アーサー C クラークのレビュー一覧
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Eテレの「100分de名著」のアーサー・C・クラークの1回目「太陽系最後の日」を見て、とても面白そうと思い読んでみた。全部で9の短編と1つのエッセイがおさめられている。どれもおもしろくて、未知の未来の状況を垣間見るわくわく感に、ひさびさに浸った。小松左京の短編を読むおもしろさ、10代後半の新鮮な感情に戻ったようだった。
・「太陽系最後の日」(1946) 太陽の新星爆発が迫り、大宇宙の貴族を任じてきたアルヴェロン一族は、地球を救うべく地球に向かうがそこには荒廃した都市と自然があるのみだった。帰途に就くと遥か彼方に無数の宇宙船団を発見する。荒廃した地球を目の当たりに見てきたアルヴェロンはその船団が、自分たちの脅威になるだろうと予感する。 救出団には触手があったり、形が無かったりいろいろな星人の姿がさりげなく描かれている。宇宙はいずれ意識体だけになるだろう、と予言した星人の思想も書いている。
・「守護天使」(1950) 「幼年期の終わり」の原型になった短編。「幼年期の終わり」の前半部分が描かれている。地球の20大都市の上に何の前触れもなく宇宙船が滞空し、地球は「地球監督官」によって「監督」される状態になった。世界は一つとなり、戦争も無くなった。その「監督官」の姿とは・・
・「地中の火」(1947) 地球の地中深く探るレーダーを作ったハンコック教授。はるか地底に人工物が・・
・「歴史のひとこま」(1949) 金星からの宇宙船が地球に到着した。その乗組員は爬虫類だったが、出迎える人類は誰もいなかった。が、テープが見つかりそこには一つの穴があり閉じたりしまったりしていたがどんな状況でも立ち上がる。その解析には永い間かかるだろうと言われた。最後に出てきた文字は「ウォルト・ディズニー制作」
・「コマーレのライオン」(1949) 26世紀末、文明はほとんど機械化され、惑星間飛行は日常となったが、リチャード・ペイトン3世はなにか充ち足りないものを感じ、禁を犯し曾祖父が作ったという芸術の町「コマーレ」に行くが・・
・「かくれんぼ」(1949) 敵の宇宙巡洋艦から逃げているスパイ
・「破断の限界」(1949) 二人乗りの宇宙船に隕石がぶつかり、二人でいては酸素が足りなくなる事態に。のんびり屋と几帳面と表面的には対照的な二人。さて・・
・「時の矢」(1950) 発掘作業をしている考古学者。すぐ近くに別な研究施設がありそこではタイムマシンを研究しているのがわかり作動してみる話がまとまる。。発掘は巨大な恐竜の足跡を掘りあて、その足跡は次第に歩幅が大きくなり獲物にとびかかろうとしていた。が、足跡のそばにジグザグのタイヤ模様を見つける。と同時に研究所が吹き飛ぶ音が聞こえる。
・「海にいたる道」(1950) 未来の地球。月との間を宇宙艇が飛行し、食料合成機が食事を準備する時代でも、人々は牧歌的な生活をしていた。ある日一人の若者ブラントが、海岸沿いにある見捨てられた都市「シャスター」に行くことにした。彼は飛翔艇を使わずに、馬に荷物を積んで徒歩で向かった。何日もかけて彼はシャスターに到着した。そこに大型宇宙船が来て、見知らぬ人間たちが降りてきた。
2009.5.25発行 2020.2.15第3刷 -
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ザ・ベスト・オブ・アーサー・C・クラークの第2弾は、解説の言葉を借りるならば「宇宙飛行の啓蒙的色彩が強い」作品が並びます。全16篇収録。
月面で働く父親のもとへ休暇に訪れたダフネが星々探求の大志を抱く「月面の休暇」や宇宙開発におけるさまざまなドラマが連作となった「月に賭ける」とその姉妹作「天の向こう側」は、そういった宇宙飛行の啓蒙的色彩が強く、とても惹きつけられる作品でした。
