【感想・ネタバレ】〈完全版〉破天~インド仏教徒の頂点に立つ日本人~のレビュー

あらすじ

40年間、インドで不可触民解放と仏教復興運動に命を捧げる“怪僧”の物語。“人間失格者”から、その名を全インドで知られる“荒法師”へ――。「金もいらぬ、名もいらぬ、命もいらぬ」が信条、色情因縁、悩み深き人間がインドで“観た”ものとは? “生”を根源から問う、数奇にして壮絶なる波瀾万丈の半生記。書籍刊行時にはカットされた、女性に殺されかけた抱腹絶倒(?)のタイ修行時代の原稿が復活。〈ノーカット:完全版〉

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Posted by ブクログ

まずは読み終わった達成感!
アンベートカル博士の存在も知らなかったし、秀嶺さんももちろん存じ上げなかった。竜樹に導かれてインドで仏教復興の為命を懸ける生き様。机上空論だけでなく行動で事を成すその想いの強さ。聖人君主かと思いきや色恋に心乱れる己に恥じて自暴自棄。劇的な人なんだろうなぁ。

カースト制のこともましてや不可触民という存在があるのも非常に勉強になった。インドという国の奥深さを多少なりとも感じることができた。

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2017年11月12日

Posted by ブクログ

インドで仏教を広める佐々井 秀嶺の伝記
さまざまな経緯からインドに来て修行した後、日本に帰国しょうとする前夜に
「我は龍樹なり。汝速やかに南天竜宮へ行け。汝の法城は我が法城。我が法城は汝が法城なり。南天鉄塔もまたそこに在り。」と白髪白髯の老人が現れ、佐々井上人に告げていったという。

横紙やぶりというか、怒髪天をつくような、佐々井 上人の生き様は、迫力をもって我々に迫ってくる。インド仏教界の頂点に立つのが実は日本人だと言うのは、もっと知られても良いことだと思った。

渾身の一作。アドバンスト マテリアル ジャパン社長の中村繁夫が「男は人生で何度、佐々井上人のような人間に出会えるかで、価値が変わる」と書いてあったが、なるほどと納得。

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2013年09月14日

Posted by ブクログ

インド仏教徒を率いて地位向上のために戦う佐々井秀嶺師の伝記です。仏教そのものに詳しいとは言えないのでもうちょっと色々調べたい。それにしてもとんでもない人ですね・・・・破天荒と言っていい。これ革命家だよなあ。宗教者としての側面が良くわからないんですよ・・・・・。でも昔から宗教=世直しでもありますね。仏教はかなり個人主義的な印象がありますけれど・・・・・。

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2009年10月07日

Posted by ブクログ

インドの仏教指導者・の半生を描いたこの本、読み始めてたちまち夢中になった。佐々井秀嶺については、山際素男の『不可触民の道―インド民衆のなかへ (知恵の森文庫』などに紹介されているのを呼んで、強い関心をもった。同じ著者に『破天』があるのは知っていたが、絶版となっており、なかなか手に入らなかった。それが最近、新書版で復刊されたのだ。

読み始めると止められないほどだ。若き日の懊悩と何度かの自殺の試み、その果ての師との出会い、激しい修行、乗鞍山頂での「覚醒」、タイでの修行と失敗、そしてインドへ、と夢中で読みすすむ。ある程度は知っていた経緯だが、若き日の懊悩がこれほど深く、それが故に文字どうり死をも厭わぬ激しい求道に突き進まざるを得なかった様が、強く印象に残る。その激しい求道に刺激される。また、あらためて佐々井秀嶺という人物が、ある必然の流れのなかでインドへ導かれていったのだということが得心できる。

おそらくこの本を読んだ誰もがもつだろう強烈な印象は、彼がインド仏教徒とともに、その先頭にたって続けてきたブラーミン社会との闘争の凄まじさだろう。徹底して平和的な闘争だが、彼らにとって常に文字通り命をかけての戦いであったことが分かる。なぜ佐々井秀嶺にこのようなことが可能だったのか。

それは、彼が懊悩の果てに「金もいらぬ、名誉もいらぬ、命もいらぬ」と一度はすべてを打ち捨てたからだろう。すべてを打ち捨ててしまい、あとはもう不可触民仏教徒のため、彼らとともに歩むことを徹底していくだけだった。おそらくその背後には、死んだアンベードカルの導きがあったのだろう。多くの不可触民とともにインド仏教復興への道を歩み始めようとした矢先に死んだアンベードカルにとって、佐々井ほどその志を継ぐにふさわしい人間はいなかったのだ。佐々井は「夢」に現れた竜樹=アンベードカルに導かれるようにして、その後の活動の拠点となったナグプールに一人乗り込む。

