山際素男のレビュー一覧

  • 不可触民~もうひとつのインド~

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    本当に恐ろしい話だ。人間が別の人間を、「お前は人間ではない」と決めつけるなんて。今だに、数十人の人間が一度に、さしたる理由もなく、生きたまま手足を切断され、灯油をかけられ、焚火にくべられ虐殺される。それを、村の人々がショーのように見物している。そんなことが公然と行われ、社会的にも黙認されている。昨今のITブームでインドは一躍世界の注目を集めている。本文中に、インドは21世紀的超エリート層から、千年前と変らぬ農奴として極貧層まで、数千年のジェネレーションギャップを抱えた社会だ、とあった。マハトマ・ガンジーが、不可蝕民(アンタッチャブル)を、「神の子(ハリジャン)」と呼び、差別の撤廃を訴えた。けど、実際のアンタッチャブルたちは、「ハリジャンなんて、うわべだけ取り繕って偽善を満たすような呼び方はやめてくれ」と痛烈にガンジー批判をするところは衝撃だった。ガンジーは日本では聖人だもの。ガンジーはあくまでもブラーマン(バラモン)だったのだ。カーストの中で生きているブラーマンにどうしてアンタッチャブルを救えようか。
    こういう差別の実態を見聞するにつけ、本当に自分の無力を思い知る。が、そんな無力感に苛まれつつも、自分は「人を育てる」という職業に従事することで、ものすごく間接的にでもその問題に目をそらさない人たちを育てていく助けをするしかないんだなあ、と思う。(2000 Dec)

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    2009年10月04日
  • 〈完全版〉破天~インド仏教徒の頂点に立つ日本人~

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    佐々井さんの生き様にただたただ感服。がむしゃらに生き、己と戦い、差別と戦う姿から学ぶものが多すぎる。

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    2017年10月19日
  • 不可触民と現代インド

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     インドカースト問題における日本人第一人者の山際素男の「不可触民」続編。ショッキングな現状よりも、現代インドの、目覚めた不可触民たちがいかにしてその歴史文化的ジレンマと戦い進んでいるかのレポート。
     これを読んで正直自身の理解の足りなさ、関心の低さに失望する思いだった。アンベードカルを全く知らなかったし、聖人ガンジーとは何者であるかと再考せざるを得なくなった。歴史と宗教、そして人の生命に対して思いを巡らす時間になった。

    17/2/27

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    2017年03月01日
  • 不可触民と現代インド

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    ネタバレ

    日本人には理解できないインドのカースト制度。不可触民とはなんなのか、なぜヒンドゥー教なのか、踏み込んでいく。

     バラモンが独占したもの、それは富や権力よりも「知」である。人がなぜ「知」を求めなければいけないか。インドから学べる。


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    p19 権力者は己の正体を暴かれるのが怖い
     真実が暴かれれば支配者はその存在が危ぶまれる。ヒンドゥー教のバラモン階級はまさにそれだ。
     異民族が支配に利用した宗教がヒンドゥー教であることを明るみに出せないのだ。

    p19 ビームラート=アンベードカル
     バラモンの正体を見破り、公然と彼かの権威と偽善性に挑戦した不可触民の指導者。
     こんな人知らなかった。ガンジー・ネルーと並ぶインドの偉人である。

    p44 浄・不浄
     ヒンドゥー教は「浄・不浄」の観念で、人間だけでなく自然やすべてを差別する宗教である。

    p45 インドのトイレ
     インドのトイレは便器でない。外で排泄用のツボに用を足す。都心の外国人のいるような土地では水洗設備もあるが、田舎ではトイレがないのがふつうである。
     この糞壺を回収するのが不可触民である。

    p57 ヒンドゥー教VSイスラム教
     東パキスタンでは元来宗教対立はなかった。しかし、イギリスからの独立後の分断で宗教対立が意図的に起こされ、大虐殺や原爆所持にまで至る対立になってしまった。

    p63 政府の嘘
     インドの人口85%がヒンドゥー教であるという政府発表があるが、それは支配階級が自分たちの特権が脅かされないように発表しているプロパガンダであり、仏教・イスラム教・キリスト教に改宗する者が増えている。2,30年もすればヒンドゥー教はマイノリティになるかもしれない。

    p66 イギリス人の罪
     インドにカースト意識を甦らせたのはむしろイギリス人だった。イギリス人が導入した郵便制度が村落の各人の姓名を明らかにし、人々のカースト意識を意識させるようになった。
     
    p69 ガンジーとヒンドゥー教
     ガンジーはインドの独立はカースト制度の中で行われるべきと考えた。カーストはインドの自然な状態であり、それが人々に生きる意味を絶えず与え、幸せをもたらす。と考えていた。
     ちなみにガンジーはヴァイシャ(商人)階級出身である。ガンジーはヒンドゥー教支配階級の絶大な支持を受けたし、ガンジーが独立の父として強烈な存在になるようになった。
     後年カースト制度に反対するようになった。

