日本の飛鳥時代をベースに、「八百万神(やおよろずのかみ)」と「鬼」をテーマにした作品。
この、日本古来の各地に根差した「多神教」をベースに各話を作り上げ、かつ個性的な神と多種多様な神器を登場させることで話を膨らませている。
この発想はありそうでなかったものであり、同じく八百万の神をベースとし
...続きを読むた「もののけ姫」や「千と千尋の神隠し」とも違う、新しいもの。
もっとも、影響を受けたであろう作品は色々見受けられる。
序盤のグロテスクな神の印象は「クトゥルフ神話」。
ただ、1巻でも後半になればクトゥルフ色が薄まり、より人間臭い「封神演義」っぽくなってきた印象。
さらに、1巻巻末の番外エピソードを読むと、これら怪異的な神も昔は人間(もしくは人の形をした神)だったと匂わせており、興味深い。
今後どう展開していくのか全く読めないが、この世界観は良い!
また、1巻最初のエピソードも非常に完成度が高く、今後に期待が持てる。
ただ、タイトルにもある「鬼」の出番が1巻では少なすぎ、少なくとも現状では「神」メイン。
今後鬼がよりストーリーに絡んでくるという事だろうか?
また、キャラ絵がやや独特で、ちょっと軽い感じがする点は数少ないマイナス要素?
ちなみに主人公の1人「お師匠様」は「役小角」という実在の人物。
634年~701年に生きた修験道の開祖とも言われる修験者(山伏)で、前鬼後鬼という弟子を連れていたという伝承もある。
この2人の弟子は夫婦の鬼であると言われているらしいが、この物語ではどうなるのか…。
(なお、伝承では当初から2人とも鬼であり、細部の設定・描写は今のところ大きく異なります)
ところで、645年が乙巳の変のあった年で、ご存知大化の改新の始まり。
中大兄皇子=天智天皇が称制したのが661年で、白村江の戦いが663年、壬申の乱が672年。
おそらく1巻の時点では660年前後というところなんでしょうね。
思ったより後の時代なんだという印象。