紫のあのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
光の幕を...の続きとなる今作はてっきり涙海が主役となって、ブランコ乗りを続けながら事件の犯人を追って行くと思いきや、彼女たちの大先輩である「初代」達が主役でサーカス誕生の物語だった。
カジノ建設の責任者だった父を不審な事故で亡くした少女マリナ。やがて初代ブランコ乗り——サン=テグジュペルになる少女が涙海、愛涙に代わり主役を務める。
彼女がサーカスに入ることを決めた理由は当然、父の死の真相を知るため、そして黒幕を糾弾するためだ。
「乞食の涙だと思った。」サーカスに入る決断をする前の自分の泣き顔を見たマリナの考えが、胸に刺さった。唯一の肉親を謎の事故で失った哀れな少女。
見れば哀れに感 -
Posted by ブクログ
うわー、不覚にも最後うるっとしてしまった!
今宵、嘘つきたちは光の幕をあげるよりも過去の物語
サーカスの曲芸師、初代の物語だ
物語の始まりは、まだまだサーカスが開催するかもあやふやな状態
企画だけされているが、本当にサーカスの公演はできるのだろうかと
不安がありながらも少女たちは日々の研鑽に励む
そして始まるゲリラ的なサーカス公演!
初代少女達が自ら名付けた『ブランコ乗りのサン=テグジュペリ』や『パントマイムのチャペック』など、自らを表す演目で登場
処女公演は拙いながらも、きっと誰しも魅了されることであろう!
黄金のマリナと呼ばれる今作の主人公的な立ち位置のブランコ乗りのサン=テグジュペリ -
Posted by ブクログ
少女たちの不安や嫉妬、自分たちの力じゃどうにもならない葛藤、そのすべてが包括された美しい物語だった。
双子、同期、先輩、後輩、指導者、応援者、そして自分たちを喰いものにする人間、そのすべてに対する感情が、ありありと描き出されていて、何度も目頭があつくなった。
どれだけ無駄でも辛くても頑張ってきたことが途中で終わりになることが嫌で諦められないあの気持ちや、誰かから何かを奉仕されることを当たり前だと思う若さ、気に食わないのに気になって仕方がない些細なささくれた心。
苦しくてとても痛かったのに、どこか懐かしくてたまらない感覚に揺さぶられた。
とてもすきです。