十三不塔のレビュー一覧
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1作め、あまりにも好きすぎて。
灰都とおりさんの『西域神怪録異聞』
歴史の行間にかき消されてしまった人々を描く物語が好きだ。愛おしむべき小さな人々。歴史にかききえる私たちの姿。それを丹念に、愛しむように愛情深く描く作家さんだ、と思った。何故旅に出るのか?作者は問う。(チートすぎる)
玄奘三蔵の旅をほんの少しだけ、なぞったことがある。本当にほんの少しだけ。
クルズスタン(キルギス)のアクべシム遺跡。本当に広々とした荒野、朽ち果てた夢のあと。建物の壁だった部分を歩いたり、飛んだりはねたり。舞い上がる砂埃。空がものすごく広くて、太陽は地平線に沈んで、真っ暗になる。あの土地は、星が雨上がりの蜘蛛の -
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久々に熱くなれるSFを読んだ気がする。最近読んでいたものは、『星を継ぐもの』を筆頭に、短編を含めても知的好奇心が刺激されるという意味で面白いものが多かったように思う。それだって良いものだけど、そういう面白さの上にエンタメ的な面白さが乗っかった本作は、とても楽しく読めた。
本作は、魅力的な要素をとにかくぶち込みまくった、とても豪華な小説だと思う。そのネタ一つで一本話が書けるんじゃないか、という題材を幾つも提示してくる。こっちが「美味しそうなネタだなぁ、これで最後まで持っていくのかな」と思っていると、即座に違うテーマが突きつけられるので、非常に贅沢なつくりをしているな、と思った。大きな話の流 -
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購入済み
結構新鮮
コンテスト受賞作ということあって2つの作品とも結構新鮮でいきいきとしている。
第2作目のAIを扱った作品は比較的ありふれたテーマ 展開であるが、古典的な銀行強盗と組み合わせたところに古典的なカーチェイスの面白みが加わって、古典的な面白さ ワクワク・ドキドキ感がよく出ている。 -
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十三不塔氏はハヤカワSFコンテスト出身の新人さんで、本作がその受賞作。出版された当時はスルーしていたのだけれど、最近増えたSFのアンソロジーで読んだ短編が気に入ったから手を出してみた。伴名練氏がよく編者の言葉的に書いている提言を実践したことになるのかも知れない。読後の感想は可もあり、不可もありだろうか。個人的に好きな作風で、主人公のキャラクターとか気に入った部分も多いのだけれど、筋の展開はもっさりしていて、ストーリーテリングに長けているとは正直言えない。コンテスト受賞作と言うことで、巻末にその選評が収録されているので、この感想もそれに多少影響されてるかも知れないが。