日本人には理解できないインドのカースト制度。不可触民とはなんなのか、なぜヒンドゥー教なのか、踏み込んでいく。
バラモンが独占したもの、それは富や権力よりも「知」である。人がなぜ「知」を求めなければいけないか。インドから学べる。
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p19 権力者は己の正体を暴かれるのが怖い
真実が暴かれれば支配者はその存在が危ぶまれる。ヒンドゥー教のバラモン階級はまさにそれだ。
異民族が支配に利用した宗教がヒンドゥー教であることを明るみに出せないのだ。
p19 ビームラート=アンベードカル
バラモンの正体を見破り、公然と彼かの権威と偽善性に挑戦した不可触民の指導者。
こんな人知らなかった。ガンジー・ネルーと並ぶインドの偉人である。
p44 浄・不浄
ヒンドゥー教は「浄・不浄」の観念で、人間だけでなく自然やすべてを差別する宗教である。
p45 インドのトイレ
インドのトイレは便器でない。外で排泄用のツボに用を足す。都心の外国人のいるような土地では水洗設備もあるが、田舎ではトイレがないのがふつうである。
この糞壺を回収するのが不可触民である。
p57 ヒンドゥー教VSイスラム教
東パキスタンでは元来宗教対立はなかった。しかし、イギリスからの独立後の分断で宗教対立が意図的に起こされ、大虐殺や原爆所持にまで至る対立になってしまった。
p63 政府の嘘
インドの人口85%がヒンドゥー教であるという政府発表があるが、それは支配階級が自分たちの特権が脅かされないように発表しているプロパガンダであり、仏教・イスラム教・キリスト教に改宗する者が増えている。2,30年もすればヒンドゥー教はマイノリティになるかもしれない。
p66 イギリス人の罪
インドにカースト意識を甦らせたのはむしろイギリス人だった。イギリス人が導入した郵便制度が村落の各人の姓名を明らかにし、人々のカースト意識を意識させるようになった。
p69 ガンジーとヒンドゥー教
ガンジーはインドの独立はカースト制度の中で行われるべきと考えた。カーストはインドの自然な状態であり、それが人々に生きる意味を絶えず与え、幸せをもたらす。と考えていた。
ちなみにガンジーはヴァイシャ(商人)階級出身である。ガンジーはヒンドゥー教支配階級の絶大な支持を受けたし、ガンジーが独立の父として強烈な存在になるようになった。
後年カースト制度に反対するようになった。
p87 先住民
不可触民は自分たちのことをダリットと呼ぶ。彼らはアーリア人がインドに侵入してくる以前から住んでいた先住民である。
ブラーミンの広めたヒンドゥー教以前は、ダリットは仏教かジャイナ教だった。
カーストはバラモンたちが作ったもので、不可触民たちから知識や知的能力を奪い取り、正しい判断力や価値観を根絶やしにした。バラモン階級は知識を独占した。
知識を独占されると、こういう格差社会が出来上がるのだ。だから、教育はすべての人間に与えられなければいけない。
p104 侵略
アーリヤ人は鉄製武器と騎馬を用いて一気にインドを侵略した。アーリア人が徐々に移動してきて土着したという研究もあるが、政治的圧力の気配がしてならない。
完全にヨーロッパ系のアーリア人は侵略者で、その支配と差別政策がいまだにインドでは残っているのである。
p109 悟の不要
”不可触民の父”アンガードベルには悟りがない。本当に必要なのは、自由・平等・友愛だから。それなくして悟りなんてない。周りの人間の不幸を無視して一人だけ悟りを開くのは真実ではない。周りの人間の幸福を実現して悟りの境地を開くのが真実である。
p155 ヒンドゥー教
アンガードベルの演説「ヒンドゥー教の神は人間から自由を奪い、バラモンに隷従することしか教えない。」
p188 女
インドは男性優越社会の最大国である。女性は男性よりも地位が低く、不可触民の男性でもさらに差別する存在である。それ故におそろしいDVが絶えない。
p221 インドとイスラム
インドはイスラム国家の石油資源が無ければ成り立たない。イスラム諸国もインドの安価で膨大な労働力が無ければ成り立たない。
パキスタンの問題で両国は仲が悪いように思えるが、それは間違いで、両国家の宗教原理主義者が扇動しているだけである。
p231 ヒンドゥー教の定義
ヒンドゥー教を定義できる者はいない。聖書のようなものがないからである。ただ、聖書がないから、バラモンが自分たちで解釈を独占して、良いように解釈を変えてきたからである。
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内容はすごいが、話がまとまっていない感はすごいある。その点は減点だと思う。
インドを語るうえでやっぱり大事なのは、カーストだよね。