三好昌子のレビュー一覧
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ネタバレ縁見屋(いわゆる仕事の紹介屋)の娘は祟りつきで、男子が生まれず娘は二十六歳で死ぬ言う事を一人娘のお輪が知り、自分の運命に不安を募らせている所へ帰燕と言う名の修行者が現れ、秘術によりその呪われた呪縛と悪縁を断ち切れると言うのだが・・・
その呪縛の始まりや、この謎の帰燕と言う修行者との繋がりなどが後になる程どんどん明かされていき、それとともに物語も京全土を巻き込んだ壮大なものになって、ラストまでずっと引込まれるように読めました。
始めは時代物のような少し固い感じかなって思ったのですが、そんなことはなく、帰燕への恋心や(幼馴染みの徳次はちょっと可哀想に感じたけど) 天狗伝説になぞられたような話し -
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「幽玄の絵師」シリーズが良かった作家さんの単発もの。
今回は『呉服屋の三男坊ながら、戯作者を夢見る喜三郎』と『不魔』と呼ばれる不思議な琵琶法師『無情』との宿縁を描いた物語。
自らが生まれたのと同時に母親を失った喜三郎は、母親代わりに育ててくれた母方の祖母の影響で芝居の魅力に取りつかれ、幼い頃に通い詰めた〈鴻鵠楼〉(現在は主の死と幕府の派手な芝居の禁止令により廃業中)を買い取り自ら書いた戯作を掛けるのが夢。
しかしその〈鴻鵠楼〉買い取りには既に手を挙げている者がいた。それは喜三郎の婿入り話の縁談相手・千代であり、彼女にはこれまで縁談のあった相手二人が婿入り直前に亡くなるという不吉な噂があった。 -
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「幽玄の絵師」の続編。続編が出てくれて嬉しい。
今回は主人公の土佐光信よりも友人の箕面忠時と彼が恋した針の妖・つづれとの関係の行方が気になって仕方なかった。
忠時は元々農家の出だったが戦災孤児となり武家の養子となった。そのため武道を学んだが本来は庭づくりが好きな心優しい人間という設定。
対するつづれは縫い子としての腕を妬まれた女性が追い込まれて自害した際に彼女の針の妖として生まれた。そして御所で生まれた彼女は御所から出られない。
応仁の乱に巻き込まれた忠時は過酷な運命から逃れるために御所を出るが、つづれと共に生きることは出来るのか。
そしてもう一つ、「幽玄の絵師」にも登場した真汐と兵馬、二 -
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時は室町時代。
8代将軍足利義政の世である。
世は乱れに乱れ、大名は戦に明け暮れ、人々は度重なる天変地異にも翻弄され、その日一日を過ごすので精一杯。
しかし、将軍は自らの殻に閉じこもり、作事、作庭に明け暮れる。
一歩外に出れば、餓死した民が山ほどいるというのに。
そんな中、絵師の土佐光信は怪異に出会う。
あるものは恋焦がれ、あるものは憎み、そしてあるものは…神、あるいは鬼。
人の望みが世を作る、と怪異は知らせる。
我らは望みがあって生まれるものぞ、と。
だとしたら、なぜ穏やかな世にならぬ?
主らがこの世を地獄に変えているのでは?
怪異が語ることと、それを裏付ける人々の行動には寒気がする。
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ネタバレ「縁見屋の娘は祟りつき。男児を産まず二十六歳で死ぬ」
人情小説かなあと思ったら、天狗や修行僧まで、かかわってくる。
京で口入業を営む「縁見屋」の一人娘のお輪。母、祖母、曾祖母がみな二十六歳で亡くなる。縁見屋の歴史とかかわる呪縛はすべて人の思いから重なったもの。
お輪の父は「過ぎたことは気にするんやない。終わったことは二度とは起きん。ええことも悪いことも。せやさかい、今を大事にせなあかん。今を大事にして、きちんと生きておったら、悪いことなんぞ起きんさかい。」を口癖にする。
妻を失い、娘まで失う不安を恐れ、いろんなところへ信心を行う父。能天気なまでの朗らかさも、暗い運命を吹き飛ばそうとする気遣いの -
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ネタバレ「縁見屋の娘は祟りつき。男児を産まず二十六歳で死ぬ」
京で口入屋『縁見屋』の娘、お輪は度々見る火事の夢が気になっていた。
母も祖母も曾祖母も二十六歳で亡くなったという。
いずれ自分もそうなるのか、世間で噂されている祟りのことをお輪は憂いていた。
ある時帰燕(きえん)という修行者がやってきた。
お輪は何故か彼のことが気になって仕方ない。
そのうち、縁見屋の娘にかけられた祟りの所以が明らかになり――。
【このミステリーがすごい】の優秀賞の本作。
解説にもありますがミステリー感は薄いです。ミステリーというよりよく出来た時代小説という気がします。純な時代小説というには語弊があるかもしれません。