スチュアート・タートンのレビュー一覧
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autumn522akiさんの本棚から
この物語は読者に二つの「謎解き」を課してくる
ひとつはもちろん殺人事件の謎解きだ
犯人は誰か、なぜその人は死なねばならなかったのか、そして殺人はどのように行われたのか
誰が?なぜ?どのようにして?
いわゆるミステリーの謎解き
もうひとつはこの世界を形作っているものの謎解きだ
この世界をこの世界足らしめている法則とななんなのか
長老たちと村人たちとはどんな存在なのか
そして読者に語りかけてくるエービィとは一体何者でどんな目的を持っているのか
つまりSF世界の謎解き
そうなのだこの物語はミステリーの謎解きとSFの謎解きを融合させた面白さを提供してくれる物語なのだ!
ってぜんぜん違うわ!大馬鹿者!( ゚д゚ )クワッ!!
これは「人間」とは何か?を考える物語なのだ!
人の持つ弱さとは何か、人の持つ強さとは何か、奉仕とは、犠牲とは、仲間とは、家族とは、平和とは、そして愛とは
そんなことを、ちょっと気恥ずかしさを隠して、特殊設定という皿の上に乗せて考えてみる
そんな物語だったのだと思うのです
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Posted by ブクログ
特殊設定SF ミステリが大好物ゆえに手に取った長編小説。
[あらすじ]
突如発生した霧により、人類はほぼ滅亡した。
滅亡を残り100人くらい(少なっ)で踏みとどまった人類がいる最後の島は、島のまわりを囲うバリアで霧の侵入を防いでいたが、科学者3人のうちの1人が何者かに殺され、その死をきっかけになぜかバリアが消滅!殺人犯を特定し、処刑することでバリアは再起動するらしいが、あと46時間で、霧は島に到達してしまう!
衝撃の真相が中盤で明かされたあとも、殺人の謎は謎のまま最後まで楽しめるミステリ。要するに最後の最後まで霧の危機は去りません。
序盤では不穏だったり違和感だったり不可解なシーンの全てに理由があり、恐ろしい世界の中でもスッキリ晴れ晴れとするあっぱれな物語だった。
最高の小説でした。
唯一、訳の日本語が読みにくいのが気になりました。 -
Posted by ブクログ
おもしろかったです!いろいろな要素が混然一体となった物語に感じました。なにしろ、作者のタートンさんは3年かけて書き上げられたそうですから。わたしは事件を追うミステリーを主に楽しみました。
だから「あらすじ」は、翻訳者の三角和代(みすみ・かずよ)さんの「訳者あとがき」のはじめの所がよいと思いました。一部抜粋です。
「・・・閉ざされた島を舞台にしたクローズドサークル・ミステリー・・・未来×タイムリミットものだ。探偵に課された使命は―――人類を救いたければ、四十六時間で殺人事件を解決せよ。」(「人類」から「せよ」まで傍点強調)(P419)
SF的特殊設定の小説ですが、テクノロジー世界が滅んだあとの終末なので、古風でなつかしい感じです。だいたい「探偵」のエモリ―さんは、シャーロックホームズファンという設定ですし。
そんなSF的特殊設定は、凝りつつも、サラっと書かれています。そのなかでも「AI」の使い方がおもしろかったです。
この物語の中でAIが担っている役割は、AIなんかなかったころの小説にも、あったんじゃなかろうかと感じました。
こんな風に思わせるところがすごいところですね。
作品紹介には「特殊設定SF犯人捜しミステリー」なんて書いてありますけど、他の視点からみても楽しかったです。
ひとつは「寓話的」なことです。終末世界ですし、教訓・風刺があるようです。
「神話の世界」も伝わってきます。舞台はギリシャの島で、登場人物には「ヘファイストス」という名前の人がいて、いかにもギリシャ神話っぽいかな?
そして「聖書」のアダムとイブも連想してしまいます。
「神と人」をイメージさせる、いかにも欧米人が好きそうな感じです。
わたしは「島の住民を三人の科学者が率いる」ところに興味をもって読んだのですが、この三人はどうなんですかね?
それに比べて、島の住民たちはいいですね。わたしも混ぜてほしいです。こんな老人介護島があったら行きたいです。
デストピア小説っぽいですが、島の住民について知れば知るほど、わたしも含め、ぼんやり日本人を連想してしまいました。なんだか、わたしは「特殊設定?」、とだんだんおもえてきてヘンな感じです。
そうなると「特殊設定」と「普通設定」の境目がぼやけて「霧」がかかったみたいです。未来なのに昔にもどりまた未来にいる、グルグル回っているような不思議さがありました。 -
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ネタバレ4.6くらい。
イヴリン嬢は楽しく読めたが、海の悪魔は挫折した。これは面白いと聞いたので読んだら面白かった。最初はちょっと読み辛かったが。
最初は猿の惑星のような、エモリー達は猿で長老が人間、とか(身長差があるので)、長老が機械?いやエモリー達が機械?とか、考えていたけど、エモリー達は人造人間だった。HGウェルズのタイムマシンみたい。
名付けが結構意味深。
ニエマ→エニグマ?
