岸本聡子のレビュー一覧
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水道事業の民営化問題にとどまらず、グローバル企業に抗する自治体の取り組みなどが紹介されていて、とても興味深い。
民営化によって水道料金が高騰したり、サービスや品質が低下したり、事業や財務状況の監督が困難になったりする。イングランドとウェールズの水道会社10社は、必要のない借り入れを繰り返して借入金を膨らませ、税金の支払いを少なくし、株主への配当を確保し、必要なインフラ整備を行わない口実としていた。民営化は株主優先、企業利益優先というビジネスルールによって、公共が解体されるプロセスであった。
スペインでは、2008年の世界経済危機を受けて、EUの財政規律を守るために福祉や教育などの公共サービ -
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麻生氏が当時の副総理大臣だった時の、海外に向けた日本の水道の公営化の発言から本文が始まっている。
著者は海外の水道事業のうち、民営化されたものが再度公営化された例を研究や情報収集している。
パリから始まった水道の再公営化の波は少しずつではあるが着実に広がっている。その理由は外資系水企業における、不当な利益や情報が表に出ない形での財務体質など。
再び公営化すれは全てが解決するわけではない。契約期間内での解約であれば膨大な違約金が地域の住民に降りかかる。またそこから公営化のシステム作りにも多額の税金がかかってくる。
多くの物は失ってからそのありがたさが分かる。あまりにも当たり前に -
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こういう「考え方」を売りにすれば杉並区長になれるんだ。と少し皮肉に思って読む。なぜなら、不都合な事実は触れていないこと。例えば、英国の労働党の党首だったコービンを押し上げたのは市民の力、特に若者の力だという。しかし、労働党は選挙で負け、「迷」宰相ボリス・ジョンソンを産み出す原動力になった事実にはふれていない。「イフ」には意味ないかもしれない。しかし、あまりにもバランスを欠くように思える。でも、こうしてあえて「バランスを欠いて」いることが支持者をもたらすのであれば確信犯として、こういう言説を「売り」にすべきなのかもしれない。こうした方の著作権にバランス感覚を求めるのは、八百屋で魚を求めるようなも
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ネタバレ海外の水道はほとんどが民営、は嘘。2012年で12%程度。
PPP/PFI推進室に水メジャーが出向。
コンセッション方式(公共施設等運営権方式)の運営権は物権。売渡もできるし担保も設定できる。
関西空港の運営権料は、年間490億円。これが一時収入になるので、売渡側は打ち出の小づちに見える。しかし、災害対策は運営会社任せでおろそかになる。復旧も運営会社まませ。
アイルランドは水道をすべて公費で運営。水のメーターがない。
世界では水道は再公営化が進んでいる。そのほか、電力、地域交通、ごみ収集、教育、健康・福祉サービス、自治体サービスなど。
パリの水道料金は、民営化後24年間で265%上昇。
欧 -
Posted by ブクログ
以前から「水道を民営化すると、サービスが低下し、料金が上がる」ということを言う人がいて、自分もなんとく「水道は民営化(コンセッション)しないほうがいい派だったのだが、一冊にまとまった本書を読んでその意を強くした。
本書に掲載されたパリほか、欧州の事例を読むと、一度民営化すると再公営化がいかに困難かもよくわかる。
契約上の違約金の問題もあるし、ノウハウの喪失という運営上のリスクが膨らむからだ。後者は、派遣社員任せにしたり、製造を海外に移管した普通の会社でも起こりがちな問題でもある。
空港施設のコンセッションは、どちらかというと肯定派だったのだが、関空の事故では民営化のリスクを露呈してしまっ -
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いまいち。
精神病に関する記述については、実につまらん、と言うしか無い。まだ、読んでる途中だが。つまらなくて読み続ける気が失せる。
著者は精神病棟の実際を知らないんじゃないのかな。私は中にいたけど、患者として。その経験から言うとこの人は実際を知らない。