一度はすべてを打ち捨てているから、その瞑想や断食行も徹底的に凄まじい。ガンディの断食にも似た政治的「効果」をもたらした断食も凄まじいが、人知れず行おうとした瞑想や断食も、読むものに強烈な印象を残す。

正直いってこの本を読むまでは、まだ彼のことをよく知らず「ちょっとうさんくさいところもあるかも知れない」ぐらいに思っていたが、読後はそのような印象は全く消えた。確かに「色情因縁の業」の深さゆえの苦悩はとてつもなく大きいが、その絶望の深さが強烈な求道の根元にある。絶望の果てに、一切の私利私欲を打ち捨てた人間の潔さ。その潔さが、インドの地で一億五千万とも言われる仏教徒の絶大な信頼を獲得した理由のひとつであり、多くのインド人を引き付けつつ、仏教復興へと向っていく運動の原動力となっているのだ。

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2010年05月06日

Posted by ブクログ

インドにはヒンズー教、イスラム教のほか、様々な宗教が混在している国であり、人々は今もってカースト制の中で暮らしている。カーストに組み込まれいない不可蝕民も存在する。
不可蝕民解放の父としてインド憲法制定の時に法務大臣だったアンベードカルは、その死の直前に仏教に帰依した。インドはブッダ生誕の国であるが、インド仏教徒はほかの宗教から迫害され瀕死の状況であった。
この本は、アンベードカルの意志を継ぎインドで不可蝕民解放と仏教復興運動に命を捧げている日本人僧佐々井秀嶺の一代記だ。
現在インドの仏教徒は一億五千万人とも言われるが、佐々井師はその不屈な精神と無私のこころで仏教を広めてきた。それは破天荒な生き様である。この本は新書で2センチの分厚さだ。しかも中身は2段組!!面白い!!!

インドのわけも分からぬ不条理世界の破天荒に挑むのは、日本の職業仏教教団の教えとその軟弱な体制ではかなわない。まずブッダ、竜樹の世界を実践していくこと、行動の宗教としての仏教を身をもって体現している佐々井氏の偉業は、まさにノーベル平和賞ものだと感じた。

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2009年10月07日

Posted by ブクログ

世界ふしぎ発見に出てはったのが初見だったバンテージ佐々井さん。その後Youtubeなどで見る機会も多くて気になってました。
すごい濃い人で日本の枠に収まらず(本人は苦悩の末)インドへ。ものすごい文書量だけどどこを取っても面白かった。こんなパワーのある人がいるんだ。
日本の荒んだ世界にも仏教は光を照らすと思う。
それにしてもすごい人生。

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2024年01月27日

Posted by ブクログ

[ 内容 ]
佐々井秀嶺―約四〇年間、一度も日本に帰国せず、灼熱の大地・インドで不可触民解放と仏教振興運動に命を捧げる僧侶がいる。
今日、佐々井は全インドにちらばる仏教徒のみならず、その名を全インドに広く知られ、“不可触民解放の父・アンベードカル”の遺志を継ぐ大指導者として、ラジヴ・ガンディー以後、歴代大統領、首相たちで知らぬ者のない“荒法師”である。
異国に生き、その他の何百万、何千万という民衆にかくも慕われ、その魂に溶け入った日本人がかつて存在しただろうか?
女に悩み、“人間失格者”と自らに烙印を押してきた、悩み尽きない数奇にして波瀾万丈の彼の人生は、日本の民衆とインドの民衆が織りなす壮大なドラマである。

[ 目次 ]
第1部 人間失格、そして出家(生い立ち 再び故郷へ 出家)
第2部 インドへ(汝速やかに南天竜宮城へ行け インド仏教徒の中へ さらに民衆の懐深く 国外追放の危機)
第3部 永遠の求道(大菩提寺奪還闘争 不屈の前進 無期限闘争宣言 秀嶺を取り巻く群像)

[ POP ]


[ おすすめ度 ]

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[ 関連図書 ]


[ 参考となる書評 ]

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2011年04月09日

Posted by ブクログ

佐々井さんの生き様にただたただ感服。がむしゃらに生き、己と戦い、差別と戦う姿から学ぶものが多すぎる。

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2017年10月19日

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