貴堂嘉之のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
非白人不在の白人による白人のための差別論。
筆者は構造的に組み込まれた差別を突きつけるセミナーを行っている。内容や記載を見るに多くは白人が対象なのではないかと推察する。
推察通りであれなかれ、非白人の存在や主張についてはこの本には出てこない。人物や像が不在であるという印象を持つ。構造的に差別が社会に組み込まれているというのは事実だろう。構造を自己強化している力は両側にあることが多く、白人へのアプローチという方式が効果を出すのかが大きな論点であると考えるが、そのようには個人的には見えなかった。
多くのこのような本を読む人物はリベラルな思考を持っているだろう。筆者が『ある日同僚の前で突然差別者に分類される恐怖を与える』対象は、あからさまなレイシストではなくこのような層に対してであり、このような不協和に耐えられず信仰するか、反発するかを選ぶ。信仰した人も反発した人も対立の軸に置かれる。
おそらく普段リベラルな意識を持っている人ほど自分が差別者ではないと証明するために必死になるだろう。現在日本的リベラルがSNS上で多用する、この人を批判しないということは差別に加担しているということです、という言説はこの手法であると個人的には感じている。
表のテーマである「構造的に白人から非白人への差別は社会に組み込まれており、差別的な行動はしばしば無意識的に行われる」という点は異論ないが、本の内容としては必要以上に繰り返しが多く無理に引き延ばされているように感じてしまった。 -
Posted by ブクログ
南北戦争は合衆国史における最も大きな分水嶺として位置づけられ、建国来、その歴史は南北戦争に向けて流れ、南北戦争からすべてが流れ出したとも言われてきた。本書は、未曾有の内戦がもたらしたアメリカ社会の統合と分断、奴隷国家から移民国家への大転換を描く。
南北戦争勃発まで、親奴隷制の連邦政治が南部奴隷主の政治家たちによって担われた。大統領職を例にしても、初期は"ヴァージニア王朝"であるし、第二代と第六代のアダムズ親子を除き、みな奴隷所有者であった。
南北戦争に至るまでには、自由州と奴隷州との微妙な政治バランスが、版図拡大に伴う西部領土の連邦組入れを巡って揺さぶられ、対立が深刻化した経緯があった。当初は、南部奴隷制への不干渉で南部連合の連邦離脱を防ごうとしていたのが、戦況の推移で奴隷解放のための戦争に変質した、というのは、これまで知らなかった。
北軍勝利で戦争は終結し、奴隷制度を廃止する憲法修正13 条も成立したが、黒人は経済的に自立することはできず、選挙権の制限により政治進出もままならず、差別はほとんどなくならなかった。そして時代は移民の急増期を迎える。
南北戦争による奴隷解放から公民権運動までの100年に及び黒人差別が解消されなかったのは何故なのか、これまで良く分からなかったが、理由の一端がある程度理解できた。