東辻賢治郎のレビュー一覧
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心底今読まれるべき本だなぁと思うし、自分の考えとも通じる部分が多くてふむふむと読んだ。
不確実でともすれば絶望すべき事態に溢れた世界、この世界でそれらに耐えて今を生きろというのは簡単で、同時に酷だ。それを駆動する礎となるべきものが「希望」になる。希望は未来に対する想像力であり、自分の力に対する確かな信頼であり、そしてこの現実に起こる数多の事象をそのまま受け入れて学びとる静かな視座でもある。絶望的で汚い現実も、その奥底で得られたあまりにも小さくしかし確実な勝利を見逃さない目線である。
僕は母親からことあるごとに、僕を身籠っているときにテレビで見た9.11のニュースの話を聞かされてきた。それは確か -
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461P
4950円
これ買った。80人所属するハイキングサークルやってたんだけど、月1で同じ山を違う季節で1年間歩き続けたんだけど、その時に歩くという行為が全ての始まりのような気がして、歩く事そのものについて興味が出た。面白そう。
レベッカ・ソルニット(Rebecca Solnit)
1961年生まれ。作家、歴史家、アクティヴィスト。
カリフォルニアに育ち、環境問題・人権・反戦などの政治運動に参加。1988年より作家活動を始め、環境、土地、芸術、アメリカ史など多分野に20を越す著作がある。代表作にエドワード・マイブリッジ伝 River of Shadows(2004、全米批評家協会賞) -
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反グローバリズムや反差別や気候変動への対応などの社会運動を行う上での希望とはどう考えるべきか、筆者の考えがまとめられている。
過去の社会変革に目を向けると、発生は往々にして周縁から始まって、予期できない様々なプロセスを経て進んでいる。そして、過去に行われた社会変革の成果は現代の視点では常識になっていることもあり成果自体が忘れられている。だから、今は成果に結びついていないように見えても、過去の先人たちの成果を思い出し、未来の可能性を信じて、目の前の社会運動に当たっていくそのこと自体が希望である、という事が繰り返し細かい章立ての中で、たくさんの参考文献をもとにパワフルに語られている。
この本は -
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希望について書かれている。それが何であるか、何でないか。
本書を読んで、今まで使ってきた「希望」という言葉は、本書が語る意味での「希望」ではなかったことに気がついた。
著者言う。
「希望とは未知や不可知のものを受け容れることであって、確信的な楽観主義や悲観主義とは違う。楽観主義者は、私たちが関与しなくても者とはうまくゆくと考える。悲観主義者はその逆だ。どちらも自分の行動を免除する。」
私が語る「希望」は自分の行動を免除していたと思う。ただ願うだけ。
「希望」はもっと真剣なもの。行動を促すもの。
著者が語る「希望」。再読して、しっかりと吸収したい。 -
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歩くこと。歩きながら考えること。それが人類をいつも前に進ませてきた。人類の精神を形作ってきた歩行の歴史を、自身の経験も交えながら縦横無尽に語りつくすノンフィクション。
私は歩くのが好きなほうで、時間が許せば二駅分くらいの距離は歩いていく。交通費をケチってると思われたりもするが、私は一人でものを考える時間が好きだから歩くのが好きなのだなと本書を読んで気づいた。歩くことについて考えたことがなかったから、そんな単純なこともわからないままにしていた。
本書でソルニットが俎上にあげたトピックは多岐に及ぶ。そもそもヒトを猿から隔てたのが二足歩行だから、人類史のほとんどが歩行と結びついてしまうのだ。ひと -
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『まったく何もしないのは案外難しい。人は何かをしている振りをすることがせいぜいで、何もしないことに最も近いのは歩くことだ』―『第一章 岬をたどりながら』
