ミン・ジン・リーのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
過去に虐げられ、不当に扱われた歴史というのは今もなお個人に、家族に、民族に深く根差している。
日本人がチャイニーズやコリアンに対して抱くマイナスの感情というのは、メディアの印象操作や何の根拠もない事実に基づいたステレオタイプであり、逆もまた然りだと思う。
いい日本人もいれば悪い日本人もいるというのは本当にその通り。
民族的ルーツと生まれ育った町が異なるということは、想像以上に生きづらさや肩身の狭さを感じてしまうのかもしれない。
すごく考えることの多い作品だった。
在日の歴史、パチンコと在日コリアンの深い結びつき、もっと深掘りして勉強したい。 -
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再読。なんでこんなに面白いんだ。一つ一つの情景が脳内で克明に映像となって流れる。映画みたい。
彼女たちはなんの落ち度もなく困難な状況に置かれ続けて、必死に生きている。そのことに改めて胸を打たれ、大袈裟でなく、自分も真剣に生きなければと奮い立たされた。
例えば大阪に着いて間もない頃、ソンジャがハンスからもらった懐中時計を質屋に売りに行くシーン。
ソンジャは本当は不安や焦りを内心に抱きながら、冷静に、落ち着いて、誇り高く交渉し、生き抜くためのお金を得た。
ちょうどそのシーンを読んでいたのは、通勤電車の丸の内線社内。霞ヶ関駅に着いて、本を閉じ、いつものように階段を駆け上がりながら、なんだか胸がいっ -
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ネタバレどの人の挫折も壮絶だった。差別がもたらした失意。挫折や失意などの言葉では足りない。
差別されると、相手をクソと思いつつ、差別からどうしても逃れたいと思う。特に子どもには同じ思いを絶対に経験して欲しくない。
この物語は誰に向けて書かれたのだろう。日本や日本人を単純に糾弾したわけではない。在日コリアンとして生きる哀しみ、苦しさを書いたのだろうか。
ノアの自殺は痛切だった。思い出すだけで息が止まる。涙が滲む。
ソロモンとフィービーの別れも悲しかった。ソロモンの解雇も。
殉教したイサクだけが救いだ。
そして、ハンスを通してある意味カネが全てであることも感じた。 -
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在日コリアンは韓国では日本人扱いされ、日本では外国人扱いをされる。故郷がない。
という言葉にとても納得した。
そのような扱いを受けるのは彼らが日本へ渡ってきた頃からずっと変わっていない。
現在4、5世などが増えていくにつれ、かつての1世や2世などが持っていたアイデンティティや帰属意識などは確実に薄れていっているように思う。
自分は何人なのか、と読後より考えるようになった。
母語は日本語であり一生を日本で暮らしてきた私にとって、自分は韓国人だといえるのか。だからといい日本人ともいえない。
今まで自分が何人なのかをキッパリと答えられない自分を正直恥じていた。しかしこの本を読んで、在日コ -
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日韓併合から太平洋戦争を経て現在にいたるまでの、在日コリアン4世代にわたる物語である。まず、知識として、在日コリアンの歴史、生活、考え方について知ることができた。パチンコがコリアンが発展させた産業であること、在日コリアンの国籍など知らないことがたくさんあった。
そして、祖国を追われた外国人としてのアイデンティティのありかたが、1世から3世にいたるまで変化していくありさまが非常に鮮明にえがかれていることがなによりも印象的であった。貧しさ、そして、娘の妊娠のために、娘を異国におくりとどけることをだまって見送るしかなかった0世、貧しさと不義、愛する子供のためにただ働き続けるしかなかった1世、在日とし -
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昨年、釜山に行ったときに影島を訪れた。限られた土地に所狭しと住宅が立ち並び、ここに朝鮮戦争で攻められ避難してきた住民たちが肩を寄せ合って暮らしたのだという話を聞いた。
在日朝鮮人―日本が1910年に韓国併合を実施し、1948年にサンフランシスコ平和条約が発効するまで、韓国から日本に渡ってきた人々とその子孫は特別永住者としての地位が与えられた。朝鮮半島では地勢的影響から、長く他国の占領下に置かれまた東西冷戦の分断最前線として経済発展が抑制されてきた。
貧困にあえぐ人々は着の身着のままで日本に渡り、言語も通じないままバラック小屋のような不衛生な住環境で暮らして日銭を稼ぎながら生きてきた。そのバ -
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韓国併合~戦後にかけて日本に渡った在日コリアンたちの、四世代に渡る物語。日本の社会に馴染みほとんど日本人のように生きていて、それでもルーツは分断する前の朝鮮で。帰化するかあるいは韓国籍か北朝鮮籍を選ぶ、そのことに割りきれない思いを抱く在日コリアンの気持ちが痛いほど伝わってくる。
おそらく多くの日本人が無意識に内在してしまっている在日差別・ガイジン差別も突き付けられてしんどいけど、日本人はもっと歴史に向き合わなければならないなと痛感させられた。
海外の人が描く日本て違和感を抱くことが多いけど、この『パチンコ』は日本の描写の解像度がすごくて、引っ掛かることなく読めた。ちょうど朝ドラで在日コリアン -
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朝鮮をルーツに持つというだけで、日本ではこんなにも生きづらいとは想像以上だった。
日本で生まれ育ち朝鮮語も話せないのに、両親だって日本で生まれ育ってるのに、パスポートは韓国発行のものを持つらしい。14歳以降は定期的に外国人登録をしなければいけないらしい。20世紀の後半になっても日本の公務員にはなれなかったらしい。
アメリカの一流大学に留学卒業し、一流企業に勤め高収入を得る身分になってさえも「俺たちコリアンに誇れることなんてあるか」と卑屈な感情を持ち続けている。
日本人が知ろうとしてこなかった在日韓国人の苦しみや諦めを知ることができたのはとても良かった。
でも日本を糾弾する内容では決してない。
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日韓併合下の朝鮮で生まれ、貧困の中で育ち、ハンスと恋に落ち息子を授かり、イサクの愛に守られながら大阪へ渡る。
今の私たちには想像もできないような貧困と差別の中、控えめに誠実にたくましく、愛する家族のためだけに生きる女性ソンジャ。
在日韓国人を韓国人の視点から書かれているが、日本を糾弾する内容ではなく、全ての登場人物を愛情を持って書いている点が素晴らしい。
1940年代の在日韓国人の生活に、こんなにも引き込まれて読めるのは、訳者の翻訳力の高さでもあろう。
日本人が知ろうとしなかった在日韓国人の歴史に思いを馳せながら、ソンジャとその息子たちの人生がどのように流れていくのか、下巻に期待したい。