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約5億年前に脊椎動物が誕生し、それ以来生命は様々に分化し多様化して現在に至り、我々ホモ・サピエンスは何十万種もいる種のたった一つである。様々に枝分かれを繰り返すなかで、たった一本の道筋がホモ・サピエンスへとつながっているのだ。
本書では、サカナの仲間から始まった脊椎動物の先祖が、どのように体を変え、新しい特徴と能力を手に入れ、サピエンスへ近づいてきたのかをつぶさに見ていく。これまでの生命史にはなかった画期的な視点で、およそ70の特徴に焦点を当てた、姿形のまったく違う祖先から人類への大進化史!
主な内容
●序章 最初からもっていた「眼」
●黎明の章 すべてが陸続きの時代/二つの肺の獲得で陸を目指す/耐乾燥卵で内陸に進出/爬虫類と分かれる/単弓類の進化/史上最大の大量絶滅
●雌伏の章 毛をもつ/哺乳類の登場/聴覚の発達/子を産み、育てる/有胎盤類式繁殖法はいつから?/再び絶滅の危機
●躍進の章 哺乳類時代の始まり/脳より先に体を大きくする/長い妊娠期間と大きな胎児/アフリカの仲間と分かれる/ローラシアの仲間と分かれる/森林での進化
●人類の章 真の「猿の惑星」/森から平野へ/尾の消失と二足歩行/氷河時代の始まり/サピエンス以前のホモ属/サピエンスと生きたホモ属
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Posted by ブクログ
脊椎動物の進化系譜を現生人類に絞って時系列で追っていく。すると我々が何者かについての理解が深まり、分岐が激しくて分かりにくい進化史の理解も整理されるため良い企画だった。魚類→両生類→爬虫類→哺乳類で進化したという古い理解は、魚類→四足動物から様々な枝分かれに進化していった新たな常識にアップデートされる。我々が知っている現存する脊椎動物5種類で全てが分類されるわけはない。2020年代の論文や書籍も多数取り扱われる。
DNAの情報や化石から、いつから器官や組織を獲得したのかの推測が非常に知的好奇心をくすぐる。汗腺から乳腺が進化したと考えられていて、最初は殻の薄い卵を保護することからスタートしたという説がある。まさに哺乳類の起源に迫る謎だが、なぜ雌のみが授乳するのか?これは初期からすでに父母など家族間で連携があったためなのか?単孔類が現存するということは、胎盤獲得よりはるか昔に哺乳システムを開始していたことを思わせる。そして赤ちゃんは哺乳期間には歯が生えてこない工夫になっている。そもそも哺乳類の歯が何回も生え変わらないのは、多様な上に超高機能の仕様になっているためだという。芸能人でなくても歯は大切だ。
カンブリア爆発は有名だが、新生代に入ってからの哺乳類の多様化も同じくらいインパクトがあった。ネズミのような小型生物から、わずか数十万年でゾウやらウシやらイヌやらサルやらまで分岐しているのは驚きだ。
新生代が始まってすぐ大森林が形成された、長らく我々の祖先は樹上生活者だったようだ。虫や木ノ実を識別させるため視力を発達させた。やがて寒冷で乾燥を伴う氷河期が繰り返され森林面積は大きく減少することで生活環境が変化。類人猿には固い根茎類やナッツ類を主食にするグループ、肉を主食にするグループが分かれていき、前者は絶滅し後者はヒトの系譜に繋がる。サピエンス、デニソワ人、ネアンデルタール人はそれぞれ交配してきたことが分かっている。今はサピエンスだけが残っているが、この理由を暴力や排他性に求めるのが「サピエンス全史」など、よくある説明だが、「サピエンス前史」では別の説明が提案されている。ライガーしかりラバしかり、本来は交雑による子孫は繁殖能力が落ちる。しかしサピエンスは交雑でも繁殖能力が落ちにくい特性があったのではないか、というのが推測になる。どちらの説が検証可能で科学的といえるか。どちらの説がもっともらしい想像の産物といえるか。
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