あらすじ
新しい杉並区長の言葉から、「未来」や「希望」が聞こえてくる!
──中島京子
移民として、女性として、活動家としての困難や葛藤の実体験が生んだ、地べたの民主主義がここにある。
──斎藤幸平
ヨーロッパのNGOで働き、マイノリティとして疎外を感じつつも、新しい「下からの民主主義」を追求してきた著者による、体験的エッセイ。気候正義をはじめとするヨーロッパ政治運動の貴重な報告として、ロストジェネレーションのリアルな声を伝えるレポートとして、そしてフェミニズムを生きる告白として綴る、同時多発テロからコロナ危機まで世界激動の20年を生きた女性の記録。NOではなくYESで世界を変える! ヨーロッパと、そして世界とつながる「希望のポリティクス」の息吹がここにある。
「この本は、ロストジェネレーションに生まれた日本人女性である私が、日本人とオランダ人の国際結婚に葛藤しながら、ヨーロッパの移民として、学歴もお金もないところから働いて、子育てして、「自分のことは自分で決める」を貫いて生きてみた記録だ。いま、世界に同時多発的に起きている「下からの民主主義」を後押しするものになればと思う。」
【目次】
■I部 日本からの移民イン・ヨーロッパ
第1章──2003年 アムステルダム
日本人、ヨーロッパの政策NGOで働く
第2章──2001年 アムステルダム
外国人として、移民として、女性として生きる
第3章──1997年 東京
グローバルな対抗運動の芽生え
■II部 ロストジェネレーションの連帯
第4章──1998年 東京
ロスジェネ世代と呼ばれて
第5章─2018年 ブリュッセル
私の環境運動は気候変動から始まった
第6章──2007年 アムステルダム
水の正義とエネルギーの民主化
■III部 フェミニズムを生きる
第7章──1994年 東京
それは夫婦別姓から始まった
第8章──2019年 ブリュッセル
結婚と家族と言語の事情
第9章──2020年 ブリュッセル
作ること、食べること、生きること
第10章──2020年 東京
私たちはケアし、ケアされている
終章──2020年 ブリュッセル
同時多発的な市民運動の時代に
エピローグ──2022年7月2日 東京
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現杉並区長の著書。
表紙のイラストから、物騒なイメージが湧いてしまうような気がしてもったいない。
オランダやベルギーで暮らしNGOで働いた経験を日本へ持ち帰り、杉並区で発揮されていくことと思う。
超高齢社会の日本の閉塞感を打破する民主政治の先駆者に期待したい。
Posted by ブクログ
今をときめく女性アクティビストである杉並区長・岸本聡子さん。
この本では、ポルトアレグレ、シアトルWTO、世界社会フォーラム、ボリビアの水戦争など、懐かしいキーワードが続出。そう、岸本さんは、90年代後半からの、反グローバリズム、反新自由主義を掲げた世界的なグローバル・ジャスティス運動の渦中に身をおいていた人だったのだ。
ここまで読んで、ピンとこなかった方は、ぜひ上記のキーワードをググってほしい。環境破壊や生物多様性の喪失、人権問題、先住民の抑圧、格差と貧困の拡大、家族農業の危機や地域コミュニティの崩壊など、世界各地で頻発する問題のほとんどが、多国籍企業と金融資本が国家や国際機関と結託して推し進めてきた、新自由主義経済政策や経済のグローバル化によるものだという認識が、この頃世界中の市民セクターに広がり、それに対抗する勢力の横の連帯が生まれていった。具体的には各国での規制緩和や民営化、貿易・金融・投資の自由化といった一連の政策であり、企業による世界支配つまりコーポラティズムといってもいい。
911が起きて対テロ戦争が始まり、こうした民衆の動きは水をさされた(これをショック・ドクトリンという)。といっても、日本からは見えにくいけれど、その後の欧州の気候正義運動やアメリカのバーニー・サンダースの躍進などは、こうした流れを継いで起きていることだ。こうした世界の大きな潮流を、市民セクターの側から見てきた人が、自治体の首長になった意味はとても大きい。
