岸本聡子のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
杉並区民で岸本区長には共感しておきながら、
著作を読んでなかったのでまずはこちらを。
欧州の水道再公営化の事例を取り上げながらも、
にも関わらず遅ればせながら民営化をしようという日本の政治家の動きを危惧して書かれた作品。
折しも、その水道民営化の旗を振った人物が、
現政権でまた顔を見せ始めた麻生太郎だし、
今作が5年以上前の著作なだけに
現状が気になります。
今後も、まずは民営化が進まぬよう注視したい。
一方で、今作の後半にはミュニシパリズムという印象的な言葉が登場し、
まさにいま杉並区で取り組もうとしているものが何なのかが見えます。
本人がどれほど政治家になる未来を想像してたかはわか -
-
Posted by ブクログ
人新世の「資本論」の斎藤幸平、「永続敗戦論」の白井聡、岸本聡子杉並区長ら
そうそうたるメンバーが自治を語る、コモンを語る、自律を語る。
正直難易度が高く、頭に入らないものもあった。
一番理解しやすかったのは藤原辰史さんの農業の自治。
古来人間は集って狩猟、農業を営んでいた。そこに自治があった。
種の保管、水の確保、料理。
最小単位の集団で、自分たちで取り決めをし、少しでも全体の収穫を大きくしようとした。
ここに国が絡むと、年貢を納めることになるが、これを金銭で納めるようにすれば
商売の考えが生まれ、余剰金で新しいものが買える。そこにも自治ができる。
などなど、人類の歴史に根付いた自治の話は -
-
-
-
Posted by ブクログ
最近読んだこの手の「啓蒙的実用書」の中ではピカイチの読み易さと説得力。
その点では、本書を読もうと思ったきっかけとなった、斎藤幸平氏のベストセラー「人新生の資本論」を大きく凌駕する印象だ。
しかも、本書で再三再四登場するPPP/PFIの申し子とも云える世界的「水メジャー」ヴェオリア社。その日本代表は、当方の高校大学時代の同級生だ。そうか、本書の著者が闘っているのは、ある意味、あの彼女が体現している価値観、事業なのか。そう思うと、安易に本書の主張全てを無条件に肯定する気にもなれず。我ながら、もっと勉強し、事実と理論に基づく客観的な認識と理解を深める必要があることを痛感する。
しかしそれにしても、 -
Posted by ブクログ
今をときめく女性アクティビストである杉並区長・岸本聡子さん。
この本では、ポルトアレグレ、シアトルWTO、世界社会フォーラム、ボリビアの水戦争など、懐かしいキーワードが続出。そう、岸本さんは、90年代後半からの、反グローバリズム、反新自由主義を掲げた世界的なグローバル・ジャスティス運動の渦中に身をおいていた人だったのだ。
ここまで読んで、ピンとこなかった方は、ぜひ上記のキーワードをググってほしい。環境破壊や生物多様性の喪失、人権問題、先住民の抑圧、格差と貧困の拡大、家族農業の危機や地域コミュニティの崩壊など、世界各地で頻発する問題のほとんどが、多国籍企業と金融資本が国家や国際機関と結託して推し -
Posted by ブクログ
水道、再び公営化!
ヨーロッパでの動きをもとに、水道事業の民営化に対して一石を投じる本書。
フランス、イギリスが水道を民営化された状態からいかにして公営化に至ったかが記載されている。また、水や住居などの<コモン>を民間企業に任せることの危険性を論じている。論点としては、一つは水貧困の問題である。水貧困とは、家計支出のうちの水道料金の割合が一定以上の世帯を指すが、水道料金という固定費を民営化=企業の収益状況により値上げが起こるものとしてしまうと、貧困層の生活が苦しくなるというものである。実際に、民営化直後に水道料金を4倍に引き上げる企業も存在し、その結果、貧困層はトイレを毎回流さないなどの対応 -
Posted by ブクログ
選挙に興味を持ち始めたものの、分からないことだらけで読んでみた本。
なぜ自民党は強いのかや、なぜ野党は勝てないのか、なぜ女性政治家は少ないのかなどをテーマに。
前半はデータに基づいた話しをしているので、ウッとなるが、分かりやすく書いてくれているので、初心者でも全然分からないということはなく読めた。1からと言うよりは、近年の選挙に絞られていて、そこも身近に感じられて良かった。
最後は哲学対話で締められている。
興味を持ったのに、具体的に話すのはタブーみたいな風潮でより分からなくなってく「選挙」。生活の中で感じている「選挙」のことが話されていて、もっと身近にみんなで考えてみたいと思えた。
-
Posted by ブクログ
この本を手に取ったきっかけは、情報番組で「自民党がなぜ強いかをデータで分析している」「選挙とは何かを座談会形式で考えている」と紹介されていた点に惹かれたからである。
本書によれば、自民党が強い理由としては、①小選挙区制において効率的に議席を獲得できる制度構造、②公明党との選挙協力、③野党が候補者を統一できず票が分散すること、④非都市部で組織団体や保護政策を通じて基盤を固めていること、⑤政治に不満を抱えながらも与党に投票する層が一定数いること、などが挙げられている。
また、(本書の説明を踏まえつつ私の理解を交えて言えば)投票率の低さも自民党に有利に働いている。特に「選挙に行かない層の中には野 -
Posted by ブクログ
インフラの老朽化に危機感を感じる今日この頃ですが、財政難とはいえ水道という公共の財=コモンを民営化すると利益優先になり危うくなる。
それをコモンとして取り戻そうとする欧州の市民運動の手法がとても理知的だなと思った。したたかに、民主主義の仕組みを変えていく躍動感を感じた。
欧州では水道事業の民営化により、本来共有物であるはずの水道が、利益の対象となり、管理も杜撰になってしまった。
PPP/PFIと呼ばれる官民連携の全てが悪いとは思わないけど、本来公共の財であるべきもの、利益の対象とすべきでないものの見極めは重要だなと思った。
水道事業を通じて、本来の民主主義を捉え直すことが出来てなかなか面白か