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青春サスペンスの傑作がついに文庫化。千尋は今度こそ愛する人を守れるのか? 13年前の逃避行を描いたスピンオフ初掲載。人気声優によるプロローグ朗読特典付き。全文朗読付き完全版単行本(紙書籍限定)も同時発売!
青春サスペンスの傑作がついに文庫化。
13年前の逃避行を描いたスピンオフ初掲載。
人気声優〈入野自由×茅野愛衣〉によるプロローグ朗読特典付き。
あの夏、逃避行の果てに、流花は自ら命を絶った。
そして13年後、生き写しの瑠花が現れる。
破滅に向かう瑠花と同級生の武命。
千尋は、十字架を乗りこえて2人を救えるのか?
戦慄の決行日は二学期の始業式。
命を懸けた、ひと夏の闘いが始まる。
※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。
Posted by ブクログ
『あの夏が飽和する』を読んで
私はいつも、本はゆっくり読むものだという美学を大切にしてきた。ページをめくる時間の中に、余白を見つけたいと思っていた。だけど『あの夏が飽和する』は、その美学を軽々と越えてきた。気づけば3日で読み終わっていた。これは、私の中で初めての経験だった。
この物語の魅力は、千尋や瑠花という2人の関係だけにとどまらない。登場するすべての人物が、それぞれに「抱えているもの」を持って生きている。
物語が進むにつれ、それぞれの心の傷や関係性が浮かび上がってきて、最後にすべての線がつながった瞬間、私は鳥肌がたった。
最近、友人が自ら命を絶っていたことを知った。
それは、去年のことだった。
その子は、私が人生で一番落ち込んでいたとき、「大丈夫、大丈夫」「幸せになれるよ」と何度も言ってくれた。私は、その言葉に救われた。
だから、その子がもういないと知ったとき、不思議な感覚になった。その子の死は、静かすぎるほど静かに私の元へ届いた。
笑っている顔も、話した言葉も、私が知っているのは、その人のほんの一部分だった。
人は誰かの人生を、完全には知ることができない。
どれだけ近くにいても、どれだけ愛していても、その人の心の奥底にある痛みまで、自分のものとして理解することはできない。
人間は、他人の内面を直接見ることができないのだ。
その感情を思い出させる本がまさしくこの本だった。
この作品に登場する人物たちは、それぞれが異なる傷を抱えている。千尋と瑠花も、その例外ではない。
彼らはただ「生きたい人」と「死にたい人」として描かれているのではなく、生きたいという願いと、死にたいという願いの両方を抱えながら揺れ動いている。
私はそこに、この作品の最も重要な部分があるように思う。
だから、千尋の言葉が心に残っている。
「どんなに強い人でも、周りがひどい環境だったら、どうしようもないことが起きてしまうことだってある。どんなに最悪の選択でも、それしか方法がないって思い込んでしまうこと、瑠花もあるだろう?」
どれだけ心が強い人でも、もし周りの環境がずっとつらくて、誰にも助けてもらえなかったら、だんだん気持ちは削られてしまう。
自分では“絶対に選ばない”と思っていたようなことでも、それしか道がないように思い込んでしまうことがある。これはきっと、「自殺」というテーマの核心でもある。
「生きたい」という気持ちがどれだけ強くても、どうにもならないその瞬間に「死ぬしかない」と思い込んでしまうことがある。
人は、理屈では動かない。
この物語は「生きるとは何か」という問いに、まっすぐ向き合っている。
そして、それに対して、「生きていていい」と語りかけてくれるような気がした。
人は孤独を知ることで、やさしくなれる。
誰かとつながる前に、自分とつながる勇気を持ちたい。
Posted by ブクログ
元々歌が好きで、聴いてから読み始めたから最初はてっきり千尋と流花の逃避行の話かなと思ってたら、その話から何年も経った後の物語だった。
主な登場人物は、目の前で自殺した恋人 流花を13年経った今も引きずり続けている千尋。父子家庭で父親に甘えられない孤独をマッチングアプリで出会った男性で紛らわせている女子高生 瑠花。家庭内暴力を受けているが、笑顔を繕い1人で闇を抱える男子高校生 武命。
全員が孤独を抱えていて、それによって出来た心の穴をそれぞれ埋めようとする。創ることで埋めるか壊すことで埋めるか。
何故そのようなものが選択肢として入ってしまったのか。何故信じることを選択肢に入れることができなかったのか。やるせない展開が多く心苦しくなるが、夏の儚い出来事として妙に綺麗さが掛かっていた。
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