エモリー→メモリーで記憶?
ジェームズ・モリアーティの響きにもちょっと似てる。
ヘファイストス→ギリシャ神話の鍛冶の神
テイアー→ギリシャ神話の女神(ティターン族)
セト→カインとアベルの弟でノアの祖先
など、結構連想しやすい名前。
最後まで読むとナウシカ。
ミステリー部分はちゃんとしてて傷口の位置とか面白かった。記憶失ってるのにエービィーは教えてくれない、という設定も面白い。
信用できないAIだけど命令に忠実で自己破壊も出来るのが良かったな。反乱しなかった。
通常では無理な舞台設定をSFだから!未来だから!で実現してて面白かった。
創世記だったな。
ニエマとヘファイストスで父と子。神とキリスト。テイアーが精霊枠?
ニエマという神の死後というのも面白い。
ニエマと夫、ヘファイストスの父親、というか人類の父親の話が無かったな。その分エモリーの父親や祖父、アーディルが活躍していたが。
子供が与えられるという点で、エモリー達には性行為の概念が無いんだろうな。骨格も内内臓の数も違うだろうし。
ヘファイストスはこの島にたどり着く間に怪我で失ったとか?身体中傷だらけだそうなので、よくたどり着いたな。
映像で見てみたい。
面白かった。 -
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ネタバレ事前情報もなく、何も考えずにタイトルと装丁に惹かれて読んだけど凄いなこれ!
人格?交代タイムループなんてもの良く思いつくな!
久しぶりに1日ぶっ通しで読んだし、興奮冷めやらぬうちにこれ書いてるのは深夜1時!
ポケモンスリープに勝ったのがこちらの本です!
いや、もう何も分からないまま始まって記憶喪失ものかな?と思いながら読み進めていって殺された瞬間の衝撃!
思わずページの厚み確認した。
まだこんなにあるが??
目が覚めるたびに貴様は誰だ!と登場人物欄確認し、終いにはノートに人物整理を書き出す。
ややこしいけど楽しい!
不自然に感じたところがどんどん理由が明らかになっていく時のパズルのピースがはまっていくけど正解の絵が全然見えない浮遊感。
誰が裏切り者で殺人者か。
アナの正体を知った時のエイデンの決断。
黒死病医者の決断。
ぐるぐるぐるぐるチェス盤をひっくり返され、宿主の人格という枷をつけられ、そして不可能だと思われたアナとエイデンふたりの救済。
イヴリンの正体、本性。
扉が開けられたような結末。
凄かった。
この作家さんの他の作品も読みます。 -
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がっつりSFでびっくりした。これはすごい。
触れる人を殺す霧から逃れ、小さな島で暮らす百人余りの村人と、彼らを導く三人の科学者。平和な暮らしの中で、突然起こった殺人事件。四十六時間以内に犯人を見つけて処刑しないと、島は霧に侵されてしまう。
語り手が村人の頭の中にいるAI「エービイ」なのが面白い。殺人が起こった夜の記憶がエービイによって消されているので、最初はとても混乱した。
だが、物語中盤から徐々に色々見えてきて、まずSFの設定のタネが明かされ、一気に引き込まれた。
最後は壮大な映画を見終わった気分。新しい世界に踏み出す彼らに、エールを送りたい。 -
Posted by ブクログ
スチュアート・タートンのデビュー作。
主人公はイングランドの大きな敷地で目覚める。
女性が殺される現場におり、自分の記憶は無くしていた。
ブラックヒース館と呼ばれる大きな屋敷に彷徨いやってくる。ブラックヒース館では今、多くの人々が招かれていた。
ブラックヒース館を所有するハードカースル家の長女であるイヴリン嬢がフランスから帰国したことで仮面舞踏会が開かれていたのだ。
主人公は黒死病のマスクを被った人物から、これからブラックヒース館で起こる殺人事件の解決を命じられる。
事件を解決すれば繰り返されるブラックヒース館からの脱出が約束されるが、脱出出来るのは1人だけである。このループされるブラックヒース館には他にも事件解決を命じられた人物がおり、その人物よりも早く犯人を見つけ出さないといけない。
主人公は人物、人格を転移しながら事件が起きる一日をタイムループし続ける。
というもの。
日本で言う特殊設定ミステリーで、正直設定やあらすじも目にしないで読み始めたほうがより楽しめる作品ではあると思う(知っていたとしても早い段階で設定は明かされるので、別段問題ないのだが)
自分はミステリー自体をそもそもそんなに読まない。特殊設定ミステリーというジャンルがあることは知っていたが、触れるのは初めてかもしれない。
なのでこの特殊な設定モリモリな物語を読み始めて、最初は大分苦戦してしまった。
80ページくらいまで読んで、人物の多さと話が頭に入ってこなさすぎて一度止めようかと思ったくらい。その後最初からまた読み直して、何とか話に入っていけたけど。
