松岡宗嗣のレビュー一覧
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一橋大学アウティング事件のみならず、多くの実例をもとに考えることができ、大変勉強になった。他者の視点から見ると、アウティングしてしまったのも仕方がない、そういうこともあるよな、と思ってしまうことも、自身の身に置き換えてみるとその深刻さ、ひどさがよく分かった。
↑「仕方ない」と思ってしまうのも自分に「特権性」があるからだと再確認。知らずに人を傷つけないよう、自分の問題としてたぐりよせて考える必要がある!
アウティングの際に善意・悪意どちらがあったにせよ、他の人に伝わってしまった情報は不可逆的だし、伝わった人によって扱いが異なるため、ヘイト・差別につながる可能性もある。その際、アウティング時に持っていた善意などは意味がない。
メモ↓
・公開する情報・人の範囲を明確にする、ゆらぐこともありえるため、変更がある際は迅速に対応・本人にも情報共有する
・プライバシーとは、秘密にすることだけでなく、自身のことを自身で管理すること(公開も非公開も)
・個人情報を国家が管理することで個人の尊厳が危ぶまれる、というのはホロコーストからの教訓
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40代前半ですが、めちゃくちゃ勉強になりました。
言語化できていなかった部分を、医師・弁護士・ライター・精神保健福祉士の多面的な面で語られれている。
生きるための教育が日本はされていない。
セックスについて学ぶ機会がないだけでなく、更年期について学ばないため、どのように対応して良いかわからない。パートナーとの関係の構築方法もわからないし、誰でも性加害者になりうる現状も赤裸々にかかれている。性加害者の多くは、「四大卒、会社員、既婚の男性」、つまりモンスターではなく、周りにいいる普通の人たちであり、自分が加害者である自覚はない。結局、性暴力は支配欲を満たし、ひとときの心の安定と満足を得る行為。お互いの関係が対等でないところで起きる。
心に穴があいた時にストレスコーピングスキルによって暴力を抑止することが必要。
つまり、大人が性教育、生き方、コミュニケーションについて学び直しが必要。 -
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■どんな本か
人間と性をテーマに長年教育に携わってきた著者を『校長』とし、各教科の『先生』達がそれぞれのテーマを教え、最後には対談も交えながら人生と性について論じる本。
■内容
生きるうえで性について知ることは不可欠だ。
自己を知り人を知り、関係を育むのが性教育であるべきなのに、日本の学校では今日現在もセックスを教えないなど【はどめ規程】が残り、産む性にとどまっているこたが問題だ。
①更年期(高橋怜奈)
・女性は閉経前後5年間。閉経50歳が平均だから45-55歳。(とはいえ50歳過ぎても半数が生理ある。個人差あるから年齢だけで区切るのは注意。)
人生100年時代、まだ折り返し地点。
原因はエストロゲンの減少。中でも自律神経安定させていたものがなくなり、ホットフラッシュなど起こる。周期不安定、不調でたら婦人科受診を。
・男性は40代から50代にかけてスタート。テストステロン減少。女性に比べゆるやか。ただ見えにくい、意識されにくいのは問題。症状は女性と似ている部分も。泌尿器科でホルモン補充できると治ること多い。
・更年期離職を避けるためにも、休みやすい社会を作ろう。
②セックス(宋美玄)
・誤解の多い男性と、知識乏しい女性の行為、楽しく満たされないのは当たり前。ファンタジーに溢れているアダルトコンテンツも、受け手にリテラシーあれば何がファンタジーかがわかる。
・人は繁殖以外の目的でセックスをする生き物。こうでなければならない、という思い込みを手放そう。具体的に手放すべきは男性器中心の考え方。フルコースじゃなくてもいい。焼肉食べられなくなっても、アラカルトで楽しめる。
一方で同意は夫婦であっても必要。50代の男性81%がしたい。女性は同じ50代で31%。(両方ともたまに思う、も含める)主体的にしたいと思ってない相手に強いる負担、させるな。
③パートナーシップ(太田啓子)
・離婚を扱う弁護士による章。相談くるケースはマニュアルでもあるかのように似通う。妻側は何年も悩んだ上に離婚に行き着くが、夫は青天の霹靂だと思い、謝罪するも無理だとわかると逆上。『愛してる』と主張。
なぜ似通うかというと、性別役割分担の考えから抜け出せていないから。男の人、ケアされて当然と思って自分がケアする側だと気付かない人いる。まるで赤ちゃん(辛辣!)。ずっと不機嫌でいることは精神的DV。
解決するために必要なことは、傾聴。
④性的指向と性自認
・性的マイノリティはいないことにされていただねめ、最近増えたわけではない。
LGBは性的指向。誰が好きか。
TQは性自認。
SOGI、誰しも関係している。
シスジェンダーでヘテロセクシャルがマジョリティな社会。マジョリティ側にいると見えない。
アウンティングは犯罪。
差別禁止の法が成立していないのはおかしい!
