はこの作品で引導を渡すことができたのでは。

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    2026年01月11日
  • デス・ゾーン 栗城史多のエベレスト劇場

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    山岳小説。と言っても、デスゾーンでの登山シーンが描かれているわけではない。七大大陸最高峰の無酸素単独登頂を目指した一人の登山家・栗城史多氏の話。登山シーンを期待すると裏切られる。どちらかと言えば、栗城氏に批判的であり、読後感はイマイチです。

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    2025年06月07日
  • デス・ゾーン 栗城史多のエベレスト劇場

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    ネタバレ

    最悪な結果で終わってしまったこともあり、複雑な読後感だった。どうしても『もっとこうすれば良かったのかな』と色んな立場から様々な考えが出るけれどどれも正解というわけではないし…
    自分を気軽にアピールできる機会が増えたネット社会の弊害もあるのだろうか。うーん、複雑な気持ち。

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    2024年04月21日
  • デス・ゾーン 栗城史多のエベレスト劇場

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    誰でも人に認められたくて、でも思うようにはいかないもので。
    だいたいの人はそんなものかと諦めるか、適当なところで満足しようとするのではないか。
    どっちもできない人はどうすればよいのか。

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    2024年04月21日
  • デス・ゾーン 栗城史多のエベレスト劇場

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    よくある「登山家ノンフィクション」本かと思いきや、いい意味で期待を裏切られる本。
    栗城史多氏の光と影を、豊富な取材を通じて表現されえている一冊。
    特に第11幕以降は、感情をゆさぶられ続けます。
    「開高健ノンフィクション賞」受賞も納得。

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    2023年09月15日
  • デス・ゾーン 栗城史多のエベレスト劇場

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    登山家の世界は よくわからないけど いろいろなタイプの人がいて いいんじゃないか、と思った。何者なのか?は 何者だったのか? それでいいと思った。本当のことなんて 本人しかわからないから。わからないなーで閉じた。

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    2023年08月28日
  • デス・ゾーン 栗城史多のエベレスト劇場

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    「栗城くんは登山家として三流」
    これはとあるテレビ番組で耳にした専門家の言葉だ。

    登山について素人であり、高尾山でさえしんどいと感じている自分にとって「単独無酸素登山」を達成した栗城さんは凄い人だと思っていたので違和感を覚えた。

    その理由の一端を知れるのが本書だろう

    評価が明確に決まっていない登山においての評価軸は、これまで積み上げられた歴史による文化、価値観、美学だと感じる。その点においては栗城さんは登山家として疑義が出たのだろう。

    しかしながら、いつだって変革を起こすのは異端者であり、登山界では栗城さんだったのでは?とも考える自分もいた。

    栗城さんという1人の人間から「挑戦者」「おろか者」「異端者」といった様々な面を描いている本書であり、それなりに楽しめたが、ジャーナリズムという名前のエゴやわがままのようなものも感じる一冊。

    この一冊を持って栗城さんを評価するのだけは避けたい。

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    2023年04月16日
  • デス・ゾーン 栗城史多のエベレスト劇場

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    ひとりの人生として、肥大化させた承認欲求の暴走した果てにある生き様。幸せであったか、他人が評価すべきではないが、勇気と苦悩と葛藤に満ちた人生を追体験できた。

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    2023年01月28日