スチュアート・タートンのレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
突如発生した黒い霧によって世界が滅亡。わずかに残った100名ちょっとの人々は「世界の終わりの島」と名付けられた孤島で暮らしている。島の「長老」として君臨する三人の科学者。
そしてある夜、長老の一人であるニエマが殺害される。そして住民は皆その夜の記憶を抹消されている。
SF色の強い、ある種の特殊設定なミステリでしょうか。あからさまに島に秘密があることを示唆されてってのがいかにもなSFっぽさがあって好き。最後に一気に真相が明らかになるのも気持ちの良いカタルシス。面白かったです。
ちょこちょこと「え?そんな話だったっけ?」みたいなものがないでもなかったんですが、自分が読み逃していたのか・・ -
Posted by ブクログ
ネタバレエッジの効いたSFミステリ作家スチュワート・タートン。
面白くないわけじゃないんだけど、過去2作品を読んで、技巧的で疲れる読書になる印象を持っていて苦手意識あり。
でもこのミスベスト10入作品なので読んでおかないとと手に取る。
毎回違う趣向の作品を書くと意気込んでいる著者。
今回は、未来ディストピアSF。
黒い霧に包まれ人類は終わりを迎え、霧からのバリア機構を持つこの島とそこに住む122人が世界最後のコミュニティ。
長老と呼ばれる科学者3人は100歳を裕に超えるが、かたや普通の村人達はどんなに元気でも60歳の誕生日を迎えると命が尽きる。
村人達は奉仕の心を何よりも重んじ、争いや犯罪などは皆無。決して楽ではない生活だが、穏やかに互いを支え合いながら日々を送っている。
そんな地で起きた長老のひとりニエマの殺人。
ニエマが死んだことによりバリア機構が機能しなくなるが、犯人を突き止められれば再稼働するという。
村でひとり探偵気質を持ち、普段は皆から調和を見出す者として疎まれがちなエモリーが犯人探しを買って出る。
ニエマが作り出したとされている住人全員の思考にアクセスできるエービイと呼ばれる意識の存在が何よりも独特。
3人称語りで登場人物達の動向を語っているかと思うと突然「私」が彼らに話しかける。
時間も場所も関係なく全てを把握し、必要あらば意識へ介入する、それはまるで神かのようなポジション。
そして彼らもエービイの存在を頼りに、今は何時だとか誰それは今どうしているのかだとか聞き、その存在を完全に受け入れている。
最初はこれまでの作品で一番読みやすいかもと思った。
実際、今回のSF設定は何が起きるのか、どう事件と相まって味が出てくるのかが楽しみでわくわくしてさくさく進んでいった。
が、途中で中弛み。
何が起きているのか、この地の秘密的なことが仄めかされながら、もったりぶりだけで全然明らかにならない展開にストレスばかりが募ってしまった。
特に肝のエービイの存在が。。
一見皆に率直に誠実に接しているようで何か思惑を抱えていて怪しさ満点。
そもそも全員の挙動が見えているなら殺人犯なんてわかっているでしょ思うけど、そこは教えられない設定という。
からの終盤一気に展開される真相のロジック。
複雑過ぎてついて行けない。。
ネタバレ解説してもらいながら照らし合わせて読めば面白いかなぁとは思ったけど、もうなんか頭が飽和しちゃって逆にふーんで終わってしまった。
明かすところ伏せるところのバランスがなぁと思う一冊だった。
根底にある、人として目指すべき生き方への示唆には共感を感ずるところがあっただけに残念。
このミス2026年度版海外編第9位。 -
Posted by ブクログ
触れると死に至る正体不明の黒い霧が世界を覆い、人類の大半が死に絶えた。残されたのはバリアで守られた島にたどり着いた100名足らずのみ。しかし、AIが管理するこの島で、島民を率いる3名の科学者のうちの1人が殺されてしまう。事件をきっかけに島のバリアも解除され、人類は滅亡の危機に。黒い霧が迫る中、バリア再設定の鍵は殺人犯を見つけること。残された時間はあとわずか…。
いわゆる特殊設定のミステリである。SFを基調としたこの世界観はおもしろい。徐々に謎が判明していき、解像度が上がっていくのもまた楽しめる。ただ、私にはどうも読みにくかった。他の方も書いておられるように、人称がわかりにくいのかもしれない。 -
Posted by ブクログ
触れると命を落とす謎の霧が地球を覆い、世界は滅亡した。最後に残った人々は、霧を防ぐバリアに守られた世界の終わりの島で平穏に暮らしていた。そこには3人の科学者と100名余りの住民がおり、エービイというAIシステムに管理されていた。ある日、科学者のニエマが殺された。しかもシステムによってバリアは解除され住民たちの記憶は消されていた。霧が到達する48時間以内にバリアを再起動させるには犯人を見つけなくてはならない。とんでもない設定のタイムリミットSFミステリ!
