カンザキイオリのレビュー一覧
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中高生が抱える生きづらさや、抑えきれない衝動、そして「誰かに愛されたい」という切実な願望。本作は、あの何とも形容しがたい青臭い情熱を、これでもかというほど詰め込まれています。
物語はいくつかの視点が交錯しながら進んでいきますが、登場人物をあえて絞り込むことで、約500ページという長編ながらも物語の輪郭をしっかりと捉えながら読み進めることができます。
物語の構成は明快ですが、その反面、彼らを取り巻く関係性が非常に狭い世界で閉じており、その濃密さが時に読者の心を圧迫してくるような独特の息苦しさがありました。
「青春サスペンス」という冠がつけられていますが、時折顔を出す描写のグロテスクさは、単なる青春小説の枠を超えた緊張感を生んでいます。それは、彼らの抱える痛みが物理的な痛みとして皮膚感覚に伝わってくるような、ハラハラとした刺激でもありました。
結末が必ずしも温かな幸福に包まれているわけではありません。しかし、読み終えたあとに重く心に澱が溜まるような感覚はなく、むしろ泥の中をかき分けた先にある「それでも生きていく」という微かな光のようなものを感じました。
登場人物たちの剥き出しの感情と共鳴できる世代には深く刺さる一冊でしょう。ただ、その激しい情動ゆえに、人生経験を重ねてきた読者には少々青さが際立ちすぎて、読み手を選ぶ作品かもしれません。 -
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ネタバレ「物語で不幸になった登場人物を救う」という設定が魅力的で読み始めた。不幸や悲劇があるからこそ、物語に奥行きが生まれて読者の心を動かす要素となることは自明のことであるが、その上で「マッチ売りの少女」や「裸の王様」などの有名作品をどう救っていくのか大変興味深かった。物語の大筋は変更しない、などある程度のルールが決められている中でも、やはり無理やりハッピーエンドに持ち込む展開は綺麗事感が拭えず刺さらないなというのが正直な感想だった。だが後半で、この作品の本質の面白さはそこではないことに気付き綾崎隼さんの世界に引き込まれた。物語管理官の王子が作者であることを理解した上で考えると、作者は自分の不幸な境遇や悲劇体験での辛さを物語として形に表したが、物語管理官として不幸に立たされるキャラクター達を救いたいと願った、そしてキャラクター達自身も作者の根本的な部分にある辛さや孤独を救いたいと願った、この思いやりの連鎖が素敵で、物語というものは読者だけでなく作者までも救う力があることをこの作品が象徴していて、この世界に物語がずっと存在していてほしいなと思った。
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ボーカロイド作曲者でもある作者の、同名音楽作品をモチーフに書かれた小説だそうです。文庫版を書店で見かけて、タイトルが気になったので買ってみました。
主人公の千尋は中学生の頃に恋人だった流花を失います。そして惰性で生きるように27歳になった千尋の前に、流花と似た少女、瑠花が現れて…。
高校生たちが置かれた、息苦しく狭い世界で必死に生きようとするうちに歪んでいってしまう描写がなんとも痛ましく、こちらまで息苦しくなるような閉塞感を覚えました。最悪の事態を避けるべく奔走する登場人物たちを眺めながら、そうはいっても誰かが助けてくれるって保証もないからなぁとすこし冷めた目線で物語を見つめてしまいました。全体的にはなかなか面白かったです。高校生の登場人物たちの暗くても真っ直ぐな激情というのが眩しくもありました。
最近は音楽を作曲できる人が横展開というか、文学的にも表現を発表できる場があるのはいいことですね。 -
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「あの夏が飽和する」の世界観が好みだったため、その著者であるカンザキイオリさんの最新作も手に取りました。罪悪感に囚われ、生きる希望を失った若者たちの葛藤は読んでて苦しいながらも心地よい感じがありました。
以下あらすじです。(webサイトより引用)
その日、姿夜(すがや)は琥太郎(こたろう)の遺体を発見した。事故か自殺か、それとも……
心ない噂が飛び交う中で、姿夜は高校の先輩・美生心(みおこ)と調査をはじめる。すると、次々に浮かび上がる衝撃の事実。さらに、溢れ出す家族の闇と苦悩。はたして、琥太郎とは何者だったのか。
呪縛から抜け出すために、姿夜が下した決断とは?
すべては、目を逸らし続けていたあの中に——
世界観が前作と似通っているだけにどうしても、前作と比べてどうかという評価軸になってしまったかなと思います。もちろん好みの問題でもあるとは思うのですが、今作は「あの夏が飽和する」に比べシリアスな感じが少し控えめかなと思いました。
本作の感想を書くにあたり、著者の音楽は全く聞かず、本の内容だけでの評価となってしまっているので、音楽とのマリアージュについては、申し訳ないのですが、別の方の感想をご参考にしていただきたいです… -
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記憶を失った状態で 童話のキャラクター達が暮らす物語管理局へと転生した少女
少女が自分の名前を探しながらその世界に転生した意味をみつけていく
綾崎さんについて ほとんど知らないけれど なんか好きかもと続けて読んでみました
この作品も事前情報ないまま 物語の世界へ
管理局から指名され 物語の中の不幸な部分をお直しするために その世界へと飛び込んでいく
物語の魅力に目覚め始めた頃に読んでいたら
興奮していたと思う
夢みる頃に夢を見せてくれるお話
最後にカンザキイオリさんの楽曲が掲載されていて、読者から募集した物語を楽曲化
この楽曲の小説化というところでしょうか
どれもこれも全く詳しくなくて申し訳ないような気持ちですが
ラストに綾崎らしい展開があり
子供さんとも一緒に楽しめるのではと思います
若くて新しくて感性豊かな皆さんの作品でした
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今まで自分が読んでいたのと違うジャンルを読んだ。
不思議で独特な世界観と設定が面白かった。
「裸の王様」の部分は、特に面白いのと同時に読者にも大事なものを教えてくれる内容だったと思った。
ただ、展開や今後の展開はなんとなく予想が付いてしまう部分も否めず、同時に登場人物全員が「綺麗」であった為に、特別驚愕し震えた!と言うことは無かった。ただ、これはミステリーでは無く、加えて単なる個人の感性によるものなので、このジャンルが好きな人は是非読んでみても良いと思う。
文中の言葉も難しいものは特に無かったので、中学生くらいでもスイスイ読めると思う。
楽曲もある面白いジャンルなので、そちらも合わせて聞くとさらに楽しめるかもしれない。 -
Posted by ブクログ
とても素敵な表紙。えっと、材質の選び方が上手い。
プラスチックのようなカバーで、イラストが本の本体の淡い背景にマッチしている。
綾崎隼さんの本は、「死にたがりの君に贈る物語」が好き。
この本は、
アンデルセンの物語がわかる人は面白いと思う。
物語の中で不幸になったものを救う物語管理局。
ファンタジーで、お!と思った。
王子様も出てくる。
素敵。
SF要素もある。
どのようにして、物語の不幸な登場人物を救うのか?
ワクワクする。
意外な展開に驚く。
王子様の正体にびっくり。
読者から募集した物語を
カンザキイオリさんが楽曲化。
「それを世界と言うんだね」
を綾崎隼さんが小説化したもの。