上述の作品は、宇宙空間での生活や宇宙開発の側面から、宇宙の魅力を存分に発揮しておりますが、それとは少し異なり、フロンティアを開拓する探究心や広大な宇宙に存在する未知なるものへの魅惑を感じる作品もちらほら。本書では「前哨」や「木星第五衛星」、「夜明けの出会い」、「星」あたりがこれに該当するかと。こういった作品が特に好きなんだよなぁ。
宇宙開発が当たり前となった昨今において、アーサー・C・クラークのような宇宙の魅力を大いに語ってくれる作家っているんでしょうか。改めて著者の偉大さを感じられた一冊でありました。 -
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<ザ・ベスト・オブ・アーサー・C・クラーク>第一巻は、1946年から51年にかけて発表された小説9編を収録。いわゆる初期傑作集となっているようです。初期といえど、第一級の作品として誉れ高い表題作や「幼年期の終り」の原型短編「守護天使」など傑作揃い。
ちょうど一年ぶりのクラーク本です。以前読んだ「白鹿亭綺譚」がアイデア一辺倒の作品でして、本書では、そういった純然たるSFの典型である「かくれんぼ」がかなり面白い。こういった作品を読めるのがクラークの魅力のひとつですね。
クラークの魅力のもうひとつは、特有の未来視です。これまで読んできた「幼年期の終り」や「2001年宇宙の旅」、「都市と星」に見られる未来視=ヴィジョンは、初期の作品でも健在。個人的に、クラークのヴィジョンは、不安を駆り立てられたまま投げっぱなしにされる印象が強く、とても冷酷です。本書表題作なんて、その片鱗を垣間見たようで、読後は寒気がしました。
冷酷というのは、言葉をかえれば現実視かもしれません。作品で描かれる華々しい未来の姿は、諸手を挙げて賛美されるものではなく、「本当にそれでいいのか」、「実際のところ、どうなんだろう」といった疑問が投げかけられます。こういった現実的な目線での批評が、ヴィジョンに程よく差し込まれることで、果てしない不安をうむのでしょう。
「海にいたる道」は、そんな未来視と現実視がひとりの若者の葛藤に描かれます。ところで、本作ではクラークの科学者としての残酷さが伺えます。常に発展をし続ける科学の歴史からすれば、「不変を許さない社会システム」はその信念どおりなのでしょうけれど、個人的には戦々恐々です。
さて、一年ぶりに読んだクラーク本は、やっぱり面白い!なんだか正統派SFを読んでいる感じでした。 -
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SF短編集。巨匠アーサー・C・クラークの傑作集その3です。
中~後期の作品を集めた巻だけあって安定感はばっちり。ちょっとやそっとの想像じゃ追いつかない宇宙の壮大さを垣間見られるお話、逆にすぐ手の届くところに宇宙がある時代を感じられるお話、とどっちをとっても見事な出来映え……なのはいつも通りですが。笑
ただこの巻はSFにあまり絡まないエッセイやなんかの分量が多めで、そのへんへの興味が薄いとちょっと水増し感があるかも。
編集後記に「小咄めいた小品は省いてエッセイを入れた」ってあるんだけど、そういうSF掌編をこよなく愛する身としてはだいぶ納得いかないです。
そんなこんなで「SF短編集」としては星1つマイナス。でも収録作それぞれのクオリティは間違いなく一級品だよ! -
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ザ・ベスト・オブ・アーサー・C・クラーク最終巻。前の2巻に収められているものよりも更に短めの話が集められた短編集で、小話的なものが中心ですが、なかなか印象深い。「憎悪」:グレートバリア近くの海に墜落したソ連の宇宙船を、真珠とりのハンガリー人が見つけたことから生まれる復讐の物語。ダイビングにも熱中していた作者だけあって、活き活きとした水中シーンとソ連軍の占領下ではぐくまれた憎悪の念の対比が印象的。「ドッグ・スター」:犬がからむ、泣かせるエピソード。