まず状況設定の説明に150ページくらい費やす。これが正直分かりにくいので理解に時間がかかる。エモリーという住民が探偵なのだが、一人称で書かれてるが〈わたし〉って誰?と思うや、AIのエービイだったりする。そしてようやくその後事件が起きる。
そこからのストーリーがまたややこしい。誰が犯人なのかって、殺した本人も記憶がないわけで。さらには科学者の3人以外は人間ではないことがさらりと明かされる。最後までどんでん返しで真相がわからない。ラストのあり方には賛否ありましょうが、ミステリやSFというより人間性とは何かという話なのか。そう感じる読後感でした。なかなか読み応えありました。もはや事件の真相なんてどうでも良いくらいですね。
-
Posted by ブクログ
特殊設定ミステリー。
文明が黒い霧によって滅んだ後の世界。孤島で生き残った人たち。その中で殺人が起き、霧から島を守るバリアも停止してしまい、それを再稼働するためには犯人を突き止める必要がある…とのこと。
特殊すぎて設定を飲み込むのに時間がかかるんですが、犯人探しとバリア復活って別に関係なくないですか??と首捻りながら読み進めるので、物語の世界に入り込むのに時間かかりました。
文明世界を知らず閉ざされた世界で平和に生まれ育った島民たちが探偵役なので、なんというか危機感が薄い。もうすぐ霧が迫ってくるのに寝ちゃったの!?(眠らされるケースもありますが)みたいなそれも特殊設定なのでしょうが、イライラハラハラしながら読み進めました。
他の方も書かれてましたが設定が特殊すぎて犯人推理は激ムズなのでドキドキハラハラを楽しんだ方が良い気がします。最初は文明社会の生き残りの3人の科学者(技術を持ってるので長老と呼ばれている)がどうにも傲慢で好きになれなかったのですが最後まで読んでいくうちに彼らにも事情があったのかと思えるようになりました。皆んなが幸せハッピーエンドではなかったけど救いのない結末ではなくてほっとしました。 -
Posted by ブクログ
イギリス各紙が絶賛したという「特殊設定」ミステリ。
突如発生した謎の霧により、世界は滅亡。ギリシャのある孤島にのみ、霧の侵入を防ぐバリアが張られ、「世界の終わりの島」となった。ここに、100名を超える住民と、彼らを率いる3人の科学者が暮らしていた。だがある時、科学者の1人、ニエマが殺され、バリアが破られた。霧が島に侵入するまでの時間はわずか。バリアの破壊はニエマの死によって発動されていたらしい。ならば、ニエマを殺した犯人を見つければ、バリアを再起動できるのか・・・?