例えば「Skyscraper」という英単語が「超高層の建物」を指す言葉だと知った時に生じる小さな衝撃は、空という手の届かない絶対的な背景がペインティングナイフでさっと削ぎ取れてしまう程の距離にあるカンバスの上に空色の絵具として一瞬にして凝縮されてしまう変容に由来しているように思う。あるいはそれを「地」と「図」の逆転と言ってもよいかも知れない。陰陽の太極図が示す相対するものの置換と言ったら少々大袈裟かも知れないが、レベッカ・ソルニットが大部の -
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写真家の石田さんの池ノ上QuietNoiseの展示の後、アンディに誘ってもらって光春で飲むぞの会に呼ばれたので行ったらその席の隣で、谷口さんたちがこの本の読書会後の懇親会をやっておられて、「ウォークス」面白いよと紹介してもらいました。下のリンクにもあるように、520Pの大作です。「暗闇のなかの希望―非暴力からはじまる新しい時代」(2005),「 災害ユートピア――なぜそのとき特別な共同体が立ち上がるのか」(2010)など、多彩に動きまわる作家レベッカ・ソルニットが放つ新作の登場です。
「歩く」ということから、人類学・宗教・政治・文学・芸術・デモ・フェミニズム・アメリカの都市、など多様なジャン -
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「科学道100冊2021」の1冊。
<イラスト授業シリーズ>既刊7巻のうちの1冊。
「見開きでまとまった簡潔な構成と適度にデフォルメされたイラストで、複雑なしくみやはたらきをわかりやすく学べるビジュアル図鑑シリーズ」とのこと。なるほどその通りで、各トピックは見開き2ページなのだが、その2ページがぎっしり。イラストで原理を説明し、豆知識・関連情報もあり、といった形。
本書では
・動力とエネルギーの技術
・移動と輸送の技術
・材料と建設の技術
・家庭の技術
・音と光の技術
・コンピューターの技術
・通信と伝達の技術
・農業・牧畜と食品の技術
・医療の技術
に分け、それぞれ、十数項目程度までを -
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(01)
誰もができることとは言えないまでも,多くの人間たちが行うことができることとして「歩くこと」が本書では取り上げられる.全17章は,プロローグやエピローグにあたる部分を除けば,ほぼ時代を追う構成となっている.
古代ギリシアの哲人たちや近代のルソーやキェルケゴールといった哲学者たち,無文字の時代に直立で歩かれた痕跡,神話や巡礼に現れる歩行,フランス庭園からイギリス風景式庭園で歩かれた記録,庭園を離れ歩き出したワーズワース(*02)らの一群の逍遥,アメリカ大陸東部のソローらの歩行活動(*03),登山や記録に挑戦する徒歩旅行,産業革命を経た都市から歩き出す労働者たち,ディケンズのロンドンやベン -
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「説教したがる男たち」「暗闇のなかの希望」が面白かったいきおいで、ソルニットの主著(?)ともいえる「ウォークス」を読んでみる。
500ページと分厚いうえに、かなり圧縮度の高い文章がつづき、ボーと読んでると、すぐに文脈がわからなくなる。というわけで、結構な集中度を要求する。
内容としては、「歩く」ということについて、古今東西、いろいろなジャンルを横断しながら、縦横無尽に「歩いていく」感じかな〜。
たとえば、「逍遥」派(?)のアリストテレス、「孤独な散歩者」のルソー、ワーズワース、ベンヤミンとある程度予想がつくところを超え、人類が二足歩行になることが脳の進化を促したといった人類学、考古学的な -
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タイトルと帯に心惹かれて購入したものの、ちゃんと表紙を見ていなかったためエッセイとは気付かなかった。そんな驚きから読み始めたが、内容はある程度面白く楽しむことができた。ヨーロッパの地理に詳しければより楽しめそうだとは思うのだが、そっち方面に詳しくなることはきっとないだろう。飛行機も船も車も嫌いな引きこもり人間にはちょっとハードルが高い。
本筋とは全然関係ないのだが、蝟集という単語が作中に出てきて、意味を調べた。意味そのものは集という字からわかる通り、一か所に集まっている様なのだが、蝟という字がハリネズミを表しているらしくハリネズミの針のように集まっているという意味だそうだ。知らない言葉と出会う