設定は大分複雑で、これどうなってるの? って瞬間は結構ある。
ただ大分ヘンテコな設定ではあるが、何でこんなことに? っていうのが物語を読み勧める牽引力にもなっている。
それらも一応解決されるし、大分力技な解決ではあるが、なるほどねーと自分は関心した。 -
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死の霧により人類が滅びた世界。
最後に残された人々が暮らすユートピアで、
起こってはならない殺人事件。
犯人を見つけられなければ、
今度こそ「本当の終わり」がやってくる。
『世界の終わりの最後の殺人』スチュアート・タートン
いや、もう……この設定が強すぎる。
「黒い霧」によって世界は滅亡し、
生き残ったわずかな人々は〈世界の終わりの島〉で暮らす。
彼らを導くのは、旧世界を生き延びた3人の科学者「長老」達。
島では争いも私欲もなく、
人々は互いを尊重しつつ「奉仕」をしながら
自給自足の穏やかな生活を送っている。
一見すると、理想郷そのもの。
けれどある日、殺人事件が起きてしまう。
それをきっかけに、
死の霧から島を守っていたバリアが解除される。
霧が島に到達するまで、残された時間はおよそ二日。
それまでに真犯人を突き止めなければならない。
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ディストピアとユートピアが背中合わせになった世界観。
「起きてはいけない殺人」が起こるという特殊設定。
こういうミステリ、好きな人にはたまらないはず…!
さらに面白いのは、
村人たちの体に〈エービイ〉と呼ばれる
AIが埋め込まれている点。
彼らは日々、都合の悪い記憶を消されて生きている。
だから事件が起きても、前日の記憶は誰にもない。
それなのに身体には傷があり、服には誰かの血が付いている…
この違和感が、とにかく不気味で引きが強い。
「長老」を絶対視する従順な村人たち。
60歳になると必ず死ななければならないという掟。
小さな歪みが少しずつ輪郭を持ち始めたところで、
衝撃の事実が姿を現す。
✧
探偵役となるエモリーの存在が良い。
他人を決して疑うことを知らない村人たちの中で、
ただ一人、この体制に疑問を抱く女性。
外からやって来る探偵ではなく、
内側から世界を崩していく構図がとても好みだった!
そして語り手が、まさかのAI〈エービイ〉。
記憶を消す存在を一人称に据えるなんて……
この語りは本当に信じていいのか?
と、最後まで疑いながら読むことになる。
特殊設定×ミステリが好きな人には、
ぜひ手に取ってほしい一冊です。 -
Posted by ブクログ
特殊設定ミステリーって万能ですね。設定を明確に開示すれば、どんな不可解な状況下でもミステリーは成立する。
「人を殺す謎の霧」が突然現れて世界滅亡、科学者がそれを防ぐバリアを開発、最後の人類がバリアの下で細々生きている(すごい設定)。
科学者は不死化し、村人から崇められている。その一人が殺され、犯人を特定しなければバリアが解除され人類が滅亡する。(なんで?)
しかも、登場人物が都合よく(この場合悪く?)記憶喪失になる。
これだけ、荒唐無稽でご都合主義な設定を盛り込んでもミステリーとしてきちんと機能する。どんなに設定が複雑でも、読者である人間に理解可能な真実が提示されればそれで充分ミステリーなんだろう。
とはいえ、設定を活かした意地悪なギミックが随所に仕掛けられている。語り手となる三人称はいったい誰なのか?それを理解することで「穏やかな村」の真実が徐々に開示されていく。
世界設定に対し人物関係は案外、簡単。科学者は3人だし、主要人物のほとんどが家族、読みやすいし心情に理解は優しい。 -
Posted by ブクログ
終わり方が最高!
様々な思惑のある乗客、乗員を乗せた船舶内で起こる事件の数々…伏線が巧妙な本確ミステリー。まるで、マダミスのようでワクワクする。
傲慢かつ残酷な権力者の所業は、現代社会に通じるものがあり、(いもしない)悪魔の存在に恐れ、憎しみを募らせる人々の様子は、現代の排外主義を描写しているようで面白い。
また、女性が賢くイキイキと描かれていつつも、それは許されないという時代背景など…。謎解きだけじゃなくて、描かれているキャラクターや、プロット、巻き起こる出来事が社会派作品としても魅力的で飽きずに楽しめた。
そして最後の真相は………これは予想しなかった!
思いっきり騙されて、そして結末が個人的に最高すぎて、やばい。
このキャラクターたちの続編ほしいけど、作者さん的に多分そういうタイプの方ではないだろうな〜。
17世紀西洋の知識欠落しているせいで、病者とか、彼らの服装とか諸々…想像しきれなかったところも所々あるので、どうかアレント・ヘイズをドウェイン・ジョンソンに演じてもらってハリウッド実写化してほしい。