木村由莉のレビュー一覧
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脊椎動物の進化系譜を現生人類に絞って時系列で追っていく。すると我々が何者かについての理解が深まり、分岐が激しくて分かりにくい進化史の理解も整理されるため良い企画だった。魚類→両生類→爬虫類→哺乳類で進化したという古い理解は、魚類→四足動物から様々な枝分かれに進化していった新たな常識にアップデートされる。我々が知っている現存する脊椎動物5種類で全てが分類されるわけはない。2020年代の論文や書籍も多数取り扱われる。
DNAの情報や化石から、いつから器官や組織を獲得したのかの推測が非常に知的好奇心をくすぐる。汗腺から乳腺が進化したと考えられていて、最初は殻の薄い卵を保護することからスタートしたとい -
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2020年出版。恐竜と、その研究をする女性に憧れて道を進み続け、正にその道に達して活動し続けている筆者。何を見て何を感じ、考え、周囲とどのように関わって来たか。各ステップでの様々を書き記している。対象者は、機会を与えたい小学生から上、大人までを含んでいる。…と言うのは最初の部分だけで、グングンと学術的な事やら厳しい現実などもサラッと書かれており。まぁ、読める部分だけ読めば良いのだと思う。読む人の目的次第で。
好きな物を好きなままでいられる才能、行動し始められる才能、動き続ける才能って、あると改めて強く感じた次第。小説を読むような気持ちで読み進めさせて頂きました。 -
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古生物学者の著者がどのようにしてその仕事についたのかを書いたエッセイ。
理系で研究者を目指している子どもたち・その親がメインのターゲットだと思うが、当てはまらないというか、早々にそういった道を諦めた自分も楽しく読めた。
幼少期〜学生時代のエピソードは、実際に自分が高校生くらいの頃に読んでいたら、羨ましさや嫉妬で素直に読み進められなかったと思う。東京近郊在住で、金銭的にも精神的にもサポートしてくれる親がいて、「両親は世界一の味方☆」みたいなアドバイスを書ける著者の立場と、過去の自分が置かれていた状況があまりにも違っていて、今だからギリギリ苦笑いしながら読めたが、10代の頃だとキツかったと思う。 -
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動物園で見られる現生動物と、その祖先のいきもの33種を取り上げている。カラーで大きめに描かれたイラストが目を惹く。どことなく現生動物と共通点がある姿のいきものもいるし、異なった姿のいきものもいて興味深い。題材も面白そうで、土屋氏が著者、木村由莉先生らが監修したという(私の中で)完璧な布陣とも言える古生物本だが、実は読み始めから目が滑って読み進むことが困難な時期があり、読み終わるまでに時間を要した。
恐らくイラストより、より詳細な古生物・現生動物の説明があったほうが面白かったのではないか、と思う。誌面の都合上かわからないがざっくりとした説明に留まっている。それから、現生動物との大きさ比較に効果的 -
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国立科学博物館で2022/10/10まで開催中の「化石ハンター展」を題材に、古生物学に関わる様々な仕事(著者は「古生物復元師」と名付ける)を紹介する。
展示物である化石骨格レプリカ作成、生体復元模型作成に、設計図たる化石そのもののデジタル復元、および3D設計、さらには展示のプランナー、空間デザイナー、主催、そしてこの本の編集者まで、「古生物」への様々な携わり方が描かれる。
その意味では著者の前著『もがいて、もがいて、古生物学者!!』の副題が「みんなが恐竜博士になれるわけじゃないから」から、「みんなが古生物学者になれるわけじゃないから」(でも関わり方はいろいろある)と裾野が広がる内容となっている -
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小学校を卒業する年代の児童にお勧めの本を探して借りた1冊。
国立科学博物館で小型哺乳類の化石研究を行っている女性古生物学者の成長ストーリー。
著者は、小学生の時に恐竜の化石を手に乗せて「1億年前に時間を留めた生物の化石と、それを持つ今生きている自分」を感じてから恐竜好きになったのだそうだ。その後の”もがいてもがいて”夢の実現のために選んできた道のりが紹介されている。
将来恐竜の勉強をしてゆくために何をすればよいのかを考え、実際にどのように勉強したり、動いてきたのか。
そもそも本当に古生物の研究をしたいのかの見極め、たくさんある道筋のどれを選んできたのか。
留学のタイミングはいつが良いのだろう -
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国立科学博物館で小型哺乳類の化石研究を行っている若手研究者のこれまで。
ヤングアダルトの分類になるが、この本もまた研究者になるための、そして研究者になってからの悪戦苦闘の歴史が興味深い。
化石研究、と言えば恐竜や大型爬虫類の研究のイメージが強い。著者もジュラシックパークに影響を受けて恐竜研究を志すが、興味深いのは自分と周辺の状況を分析した上で、差分を埋めるために努力したり、う回路を当たったり、といったことが中高生のころから詳らかに描かれている点。わかっていても自分の弱点を冷静に見つめることは難しいし、目標との距離を埋めるために情熱を注ぐことも難しい。が、決してそれは不可能なことではない、と読者