神木隆之介のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ネタバレあらすじと装丁に惹かれて読んだ。
終盤の夜の体育館でのシーンは特に引き込まれた。2人の、互いを傷つけないように慎重に言葉を選ぶところ、人の弱いところを茶化さずに誠実に受け止めるところが本当に素敵だと思う。
槙野の、"人って、優しい人がそばにいると、優しくなれるんだよ"という言葉が印象に残った。その言葉どおり、夕作と槙野の周りにいるクラスメイトはみんな優しい。
それから、2人が秘密を打ち明ける場面が大体夜で、静かな場所だったのも印象的だった。新聞配達を終える頃の夜明けの公園、修学旅行の就寝時間後の川沿い、陽が落ちた後の病院の喫煙スペース、誰もいない体育館。夜の静けさには、仄暗い過去も痛みも澱も、全て溶かしてくれるような不思議な力を感じる。
心の脆い部分をそっと撫でて肯定してくれるような、あたたかい小説だった。 -
Posted by ブクログ
ネタバレすごく好きな話でした。
生まれつきの顔の痣のせいで、色んな所で傷ついて、人間関係にトラウマを感じるようになった主人公が、
優しい人たちに出会って、本来持ち合わせてる優しさであったり、新たな勇気や心を開いていく話でした。
この主人公も、ヒロインも、出会う友達も、誠実よね。
ものすごく言葉を大切にしている描写に、とても感情移入してしまって涙が止まらなかった。
気持ちや思いをできるだけ、意図が歪むことなく相手に届けたいけれど、それに見合う言葉がないもどかしさであったり、どういった態度なら伝わるかをこれだけ考えてる時点でこの子たちは優しいのよ…って思いました。
ーーーー
ただ、
「優しい人がそばにいてくれれば、自分も優しくなれる。そうすれば、私の周りに優しい人が集まってくる」
この言葉は違うな…って感じて、(多分本編でもこれが正しいとは言ってはいないのだけれど)
自分が心を病んでしまった時に、優しくしてくれた人は大勢いるし、優しくしてくれようとした人はいたけれど、その人たちに申し訳ないくらい自分の心は荒んでいったし、惨めに感じて不幸になっていったりしたのをふと思い出したりしました
ーーーー
優しい人のところに優しい人が集まってくるかは分からないけれど、居心地の良い人との関係を壊さないためにたくさん考えていれば、残る人たちは"自分にとって優しい人"なのでは、なんて当たり前かもしれないことを思いました。
隠し事をしててもいいし、その人を好きな気持ちに偽りはない みたいな考えだったり、
「自分のことを好きになれだとか、無責任なことは言わない。けど、自分じゃなきゃ出会えなかった人たちを好きになることは、できるよ」
っていう保健室の野原先生の言葉や考え方はすごく救われるものがありました。
自己肯定感ってそう、こういうことだよね〜と。
最後にこの作品を通して、感覚の描写や良さを感じる日常の物事への感覚が自分と同じ部分があって、それもこの作品が好きな理由の一つです。
悩み、傷ついて、疲弊して帰宅したら、誰かが台所で料理をしていてほっとする、そして作っている料理は肉じゃが…なんて涙が出ちゃいますもん!(本編では少し形は異なりますが)
あと、家族でいただくお味噌汁とお漬物とご飯の朝ごはんとか、素朴だけど最高でめちゃエモくて、めちゃ美味しいじゃない!!みたいなね笑笑
作者の方は、ムサビ出身のグラフィックデザイナーで、まだ26歳とのこと。。。末恐ろしい(笑)
今後ともお世話になりたいと思います! -
Posted by ブクログ
----------------------------------
孤独と傷を抱えた
〝ふたり〟が出会った夜。
優しい涙が溢れ出す、
感動の青春小説。
こんなにも
切ない秘密
があるのだろうか
(神木隆之介)
----------------------------------
Xのタイムラインで偶然知って、
タイトルと表紙に惹かれて購入しました。
デビュー作。
最近、よくデビュー作に出会ってる気がします。苦笑
日々、世に生み落とされていく物語。
本屋さんの本棚にも限りがあって。
ネットで知れる今はありがたいなあと。
キーンと寒いこの季節に、
この表紙がぴったりで、
三連休に読みたいと思っていた一冊です。
主人公の夕作は、
顔にある痣を隠して生きている。
新聞配達をしている夕作が、
ある日の夜明け、
公園でクラスメイトに偶然出会う。
公園で煙草を吸っていたクラスメイトの槙野。
彼女の不思議で魅力的な性格が、
夕作を変えていく。
と言うと、よくある青春小説っぽいのですが。
ですが!
誰にだって話したくない過去や秘密はあるし、
それを負い目に感じる必要はなくて、
だけど自分自身のことは許せなかったりして、
都合よく相手に甘えたくなったりする。
槙野の交友関係が夕作にも影響を与えていくのが、
とても良かったです。
変に恋愛になったりせず、
大切だとか大好きだとかありがとうが
とても誠実でした。
もうすぐ40の私ですが、
まだまだ知らない物語に出会えるんだなって。
三連休中日、良い読書でした。 -
Posted by ブクログ
第9回ポプラ社小説新人賞特別賞を受賞したデビュー作。読書好きの友人から、おすすめされて読みました。
男子高校生の夕作まことは、顔にある痣をコンプレックスに思っている。彼は、両親と離れて祖母と暮らしており、祖母から化粧で痣を隠すための方法を教えてもらった。
夕作は、自分の秘密が露見することを恐れ、人と関わることを避けている。
“静かに暮らしたかった。凪いだ海のようにどこまでも何もない、透明な三年間を送りたい“
という彼の言葉からは、諦めと寂しさが感じられます。
ある日、新聞配達のアルバイトの帰りに夜明け前の公園でクラスメイトの女子・槙野と出会い、徐々に親しくなる。夕作は友人學できることに戸惑い筒も、完全には心を許していません。
“君は自分を心配してくれている人のこと、ちゃんと考えたことある?“
学校で唯一夕作の事情を知っている保健室の先生・野原の言葉は夕作の心に深く響きます。
夕作と槙野はそれぞれの秘密の深層部は知らずに、適度な距離を保ちながら交流する。槙野が学校を休みがちになっても、その理由は、友人や夕作には話さない。
物語は、甘酸っぱくて寂しい青春の感情を巧みに書き出しています。
“なんていうのかな…どれだけ深く繋がっていても、どうしようもなく分かち合えないものっていうのは、誰もが持っているものだよ“
この野原の言葉が、私の心にスッと入ってきました。
。
繊細で透明感ある文章は、心を温めてくれます。夕作や槙野たちと異なる悩みを持っていても、作品の一文一文に心が救われる感覚が得られるでしょう。
切なくて苦しいけど救われる青春小説が読みたい人におすすめ!