西尾潤のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
「マルチの子」が面白かったので、同じ作者ということで読んでみました。
70歳過ぎても高速道路のPAとかSAとかで働かなければならない現実。
老親の介護で離職したあげくの車中泊生活。暗澹たる貧困の状況が淡々と、当たり前のように描かれていく。お先真っ暗なのに、当事者は妙に明るいんですな。
なんも考えてないから。
考えてもしょうがないから。
なんでこうなったん??って、にこ的に思うんですけど、こういう人たちって
絶望的に金融リテラシーが低い。お金好きなくせに、必要なくせに知ろうとしない。
こうならないよう、気をつけようっと。
国が悪いとか、行政がーーとか以前の問題っすよ。
話としては、にこの好 -
Posted by ブクログ
高齢者ばかりがパートで働く坂田PA。主人公の梨元ちとせもここで働いている。先のことを考えずに生きてきたツケで、年金も医療保険も貯金(少しだけある)もない彼女は、働き続けるしかない。
……という導入部はまるで原田ひ香さんの作品のようだが、この先の展開はまるで違う(当たり前だが)。不特定多数の人が集まるPAなのに、一般道からも入れる特殊な構造から、ある種の人達が居座ることになってしまう。そのことから生まれた悲劇が雪だるま式に膨れ上がりやがて……。
面白かったのだけど、無年金者の設定にはあまり意味がなかったような? なのにタイトルにデカデカ(というわけではないが)と入っているのは羊頭狗肉かな。 -
Posted by ブクログ
主人公は坂田パーキングエリアに勤務する73歳の梨本ちとせ、年金も医療保険もない彼女はリウマチによる膝の痛みをなんとか誤魔化しながら、慎ましく生活していた…。同僚である75歳の古田中栄はぎっくり腰の持病を抱えながらも、引きこもりの息子と生活している…。駐車場には様々な問題を抱えた車中生活者がおり、ある日その車中から遺体が見つかる…。そんな中死亡した前夫の保険金が入る可能性があると、ちとせのもとに連絡が入る…。
怒濤の展開について行くのが必死でした(汗)。次から次へといろんなことが起こるけれど、それを適宜対応していくバイタリティーっていうのか、この人達すごいっ!でも、この人達の今後って??って考え -
Posted by ブクログ
西尾潤『愚か者の身分』徳間文庫。
第2回大藪春彦新人賞受賞作。白いカバーが殆んどの徳間文庫で一際目立つ黄色いカバーは期待の高さか。戸籍ビジネスに手を染める半グレたちを描いたクライム小説。
ストーリー全体が強くつながっている訳ではなく、章が切り替わる度に主役が代わり、詳細が描かれずに結果だけが描かれるという消化不良の作品だった。特に終盤が酷い。文庫版特別書下しの『神尾あやこの憂鬱』も何のこっちゃという感じ。
SNSを駆使し、女性を装い言葉巧みに相手の個人情報を引き出して、戸籍、身分証の売買が成立すれば報酬をもらえるという悪徳ビジネスに手を染めるマモル。ある日、マモルは上司の佐藤に仲間のタク