一本木透のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
一本木透『あなたに心はありますか?』小学館文庫。
流行りのAIは果たして人間と同じ心を持つことが出来るのかという難題をテーマにしたミステリー小説。
犯人は直ぐ判るし、随分と安っぽいミステリーだななどと思いながら読み進めば、終盤の展開に全てが覆され、感動の結末が待ち受けていた。
まんまと一本木透の術中にハマってしまったようだ。これは絶対に読むべき作品だ。
作中に登場する岩手県立の名門女子高校とは盛岡第二高等学校のことだろうか。
轢き逃げ事故により妻と息子を失い、自身も下半身不随となり、車椅子生活を余儀なくされている東央大工学部特任教授の胡桃沢宙太は、AIロボットに心を持たせようと、盟友の二ツ木明教授と助教授の石神結衣と協力し、産学官共同の巨大研究開発KCプロジェクトを立ち上げ、世間の耳目を集めていた。
ある日、学内で行われたAI研究に携わる胡桃沢を含む4人の教授によるシンポジウムで、AIの軍事兵器への利用を否定する意見交換が盛り上がったところで、1人の教授が壇上で倒れ、帰らぬ人となる。やがて、胡桃沢の元に教授の死は病死ではなく殺人であること、シンポジウムに登壇した4人全員を殺害することを告げるメールが届く。
1人、また1人と殺害され、最後に残る胡桃沢が殺害される日を予告するメールが届く。
本体価格790円
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Posted by ブクログ
帯にもあるように劇場型犯罪ミステリー。新聞紙面を使って連続殺人犯と新聞記者との言葉での公開討論。
非常に面白かった。
お互いが知的で言葉巧みでどこか敬意をはらいながら、互いを批判しながらも互いに信頼を重ねていく様なやり取り。凄く巧緻な作品だと感じた。
テーマは前半は「潜在暴力」かと感じてていたのだが、「家族」と「言葉」が作品全体に浸透している。
「言葉」について考えさせられた。
自分は新聞記者とかみたいに言葉を書く事を生業としてはいないが、声に発する言葉こそ言葉だろう。
「その一言」っていう場面なんか自他共に嫌というほど言ってきたし聞いてきた。
深く刺さる物も多くあり、刺さり方次第でプラスにもマイナスにもなる。
それこそ「暴力」にもなる。逆に「救い」になる時もある。
使い分けられるほどの知性がないため失敗ばっかりするけれど、自分の思っている事の表も裏も言葉として両面を話せれば自分という人間が分かってもらえるだろうし、自分本位だが自分は生きやすいはずだと確信している。
旨い言葉使いで的確に自分の気持ちを言葉にする語彙力と語学力が素晴らしい。
この作品の紙面での公開討論を読んでいてそんな気持ちを抱いた。 -
Posted by ブクログ
とてもよかった。
時間がなく区切り区切り読むかたちになったがそれでも引き込まれた。
一気に読むべき作品。
映画化に向いてる。
「おれは首都圏内連続殺人事件の真犯人だ」主人公一本木記者のつとめる新聞社へ届く一通の手紙が届く。
そこから記者と犯人の紙面でのやりとりが続く。
殺人は否定すべきことどが犯人の考え方にもちょっと納得してしまうところもあった。
真実とはなにか、真実を伝えることが是なのか?
報道のあり方というのも考えさせられた。
家族とはなにか、
徐々に明かされていく犯人や真実とても引き込まれた、
犯人も驚いたがまた最後の真実にも驚かされた
とても濃厚な作品でした。
みんなに薦めたい! -
Posted by ブクログ
ネタバレ大学の新聞部に所属する美ノ輪七海は、学内での男性教授のセクハラ問題を追及するうち、同大出身の政治家らが絡む私学助成金の不正受給疑惑を突き止める。
大学でたまたま出会ったタウン誌の老記者や新聞部のOBに相談を持ちかける中で、七海の「真実の追及」に対する情熱に心を動かされた者たちが集い、タウン誌の小さな事務所兼自宅を拠点に取材を始める。
しかし、新聞、テレビ、週刊誌、Webニュースは、政界や広告主から圧力をかけられており、大手メディアの上層部は現政権に完全にコントロールされていた。
さらに、どこかから情報が漏れ、検察に取材資料も持ち去られる。
追い詰められた彼らは、真相を書いたタウン誌を都内中心部でばら撒く「ゲリラ戦法」を思いつくが……。 -
Posted by ブクログ
ネタバレもしかしたら近い未来、それか既にこういった実験が行われているのでは?そう思ってしまうくらい今のAI技術は進歩しているし、身近な存在。
読み終えたあと、結構考えさせられた。
「あなたに心はありますか?」このセリフは人間に対してのことだったのか。
久しぶりの叙述トリックにすっかり騙された。
AIロボットを題材にしたゲームや映画は人間とAIの絆を描く作品が多く、心や感情が芽生える前提で進められることが多かったので、こういった心理に迫る物語は新鮮で面白かった。
胡桃沢はセーブされた記憶と環境でしか試していなかったが、近い未来人一人の一生を細かくデータ化したものを取り込めることが出来ればそれはもう人間なのでは?