⑤性暴力(斉藤章佳)
・自衛ではなく、加害者にならないアプローチが結果的に多くの被害者を救う。
加害者はモンスターではなく普通の人がなる。
激しいレイプだけか性被害ではない。すべての、同意のない性的な行為が当てはまる。
・ノットオールメン、という反応はおかしい。
・なぜ痴漢(等)するのか??
性欲が抑えられない、は違う。
警察が用意するストーリー、男性に都合の良いロジック。例えば妻とはセックスレスだったから、暴走してしまった、というように。
自尊心感情傷ついたときに加害性が発露する。支配欲満たし優越性確保し達成感を得る。
いわば不適切なストレス対処法。
・自分より弱いものを支配するという意味では、男性優位社会が生み出したものでもある。女性をモノ化する考え。
一つの解、教育。
そしてもう一つは、自分の内面を語ること。
男性も弱さをさらけ出せるように。
⑥ジェンダー(田嶋陽子と著者との対談)
・日本の性教育は貧困。いきなり生理の話。
そして大事なことが抜け落ちたまま、興味の延長としてセックスの方法だけ知るものではない。
・江戸時代、混浴当たり前で奔放でオープンだった春画の文化。欧米の価値観で持ち込まれる、恥の意識。明治の大日本帝国憲法で、女性は二級市民に貶められる。その意識と慣習が、今も残る。
・求められる男らしさ。理性的、たくましさ。弊害は心を押し殺してしまうこと。
求められる女らしさ。気配り、従順。弊害は自分を持ちにくいこと。
・生殖を含む性的なタッチは年齢によって変わるけど、根底にある生き物としてのラビングタッチはずっと続けられる。そしてセルフプレジャーも。
■感想
なんとも学びの多い本だった。タイトルで損してると誰かがレビューに書いてあったが全くその通り。そして80代の著者がこんな先駆的な考えなのも驚きだし、それぞれの章を書いているのが30-40代なのも好感。違うアプローチなのに、似通う結論や考え方も興味深い。(男の子は感じることを言語化することをさせられずに大きくなる、とか。)
それぞれ本を書いているようなので、読んでみたい。ちなみに1番面白かったのは、性暴力の章。(弁護士の話は男にやたら厳しくて途中笑える。)
教育って大事だわー。 -
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ライターの三浦ゆえ氏が企画・構成を立案し、村瀬幸浩さんをスーパーバイザーとして、著者5人の各テーマの執筆と村瀬幸浩さんと田嶋陽子さんの対談である。更年期の基礎知識と向き合い方。思い込みによるセックスの誤解解消の気づき。パートナーシップによる相手への尊重と傾聴。性志向と性自認の理解。性暴力加害者にならないための知識。そして、「ジェンダー」と「らしさ」をめぐる重鎮対談。受け身こそ「女性らしさ」という呪縛から脱却し、自己主張をもっと積極的にと女性を励ます。ペニス信仰、勃起・挿入・射精という男根主義に慣らされている男性への痛切な批判。性の歴史と在り方を平易に解説し、50歳から学び直そうと提案するが、自省を込めて全世代で学び直すべき課題として、多くの人々に読んで欲しい。
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これは非常に良い本だった。50才から学んだのでは遅い。全ての人が定期的に学び直すべき。
第4講までは、とても落ち着いた当然のことが書いてあるなあ…令和の時代にこんな当然のことを認識し直さなければならないなんて…と悲しくなった。
私の時代に学校で学んだ性教育は、第二次性徴や、妊娠の仕組みといった内容だった。一方、今の性教育は自分、他人を大切にすることを教えるものだ、と聞いて、いまいち腑に落ちなかったのだが…、
第5講を読んで、それまでの全てがすっと納得できた。性加害は、性欲が抑えられないから起きるんじゃない、人を大切にできないからなんだ、と知って私には目から鱗。
ラジオで斉藤章佳さんが話されていたのが興味深かったのでこの本を手に取ってみたのだけど…、やはり学びが多かった。また折に触れて読み返したい。 -
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性の二元論規範に基づく世界の生き辛さはマイノリティに限らずシスヘテロも感じたことがあるはずです。
本来、「理想」である セクシュアルマイノリティに対する差別や偏見が無い世界 には法整備は不要である。
だが過渡期にある現状を踏まえると、
「目標」として掲げられる当然の権利 マイノリティが差別的取り扱いや不利益を被らない社会 の実現のためには法制度などによるアウティングの規制が必要である。
最終的な理想はもちろんアウティングという言葉が無くなるくらいセクシュアリティの多様性が当たり前に受け入れられる世界になることです。
