髙森美由紀のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ映画は見ていないが、津軽塗りを知るには映画がいいかもしれない。私が読んだ本には、口絵に作中に出てくる小物を思わせる津軽塗りの写真があり、巻末には漆塗りの用語などがあったので、検索しなくてもすんだ。
私がこの作家に惹かれたのは、これが青森県の、そこに住む人の物語だったことが、いちばんの魅力だったかと思う。他県ならどうかというと、そこはわからないが、青森という地元に密着した物語は、そこに住む人にしかわからないリアルを持っている。それが今の自分にピッタリくるのかもしれない。
前半は、美也子とその家族や職場の、ちょっと行き詰まった場面が多い。美也子は人との関係がうまくいかないと思っているし、気の弱さからつけ込まれることもある。しかし、母親との関係、父親との関係においては、美也子はどちらも大切に思い、家族としてできる限りのことをしている。それでもどうしようもないことがある。弟(妹?)のはっきりした性格は羨ましいが、彼もこの社会の中では特殊と見られる状況下におかれている。
物語が進むにつれ、だんだんと登場人物が増えていき、それぞれの人とのつながりが増え、美也子は漆の修理を頼みにきた瀬戸のおばあちゃんや、安達さん、仙三さんに誠意を持って対応していく。漆に関しては、美也子も臆せず話すことができるのだ。吉田のばあちゃんに頼るところも大切だ。関係はそこから始まる。家族の関係も変わっていくが、それぞれの人生が新しい方向へと向かっていく。ユウも自分の力で人生を切り開き、美也子は自分の仕事について悩み続ける。めでたしだけで終わらないところがまたいい。
新版には、5年後の物語も。 -
Posted by ブクログ
小柄ながら、もと柔道部の青木美玖、レストランのオーナーシェフ明智登麿、甥っ子の中学生(不登校)瑛太の3人が営む、葵岳の麓にあるレストランの四季。
美玖にも、登麿にも、瑛太にも人生の辛いことが胸にある。物語の中で次第に明かされていく。登麿や瑛太の家族、常連客の佐々木の爺さん、美玖の父親、父の友人市川さんたち、そして登山にやってくる人たちと紡がれる物語が5つ。
キセキレイのきみちゃん、どのお話にも現れるけど、これはもしや?
なぜ美玖の父親が山に登る美玖を心配するのか、山で取れたものに手をつけようとしないのか、それが次第に明かされていく過程はなかなか良かったけど、登麿に関してはまだ問題が解決していない気がする。続編に続く。 -
Posted by ブクログ
つくねさんの本棚から知った、髙森美由紀さんの本です。ありがとうございます。自分の中で髙森さんのプチブームになっていて、続けて読んでいます。
髙森さんの本は、人との繋がりが色々な形で感じられる。その描き方が素敵だと思う。青森県の小さな町、というローカルな場所を舞台にしているところも、人との繋がりをより一層感じさせてくれる。私には、青森県という場所を舞台にしたローカルな物語でなければ、これほど魅力に感じなかったかもしれない。
まず、読み進むと出てくる「菱刺し」について調べてみる。これがわからないとイメージが湧かないから。
すると、1色で作った素朴なものから、多色でグラデーションを使ったもの、刺繍と合わせて創作的なものまで、いろいろなバリエーションがあることがわかった。「べこのくら」はあったが、「海のべこ」は見つからなくて、どういうものかわからなかった。
物語は、より子さんの教室に通う人たちの、それぞれの物語が紡がれていく。 -
Posted by ブクログ
言葉にはできない溢れる思い。
大切な人に伝えられるとしたら…。
それを可能にした菱刺しと菱刺し工房に集う仲間たちのリスタートの物語。
菱刺しは青森県に伝わる刺し子。
その模様の一つ一つには意味がありました。
・女子高生綾は職場の人間関係に悩む父親に、
・結婚の決まった結菜は残していく父親に、
そして父親は嫁ぐ娘に、
・母子家庭で育てられた香織は施設で暮らす認 知症の母親に、
登場人物たちはそれぞれ大切な人に菱刺しを贈ります。
菱刺しは忘れていた記憶を呼び覚まし、見落としていた思いにも気づかせてくれました。
また菱刺しには、たとえ間違って針を刺してしまっても何度でもやり直せるという特徴も。
失敗しても大丈夫。
自信は無くてもとりあえず前に。
一針一針進む姿は、まるで人生の歩みのよう。
リスタートは、いつでも、どこでも、何度でも。
温かく励まされたような気持ちになれる作品でした。
癒やされます。