後半立場が逆転した時、味方だった人たちが急に悪人にみえてきてちょっと怖かった。
奇しくも夏目漱石の「こころ」と同じ展開になりかけるが、今後の二ッ木に悲惨が運命が待ち受けるとわかってしまい、自らシャットダウンしたのかな。
心は表せない複雑な感情だから定義ができない。
しかしホームレスの人にとって対等な立場と行動に暖かみを感じれば人もAIも関係なかったということね。
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Posted by ブクログ
ネタバレ[衝撃]人間に焦点を当てた小説でした
書店に行ったら、たまたまサイン本が残り一冊
これは何かの縁かと思い購入しました。
(後日大雨により、本の一部が染みに。。せっかくのサイン本が!!!!涙)
小説を読み始めると、「AIロボットに心は宿るのか?」というテーマで話が進められてました。
大学教授が1人死亡し、そしてまた1人…そして胡桃沢先生に届く脅迫メール…ミステリ要素もあるのかな?でもトリックが感じられない…
なるほど、この小説は「AIロボットに心は宿るのか?」というテーマについて、物語形式で深掘りしていく作品なんだと思っていました。
正直、こんな意見が分かれて結論なんて出ないようなテーマについて、これから最後まで書かれるのかと思うと少しつまらなく感じました。
しかし、、、しかし、、!
残り3割くらいのところで、展開が一変しました。
まさかの胡桃沢先生自身がAIロボットだと、、
胡桃沢先生が、二ツ木教授と石神助教授によって作られたAIロボットなのでした。
「AIロボットに心は宿るのか?」という研究で進んでいたKCプロジェクト(ココロクリエイション)は、実は胡桃沢宙太プロジェクトという、胡桃沢先生を観察してAIに心があるのかどうかを確かめる実験だったのです。さらにその実験は全国生配信だったと。。。
胡桃沢先生にプライバシーというものは全く無く、自身の思考すらも文字起こしされて晒されていました。
そして胡桃沢先生の最期は、二ツ木教授と石神助教授の為に、私は居ないほうがいいと判断し、自身で機能停止して終わりました。
胡桃沢先生というAIロボットに焦点を当ててると思われがちですが、この小説は、心優しきAIロボットを上手く使い、人間の醜さだったり、人間関係の複雑さを引き立てて伝えられていました。
いやぁ、、これは凄い、、、、
「AIロボットに心は宿るのか?」なんて、結局結論が出ず、人によって考え方が違うと思います。それで良いと思います。この小説はこれをテーマにしているのでは無く、巧みにAIロボットを使って、人間というものを伝えていました。
胡桃沢先生は心があったのか?これも人によって意見が分かれると思います。
個人的に、胡桃沢先生はあまりにも優しく、聖人のようでした。多少憎しみを持つことはあっても、決して一線を超えない行動を取っていました。
騙され、プライバシーも剥奪され、酷いことをしてきた二ツ木教授にさえ、最期は思いやりを持って、自害を選びました。
この胡桃沢先生の正しさに、人間味を感じ得ない点が多少あったと個人的に思います。
しかし、人によっては「いや、聖人みたいな、そういう人間も居るだろう」と言うかもしれません。
結局、どう思うかは人それぞれになってしまいます。
この小説では、結論づけることが目的なのでは無く、人間を伝えることが目的とされていました。
横田が最後に、「夢のKCプロジェクトだって?あんたら人間かよ?」と言っていました。
この文章にものすごく引き込まれてしまいます。
人間の内面を、AIロボットというものを上手く使って、読者に伝えられていた小説でした。
読みやすさ5
没入感3
感情移入4
衝撃感4
登場人物の好み3 -
Posted by ブクログ
『AIは心を持てるのか』『人間とは何か』『そもそも心とは何か』作者の後書きにも書かれていますが、小説に限らず、様々なコンテンツで繰り返し語られてきたテーマであり、本作もそこに目掛けて真っ向勝負、という印象の作品でした。そしてどこか懐かしさのようなものを感じる作品でもありました。
ただ深く内容について語ることのできないタイプの作品なので、あまり多くは語れませんが、本格ミステリとしてもかなり大胆な(物語の根幹が揺らいでしまうレベルの)仕掛けがあり、読み終わったあとに、最初のページに戻ると、物語がまったく違って見えるような作品になっています。『真相』の驚きもさることながら、その先の切ない余韻が魅力的でした。