あらすじ
町絵師の子として育った諒は、京狩野家の絵師・五代目狩野永博の許へ弟子入りをする。諒の才能に惚れこんだ永博は自分の娘・音衣と結婚させ婿養子として迎えた。京狩野家の六代目絵師として邁進していたが、妻との関係が冷めていくうちに、諒を兄と慕う幼馴染みの夜湖といつしか男女の関係になっていた──。一方で、「豊臣家の宝」とも呼ばれ、岩絵具にすると深い群青色を出すといわれた幻の輝石「らぴす瑠璃」が京狩野家に密かに伝えられているという噂を耳にする。「絵師とは何ぞや」。その答えを求め続ける男たちと、様々な思惑の中で苦悩する女たちを描いた、書き下ろし時代小説。
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Posted by ブクログ
安心して読める小説。
この作家のいいところは安定感があるから感情を乱されずに読めるところ。人の悪を書いている小説を読んだ後に読むと清々しい心になるし、現実逃避したい時に読むと嫌なことも忘れるぐらいにのめり込める。
今まで読んだ作品で鬼庭の次によかった。
Posted by ブクログ
面白かった。よく勉強しているなと思う。日本画をやっていたので、絵の具の違いや構成など、色々思いだされて、また、筆を取りたくなった。「描け!」と言われている気がした。
Posted by ブクログ
絵師が見つめる群青の闇。それは目の前に在るものでありながら己の中に在るもののような気がする。諒の生き方に馴染んでしまう自分を感じる。これはもう憧れなのだろうか?
Posted by ブクログ
江戸時代の絵画の名門 狩野家、その中でも京狩野家と江戸狩野家の確執と、町絵師の巨人 円山応挙との関係を描いた物語。
狩野家といえば絵師というより技術者集団ということや江戸と京の問題は知っていたので、すんなり世界観に入る事ができました。
絵画の緊張感に欠けるきらいがありますが、絵師にまつわる物語としては面白く読めました。
Posted by ブクログ
狩野派の絵師諒を主人公としたお話。自殺した妻・音衣が実の妹だのいや貰われっ子だのぐずぐず諒が悩む前半がだるかったが、後半はそこそこ面白かったかな。深い青色を出すというらびす瑠璃をめぐり音衣がいつまでも関わってくるが、そのぶん夜湖がかわいそうかな。