最近、家にも犬がやってきましたが、なかなかあの瞳で見つめられると弱い。「太陽からの風」:太陽風を受けて進むヨットでの月までのレースを描く。数Kmにおよぶ帆を操る難しさ等リアル。「メデューサとの出会い」:飛行船のパイロットが、その技量を活かして木星探査船のパイロットに。迫真の木星内の描写と、そこで出会う生物。それだけではなく、長編にしてほしいテーマが詰まっております。もはや叶わぬこととなってしまいましたが。その他、スリランカでのダイビング・エッセイ「グレート・リーフ」等もあり、SF好きダイバーにはうれしい1冊。天気もいいので思わず海に持って行って波の音を聞きながら読みました。
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昨年からやたらとクラークを読んでいる気が・・・いや、これまであまり読んでなかったってだけなんですけどねヽ( ´ー`)ノ
表題作「太陽系最後の日」は、SF史上に燦然と輝く巨匠クラーク初期の代表作です。太陽の大爆発を目前にして滅びつつある太陽系に急遽派遣された異星人の救助チームが目の当たりにした、人類の取った行動とは・・・鴨も若い頃に一度何かの短編集で読んだことがあります。人類の無限の可能性とバイタリティを表現した、力強い傑作です。と、紹介したいところなんですが・・・この歳で読み返すと、「幼年期の終わり」同様に受けるイメージが全く異なるんですね。手放しの人類讃歌にそこはかとない違和感を覚えるんですよ。まぁ、これも古き良きSFの典型例と言っていえないことはないかとヽ( ´ー`)ノ
この短編集は、クラークの作品の中でも最初期のものを中心に編集されています。そのせいか、まだまだ荒削りで小説としての完成度は今ひとつの作品もあります。が、如何にもクラークらしい人類そのものを主人公に据えた巨視的なスケール感は既に健在で、決してハッピーエンドだけではない突き放したような視点も感じられます。今読むとちょっと物足りないところもありますが、後に巨匠と呼ばれるようになる片鱗は十分感じられますよね。
他にも「ベスト・オブ・アーサー・C・クラーク」と銘打たれた短編集が刊行されているので、機会があったら読んでみたいと思います。 -
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長編に比べるとクラークの短編ってつまらないという印象がありましたが、新訳のこのベスト・シリーズは何だが印象が全く違います。訳文でこんなにも変わるんですね〜。科学的事実を積み上げてここまで詩的に表現できる人が他にいるだろうか?いわゆるオチのある話より、オチもなんにもないオープンエンドの話の方が著者の特色を発揮しているように思えます。オープンのスケールがとてつもなく大きく想像力を刺激します。また、宇宙の中の孤独や不安を描く時にも突き放すわけではなく、哀しいような切なくなる表現をつかんうだよなぁ。長編の原型となった「遥かなる地球の歌」が良い。植民地となった星にさらに彼方へ向かう恒星船が修理のために立ち寄る事に・・・著者には珍しいロマンスたっぷりなお話。長編もこんなんだっけ?読み直してみよう。新訳って全く違った印象になります。「都市と星」その他も読んでみようかな。
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クラークさんは昨年亡くなっていますが、発表順に再編した短編集が最近でました。表題にもなっているデビュー作「太陽系最後の日」が最高。超新星化する太陽から人類を救おうと、銀河種族混成チームが地球にやってきますが・・・最後の一行で人類の苦い一面と可能性を見事に表現しているのではないでしょうか。その他、「幼年期の終わり」の原型となっている「守護天使」、「銀河帝国の崩壊」の原型である「海にいたる道」など納められており、面白さにばらつきはあるものの、若いクラークって感じで好ましく★は甘めになりました。真正面から宇宙を舞台にした作品群は夏の夜にぴったり!