そして思うのは、アメリカや日本で広がったDS(ディープステート)陰謀説との関係だ。新世界秩序を推し進めるユダヤ金融資本やディープステートや「サヨク」が各国政府やマスコミなどを支配し、ワクチンもコロナもウクライナ戦争もSDGsも実は彼らが糸を引いてきた、というような説がSNSで広められてきた。それを退治するヒーローがトランプだ、というわけだ。
たしかにアメリカでは、ユダヤ系金融資本とマスメディアそしてワシントンの政治家たちエリート集団が連携し、大きな影響力を持ってきた。それに軍も加わり、軍産複合体もつくられてきた。それは事実だと思う。しかし、その本質はコーポラティズムであり、大企業と金融資本と国家が結託して進めてきた新自由主義グローバリズムというプロジェクトなのだ。それを、「ユダヤ」や「民主党」「サヨク」「共産主義」などというアイコンにむりやり結びつける物語をつくり拡散することで、本当の問題を隠蔽してきたのがQアノンなどのDS陰謀説ではなかっただろうか。サル山のボス争いでハブられていた別の資本家や企業家などが宗教右派勢力と結びつき、マスメディアに対抗すべくネットを使ってヘゲモニー確立を狙ったのだろう。実際、トランプ自身大富豪で、バックに石油業界がいるし、大統領在職時は金持ち優遇政策を推し進めた。サル山のボス争いに、一般庶民がバカみたいにつきあわされただけなのだ。バイデンもトランプもプーチンも同じ穴のムジナだろう。
グローバル・ジャスティス運動に共感を持った身からすると、「DS」とは、真の原因であるコーポラティズムや新自由主義グローバリズム
から目をそらさせるために悪者として仕立てられた偽旗だったように思える。そして、岸本さんはじめグローバル・ジャスティス運動に首を突っ込んだ人であれば、DS陰謀説に踊らされにくかったのではないか。いわば、グローバルな視点を持った、アップデートされた左派、いやエコ・アナキズムとでも言おうか。残念ながら日本ではそういう人は多くなくて、環境主義者や左派社会運動勢力もグローバルな構造的視点が希薄だったので、環境派や左派の間にもこれだけ陰謀説がはびこったのかもしれない。
真の問題を見誤まって人生を浪費したり、世界の混乱を助長したりしないようにしたいものだ。
Posted by ブクログ
こんな人生を生きてきた人が、なぜ帰国して、区長選挙に立つことになったのか?
それが具体的に書かれていないことが、最大の疑問であり不満。
この書籍が企画された時には、もう一人のブレディさんみたいな感じだったのかもしれないが。
Posted by ブクログ
いわゆる弁護士あがりのエリートでもなく、志と現実との間で苦悩しつつも前へ進んでいく、その飾らない等身大の姿に共感。また気候正義とフェミニズムとの関係への気づき、フィアレスシティとの連携への流れへと、思考と行動の積み重ねが作者を最前線の場へと導いていることを理解することができた。自らを顧みる機会を与えてくれる貴重な本との出会いだった。これからの杉並区に注目していきたい。
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のびやか、な印象を受けた。いいなあ。だけど、これで政治やれるかなあ。連中、汚いことやるぞ。応援します、という気になれるのがありがたい。
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2022年6月の杉並区長選挙で当選した話題の人物によるエッセイ。
1974年東京生まれ、大学卒業時にバブル崩壊後の金融危機が重なった「ロストジェネレーション」。
環境NGOの専従スタッフから始まってその後ヨーロッパに活動の場を移したその時々の体験から「気候変動」「水の正義」「移民・マイノリティ」「フェミニズム」「ミュニシパリズム(地域主権主義」等縦横に語る。
杉並区長としての活動に焦点を当てた近著「地域主権という希望』も続けて読んでみたい。
Posted by ブクログ
年始の特別番組
「高橋源一郎さんの飛ぶ教室」での
ゲストが上野千鶴子さんだった。
その上野さんが放送の中で
「伊藤比呂美、ブレディー美香子、ヤマサキマリ
と続いているのだから
いつ 私が(番組に)呼ばれるのだろう
と ずっと思っていた」
と なかなか楽しいコメントをおっしゃっていた
きっと そう遠くないうちに
岸本聡子さんも 呼ばれるのだろうな
と 思わせてもらった一冊でした