島民の1人のエモリーが探偵として謎に迫っていく。
冒頭には登場人物が挙げられていて、これらの人々がある「計画」に重要な役割を果たしているという。読者としては行きつ戻りつしてリストを確かめながら先に読み進めていくのだが、ほどなく、あることに気づく。リストには記されていない、語り手の「わたし」がいるのだ。これが何かというと、村人の脳内に直接働きかけることができる「エービイ」という存在で、AIのようなもの。村人はインプラントによりエービイに管理されている。強圧的というよりは相談相手のような感じだが、就寝時間になると寝かされたり、60歳までと定められた寿命が来ると死に至らしめられたり、となかなかの管理ぶりである。
実は、ニエマが殺された夜、島民すべての記憶がエービイによって消されていた。
さて、この異常な状況の中で、エモリーは真相にたどり着けるのか。
トリッキーな条件が重なるクローズドサークルもの、といえばよいのか。
読み方は人それぞれなのだろうが、個人的にはミステリとして読むのは比較的早い段階であきらめた。この特殊設定では「何でもあり」だろう。この世界ではこうなんだ、ふーん、そうなるのか、と物語の流れに身をゆだねるしかない。
「世界の終わり」というのは、孤島の名前と、実際に世界が滅びそうであるという時間的状況とを掛けている印象である。
終末世界を描くSF部分の設定はどうかといえば、終盤に近付くにつれて、「村人」についてのある秘密が明らかにされていく。
「長老」と呼ばれる科学者たちと村人との間には、明らかな差異があり、村人を支配しているエービイも、実は、科学者たちは完全に支配しているわけではないことが見えてくる。そこに人種差別の暗喩を見ることも可能だし、人類への風刺のように見ることも可能だろう。殺人事件の真相も含め、どこか『風の谷のナウシカ』を思い出させる設定である。
個人的にはSFが苦手なのもあって、いまひとつの読後感。
ただ、物語世界の構築はすごいと思うし、そもそもこのストーリーをどのように考え出したのかには若干興味がある。
ハマる人にはハマる作品なのではないか。 -
Posted by ブクログ
まず惹かれたのはタイトル。
世界の終わりに起こる最後の殺人って?という興味。
そして次に設定。
未来×タイムリミット。
探偵に課せられたのは、
人類を救うためには46時間以内に犯人を見つけなければならないということ。
この二つの要素から興味をそそられ手に取ったが、一言で言えば難解。
世界が霧に飲み込まれ、人類が滅亡した後、
唯一残された島には122人の人間が暮らしていた。
島の外は有毒な霧に覆われており、島を守るバリアが唯一の生命線となっている。
そんなある日、三人いる長老の一人、ニエマが殺害される。
彼女はバリアの維持に不可欠な存在であり、
彼女の死によってバリアは解除され、霧が島に迫り始める。
霧が到達するまで残された時間は46時間。
この世に生まれた時から自分達の頭の中で話しかけてくるエービイという存在。
そのエービイは「犯人を見つけなければ、島は滅びる」と告げるが、
事件当夜の記憶はすべて消されており、誰も真実を知らない。
島の中の人間の中でどちらかというと異端児の様な扱いのエモリーは、
島の秩序というかルールに疑問を抱いていた。
彼女は断片的な記憶と住民たちの証言を手がかりに、事件の真相を探り始める。
冷静に俯瞰して見れば小難しいことは一つもない。
だが文章のせいか、翻訳のせいなのかわからないが、
頭を悩ませるというか描写に理解が追いつくのに時間がかかるとこが多々あった。
だが、進むにつれ明らかになっていく島の謎。
そしてエモリーたち人類の生き残りに秘められた秘密。
長老と彼女らの違い。など、その設定は秀逸。
そう、この世界観はかなり好きである。秀逸な世界観。
その分、見せ方という点で乖離が生まれてしまったのか、
それともただ単に自分の頭が追いつけていないだけなのか。
読み終えた後の読後感にはスッキリというかモヤモヤが残っていた。
理解したい。この物語を理解し、歓喜したい。
こういった本の場合、二度目が必要である。
気づけば、また頭のページから捲っていた。