髙森美由紀のレビュー一覧
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青森南部に江戸時代後期から伝わる刺し子の技法のひとつ菱刺し、伝統工芸を通じて再生する4編いや5編かも!?
八戸にある、お婆ちゃん先生のより子さんの工房。東側に名久井岳とゆう山が見える場所にあるらしい。そこで菱刺しを習う人たちの日常を中心に展開して行くストーリー。
スマホやパソコン、メールにSNSと現在の便利なアイテムが登場する中に一手間一手間作り上げる伝統の菱刺しは相反する存在のようなんですが、程良く生活の中に溶け込み受け継がれてゆく絆を感じました。
語り手が次々変わってゆくのですが章を重ねるごとに深みが出てきて立体感が増してゆく手法は秀逸で、繰返しの中から生み出される模様が人生と重なり見事な -
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ネタバレ【収録作品】魔女の菱刺し工房/今日の佳き日の矢羽根/ひょうたん/真麻の聴色(ユルシイロ)
より子の菱刺し工房を軸に、そこに関わる人たちの姿とより子の来し方を描いている。
「魔女の菱刺し工房」 やりたいことがなく漫然と日々を過ごしている高2の綾。ブログで知った菱刺しの作品を公民館で見かけたことをきっかけに、より子の菱刺し工房に出入りするようになる。/より子は、菱刺しに夢中になっていった日々を思い出す。
「今日の佳き日の矢羽根」 綾に工房を教えた結菜は、結婚を控えている。結婚準備を進めているなか、些細なことで父親と行き違ってしまい、気まずいまま結婚式を迎える。/より子は結婚したときのことを思い -
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最初の方は古臭い伝統工芸に夢中で夫として、家長として不適格な父親、それについにキレる母親、田舎でさぞ生きにくいと思われるオカマの弟、そして何をやってもオドオド自信のない主人公という家族の話になんだか暗くて嫌だなぁと思ったけど、読み進むうちに姉弟(妹?)のお互いの思いやりや、不器用な父親の愛情、近所や周りの人のそれぞれ辛い気持ちも抱えながらの温かさにじんわり胸が温かくなった。
弟が彼と結婚してオランダへ渡ってからは、斜陽産業ともいうべき津軽塗の良さを知ってもらい、再生させるために一心不乱に展覧会の出品作りに打ち込む。
まぁ上手く行きすぎって感じもなくは無いけど、こちらも息を詰めて応援したくなる、 -
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伝統工芸の津軽塗の職人の娘を主人公にした、
お仕事小説です…。お仕事小説は数あれど…、
忠実なまでの、王道の設定に、お話でしたね。
地方の伝統工芸にチャレンジする娘さんに、
ものづくりのお仕事小説、といぅ設定は…、
大好物のジャンルなので、面白かったですよ!
でも…、ふと考えてみると…、意外と、
伝統工芸を題材にした作品の記憶がなぃので、
そぅいう意味では、新鮮な感じもしました…。
作者と主人公が、等身大に近ぃからなのか?、
起承転結のあるお話も、読みやすかったけど、
何となく、起伏が少なぃ印象も感じたかも…。
でも…、舞台の青森感はよく感じれたけど…、
作中の津軽弁は、結構、読みづら