    p87 先住民
     不可触民は自分たちのことをダリットと呼ぶ。彼らはアーリア人がインドに侵入してくる以前から住んでいた先住民である。
     ブラーミンの広めたヒンドゥー教以前は、ダリットは仏教かジャイナ教だった。
     カーストはバラモンたちが作ったもので、不可触民たちから知識や知的能力を奪い取り、正しい判断力や価値観を根絶やしにした。バラモン階級は知識を独占した。
     知識を独占されると、こういう格差社会が出来上がるのだ。だから、教育はすべての人間に与えられなければいけない。

    p104 侵略
     アーリヤ人は鉄製武器と騎馬を用いて一気にインドを侵略した。アーリア人が徐々に移動してきて土着したという研究もあるが、政治的圧力の気配がしてならない。
     完全にヨーロッパ系のアーリア人は侵略者で、その支配と差別政策がいまだにインドでは残っているのである。

    p109 悟の不要
     ”不可触民の父”アンガードベルには悟りがない。本当に必要なのは、自由・平等・友愛だから。それなくして悟りなんてない。周りの人間の不幸を無視して一人だけ悟りを開くのは真実ではない。周りの人間の幸福を実現して悟りの境地を開くのが真実である。

    p155 ヒンドゥー教
     アンガードベルの演説「ヒンドゥー教の神は人間から自由を奪い、バラモンに隷従することしか教えない。」
     
    p188 女
     インドは男性優越社会の最大国である。女性は男性よりも地位が低く、不可触民の男性でもさらに差別する存在である。それ故におそろしいDVが絶えない。

    p221 インドとイスラム
     インドはイスラム国家の石油資源が無ければ成り立たない。イスラム諸国もインドの安価で膨大な労働力が無ければ成り立たない。
     パキスタンの問題で両国は仲が悪いように思えるが、それは間違いで、両国家の宗教原理主義者が扇動しているだけである。

    p231 ヒンドゥー教の定義
     ヒンドゥー教を定義できる者はいない。聖書のようなものがないからである。ただ、聖書がないから、バラモンが自分たちで解釈を独占して、良いように解釈を変えてきたからである。
     
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     内容はすごいが、話がまとまっていない感はすごいある。その点は減点だと思う。

     インドを語るうえでやっぱり大事なのは、カーストだよね。

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    2014年12月16日
  • チベット問題~ダライ・ラマ十四世と亡命者の証言~

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    中国によるチベット占領の実態について、
    チベット側の資料やインタビューに基づいて主張する一冊。
    歴史的な経緯や背景にはあまり触れず、
    現状としてどうなっているかに主眼を置いているため注意が必要。
    また筆者も後書きで触れているが、
    中国側の主張にはほぼ一切触れておらず、
    中国側の狙いや思惑もうまく理解できなかった。
    ただしチベット民族の思いに触れるにはわかりやすく、
    読みやすい良書だと感じる。

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    2012年11月27日
  • チベット問題~ダライ・ラマ十四世と亡命者の証言~

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    ネタバレ

    民族同士の結婚の禁止。
    学童期からの洗脳教育。
    核実験の実験場。
    歴史的建造物の破壊。
    人権蹂躙。

    どれもこれも考えるだけで恐ろしい。中国がチベットに対して行ってきた(今も継続?)事柄だ。
    これらは一般的な弾圧であり、個人的に受けたリンチや拷問などは筆舌に尽くしがたい。

    特に民族間の結婚の禁止・・・チベット民族の血を薄めるため、だなんて。

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    2012年09月08日
  • 不可触民と現代インド

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    ネタバレ

    [ 内容 ]
    今日まで続く、厳しい身分制度であるカースト制はなぜ三千年にもわたり保たれてきたのか―。
    かくも長く、圧倒的多数の民衆が“奴隷化”されてきたのはなぜか―。
    仏教発祥の地で仏教が抹殺されたのはなぜか―。
    今、“歴史的真実”の扉が開かれ、塗り替えられようとしている。
    大国・インドで何が起こっているのか。
    現場からの迫真の書。

    [ 目次 ]
    第1章 この国の本当の主人公は誰か
    第2章 目覚める人びと
    第3章 インド史上最大の謎を解明する
    第4章 仏教の白い花
    第5章 インドは世界の有望な市場か?
    第6章 インド史上初、不可触民出身の“女帝”州首相
    第7章 暗黒時代の再来

    [ POP ]


    [ おすすめ度 ]

    ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
    ☆☆☆☆☆☆☆ 文章
    ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
    ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
    共感度(空振り三振・一部・参った!)
    読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)

    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

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    2011年04月07日
  • 不可触民と現代インド

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    インドの人々の意識に抜きがたく残るカースト制と、その中で搾取されてきた指定カースト層の人々について個々人の例を取り上げて紹介した本。

    こういう現状が存在していることを知る「入り口」としては良い本なのではないかと思うが、この問題について真剣に考えようとする上では「偏って」いるのは否めないかも。

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    2009年10月04日