今失うことになるかもしれない尊い命や壊れてしまうかもしれない大事な心を救うために、差別禁止やアウティング規制などの法整備を行うことが急務であることを再認しました。
カミングアウトの自由 は 個人の権利 である。
当事者でありアライの自分として、とても共感できる本でした! -
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難しい、すごく難しい…
デリケートな問題すぎる…
大学生が亡くなったニュースは、なんとなくは知ってたけど
詳しい背景が分からなかったが、読んで分かった。
本人の同意なく第三者にバラしてしまうこと→アウティング
アウティングは絶対にダメだと思うが、誰かに相談したくて誰かに話してしまうと、その行為がアウティングになってしまう…
難しいわ。
まわりの環境次第でカミングアウトできたり、できなかったり…
これからの時代、職場でもトランスジェンダーの人が出てくるかもしれない。
そんな人たちが、働きやすいように
男子トイレ女子トイレのほかに、もう一つ用意した方がいいのでは?とかロッカー室の中にも個室の着替えるところが無いとダメなんだろーな。とか、環境作りも必要になってくるな。
将来、何かしら息子がカミングアウトしても、ちゃんと受け止めなければいけないな。
まだ、5歳だけど… -
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現時点で語れる法的根拠やよくある「勘違い」パターンをぎゅっと濃縮し、かつ分かりやすくまとめた良書。当事者視点から見ても丁寧で大袈裟ではなく、きっちりまとめ上げられていることに好感が持てる。
LGBTがテーマになっている本がたまに陥るモヤりポイントとして「LGBTのことしかテーマに挙げない」というのがあるけれど、この本ではそこだけではなく、もっと他に困る人もいますよね、おんなじですよ、とちゃんと書いているのが良いと思った。
LGBTがそれぞれどういうものかとか、どういったことに気をつければいいかとかももちろん大事だけれど、「こういう発言をしたら/行動をしたら相手はどう思うか」という代入行為が上手く行かないときに軋轢というものは生まれるわけで。
このテーマに限らず、他人への配慮を持って言葉をつかい、行動することが大事ですよね。 -
Posted by ブクログ
この本はLGBTQの家庭、家族について焦点が当事者の話を窮屈さ、生きにくさ、生活のし辛さについて纏められている。
LGBTQ自体は認知、理解共に進んできているが、その先についてはまだ想像が及んでいない所が私にもあったので視野が広がった本になった。
子どもの産み方、籍の入れ方、家庭のあり方、周囲への理解、伝え方、制度上の生活の上での困難など実際の話を聞くとまだまだ難しい側面が多いと思う。
実際に私もパートナー、知り合いが入院した時など、家族以外は会えない。しかし相手は1人となるともうどうしようもないと思う場面はあった。
私たちはさぁ理解しましょう、さぁ多様性です。と発信、理解を促すだけでなく、現実問題目の前の一人一人の人間に目を向け、考えていかなくてはいけないと感じる。 -
Posted by ブクログ
以前から、答えを出せずにいたことがある。
それは、カミングアウトをされた側が過度な苦しさを覚えた場合、そのカミングアウトはどのように捉えられるのか、ということである。
ある芸能人がカミングアウトをした際、SNSでは「セクハラだ」という声が見受けられた。敢えて「あなたは性的対象です」と宣言されていると捉えたという。
カミングアウトは、本書でも述べられている通り、マイノリティ性が先行する人々に保障されるべき権利である。しかしながら、カミングアウトを受けた人が、例えば同性愛者からトラウマ的な被害を受けていた場合、その人に対する「被害」は想像できない。
このような点について、本書では明確に答えられていない。しかし、これに対して示唆を与える言説があった。それが、以下の言説である。
もし、そのことに違和感なくやり過ごせているのであれば、それはその人にとって常に、「私はシスジェンダーの異性愛者であること」をカミングアウトしている状態とも言えるだろう。(p.98)
シスジェンダー、異性愛者であっても、不可視化されているだけであって、普段から「カミングアウト」をした状態なのである。このように捉えれば、マイノリティ性がカミングアウトすることは、より正当性のあるものであると考えられる。ただし、それでもトラウマ的な経験のある人にとって、カミングアウトを受けることは酷なものであり、前述の捉え方は直接的な配慮になっていない。この点は未だ課題でもあるのだろう。