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SFはこんなくらいがちょうどいい世界の謎を愉しみやすい▷再読の作品もあるが、懐かしさで読んでみた。意外にもののとらえかたの基盤になってくれていたのかも。▷表題作だけは概ね覚えてたのはそれだけ印象的やったから。▷未来世界に真空管や缶詰を見出すと滑稽に感じるかもしれないが、AIの発達により人間のすることがなくなるとか、都市に居住する必要がなくなり理想の田舎暮らしをするようになるとか、意志と自意識のあるロボットとかはまだ新しい。
■心覚えのための簡単なメモ
【太陽系最後の日】新星化しようとしているある恒星系の第三惑星に知的生命が存在することがわかったので宇宙の守護者たちが少しでも救えないかと急行するが…。この巻のいくらかは再読やと思う。中でも前に読んでからたぶん半世紀ほどやけど、この作品はほぼ完全に内容を覚えていた。それだけ印象的やったんやろうと思う。物語の展開は感動的でもあり、他に個というものを持たず全体でひとつの知性だと言える生命体の概念とかは驚きやった(まあ、蟻とか蜂とかバジュラとかELSとかの感じ)。
【地中の火】地中ソナーの開発により高温、高密度の地中に知的生命による建造物としか考えられない物体があることが判明した。魚にとっては水中が僕らの大気にあたる。そんな感覚で地中深くの高温高密度世界を大気として普通に生きている超高密度知的生物の作る都市、そして僕らは彼らにとってはガスみたいに希薄な存在かもしれないというような生物のイメージをいつしか抱いてたんやけどそれも元はこの著者やったのかとこの巻で気づいた。個人的にちょっとしたパラダイムシフトやったなあ。ぼくらは自分たちのいる相での存在しか考えられなかったんやと。異なる相での存在もあり得るかもしれへんのやと。
【歴史のひとこま】寒冷化による人類の終焉。かれらが宝物として遺したものは…
【コマーレのライオン】ユートピア都市とも言えるコマーレ。ペイトンは道中で仲良くなった人懐っこいライオン、レオをお供にコマーレを調査する。カーク船長やったら有無を言わせず住人全員を連れ帰ったかもね?《あなた、つまり、人間は、非常に複雑なロボットにすぎない。わたしはもっと単純だが、能率の点では優っている。それだけのことだ。》p.163
【かくれんぼ】宇宙空間で敵に追いつかれそうになった諜報員は物理法則を利用して巡洋艦を煙に巻く。ただの一個人が巨大兵器を翻弄するところがおもろい。
【破断の限界】タンクの破損で目的地まで二人分は酸素がもたないことが確実になった宇宙船の乗務員の選択は。
【守護天使】概ねテレビドラマ「V」(ビジター)のシチュエーションで異星人(守護天使)にゆるく支配されている地球の唯一の窓口、国連事務総長ストームグレンは、まだ姿を見せることはできないと断られているが彼らの姿を見たくてしかたがない。「V」とは異なる展開ではある。守護天使たちの目的は?
【時の矢】恐竜の発掘をしている現場の近くに謎の研究施設ができ、どうやら過去を覗くことのできる装置を開発しているらしいのだが…
【海にいたる道】人がいなくなったユートピア的都市、シャスターに赴いた少年、ブラントはそこで出会う。《あたし、迷子になるのって大好き》p.385
【貴機は着陸降下進路に乗っている――と思う】エッセイ。航空機の誘導装置と思われるものを開発をユーモラスに描く。 -
Posted by ブクログ
どれも面白かった。
著者の他の小説への影響、繋がりを感じさせるものばかりでザ・SFといった短編集で良かった。
「コマーレのライオン」は「都市と星」っぽいユートピア×ロボットで冒険要素もありで好みだった。
「破断の限界」もシンプル且つミステリーチックでキャラクター模様が面白い。
「時の矢」もキャラクターが魅力的で、オチは星新一っぽくて個人的には好きなタイプの作品。
1番良かったのは「海にいたる道」。
描写が美しくて読ませてくるし、メッセージ性も強くて良い。前半ちょっと助長気味?とは思いつつ、後半の主人公が旅をする描写は終始素晴らしかった。SF具合も絶妙だし情景がありありと浮かんでくる上に、それらがこちらに訴えかけてくるメッセージ性もあって、著者の未来に対する不安や諦念とか色々なものを感じられた。スフィンクスという一つの象徴がある感じとか、旅の中で未熟な主人公が自分の感情を噛み砕いている描写が結構好みでした。