一本木透のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
一本木透『あなたに心はありますか?』小学館文庫。
流行りのAIは果たして人間と同じ心を持つことが出来るのかという難題をテーマにしたミステリー小説。
犯人は直ぐ判るし、随分と安っぽいミステリーだななどと思いながら読み進めば、終盤の展開に全てが覆され、感動の結末が待ち受けていた。
まんまと一本木透の術中にハマってしまったようだ。これは絶対に読むべき作品だ。
作中に登場する岩手県立の名門女子高校とは盛岡第二高等学校のことだろうか。
轢き逃げ事故により妻と息子を失い、自身も下半身不随となり、車椅子生活を余儀なくされている東央大工学部特任教授の胡桃沢宙太は、AIロボットに心を持たせようと、盟 -
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帯にもあるように劇場型犯罪ミステリー。新聞紙面を使って連続殺人犯と新聞記者との言葉での公開討論。
非常に面白かった。
お互いが知的で言葉巧みでどこか敬意をはらいながら、互いを批判しながらも互いに信頼を重ねていく様なやり取り。凄く巧緻な作品だと感じた。
テーマは前半は「潜在暴力」かと感じてていたのだが、「家族」と「言葉」が作品全体に浸透している。
「言葉」について考えさせられた。
自分は新聞記者とかみたいに言葉を書く事を生業としてはいないが、声に発する言葉こそ言葉だろう。
「その一言」っていう場面なんか自他共に嫌というほど言ってきたし聞いてきた。
深く刺さる物も多くあり、刺さり方次第でプラ -
Posted by ブクログ
とてもよかった。
時間がなく区切り区切り読むかたちになったがそれでも引き込まれた。
一気に読むべき作品。
映画化に向いてる。
「おれは首都圏内連続殺人事件の真犯人だ」主人公一本木記者のつとめる新聞社へ届く一通の手紙が届く。
そこから記者と犯人の紙面でのやりとりが続く。
殺人は否定すべきことどが犯人の考え方にもちょっと納得してしまうところもあった。
真実とはなにか、真実を伝えることが是なのか?
報道のあり方というのも考えさせられた。
家族とはなにか、
徐々に明かされていく犯人や真実とても引き込まれた、
犯人も驚いたがまた最後の真実にも驚かされた
とても濃厚な作品でした。
みんなに薦め -
Posted by ブクログ
ネタバレ[衝撃]人間に焦点を当てた小説でした
書店に行ったら、たまたまサイン本が残り一冊
これは何かの縁かと思い購入しました。
(後日大雨により、本の一部が染みに。。せっかくのサイン本が!!!!涙)
小説を読み始めると、「AIロボットに心は宿るのか?」というテーマで話が進められてました。
大学教授が1人死亡し、そしてまた1人…そして胡桃沢先生に届く脅迫メール…ミステリ要素もあるのかな?でもトリックが感じられない…
なるほど、この小説は「AIロボットに心は宿るのか?」というテーマについて、物語形式で深掘りしていく作品なんだと思っていました。
正直、こんな意見が分かれて結論なんて出ないようなテーマにつ -
Posted by ブクログ
『AIは心を持てるのか』『人間とは何か』『そもそも心とは何か』作者の後書きにも書かれていますが、小説に限らず、様々なコンテンツで繰り返し語られてきたテーマであり、本作もそこに目掛けて真っ向勝負、という印象の作品でした。そしてどこか懐かしさのようなものを感じる作品でもありました。
ただ深く内容について語ることのできないタイプの作品なので、あまり多くは語れませんが、本格ミステリとしてもかなり大胆な(物語の根幹が揺らいでしまうレベルの)仕掛けがあり、読み終わったあとに、最初のページに戻ると、物語がまったく違って見えるような作品になっています。『真相』の驚きもさることながら、その先の切ない余韻が魅