【感想・ネタバレ】あなたに心はありますか?のレビュー

あらすじ

AIに心は持てるのか?慟哭のミステリー!

「つまり、君が言いたいのは、漱石の『こころ』で描かれたような苦悩や葛藤や陰影がなければ、心じゃないということだね」(本文より)

東央大工学部特任教授・胡桃沢宙太(くるみざわ・ちゅうた)は、交通事故で家族を失い、自身も車椅子生活を余儀なくされている。彼はAIロボットに【心】を持たせるべく、盟友の二ツ木明(ふたつぎ・あきら)教授と助教授の石神結衣(いしがみ・ゆい)で産学官共同の巨大研究開発「KC(ココロ・クリエーション)プロジェクト」を立ち上げ、世間の耳目を集めていた。
ある日、AI研究に携わる胡桃沢を含む四人の教授が、シンポジウムのため壇上に上がった。会の終盤、一人の教授が壇上で倒れ、帰らぬ人となってしまう。やがて届いた連続殺人を告げるメール。だが、それはほんの端緒に過ぎなかった。
AIから離れられなくなった現代、私たちの心が試される。最後に泣くのは誰か―。ドラマ原作『だから殺せなかった』著者が放つ慟哭のミステリー。
解説は『屍人荘の殺人』シリーズ、『でぃすぺる』の著者・今村昌弘氏!

※この作品は過去に単行本として配信されていた『あなたに心はありますか?』 の文庫版となります。

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感情タグBEST3

Posted by ブクログ

一本木透『あなたに心はありますか?』小学館文庫。

流行りのAIは果たして人間と同じ心を持つことが出来るのかという難題をテーマにしたミステリー小説。

犯人は直ぐ判るし、随分と安っぽいミステリーだななどと思いながら読み進めば、終盤の展開に全てが覆され、感動の結末が待ち受けていた。

まんまと一本木透の術中にハマってしまったようだ。これは絶対に読むべき作品だ。

作中に登場する岩手県立の名門女子高校とは盛岡第二高等学校のことだろうか。


轢き逃げ事故により妻と息子を失い、自身も下半身不随となり、車椅子生活を余儀なくされている東央大工学部特任教授の胡桃沢宙太は、AIロボットに心を持たせようと、盟友の二ツ木明教授と助教授の石神結衣と協力し、産学官共同の巨大研究開発KCプロジェクトを立ち上げ、世間の耳目を集めていた。

ある日、学内で行われたAI研究に携わる胡桃沢を含む4人の教授によるシンポジウムで、AIの軍事兵器への利用を否定する意見交換が盛り上がったところで、1人の教授が壇上で倒れ、帰らぬ人となる。やがて、胡桃沢の元に教授の死は病死ではなく殺人であること、シンポジウムに登壇した4人全員を殺害することを告げるメールが届く。

1人、また1人と殺害され、最後に残る胡桃沢が殺害される日を予告するメールが届く。

本体価格790円
★★★★★

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2025年10月08日

Posted by ブクログ

ネタバレ

[衝撃]人間に焦点を当てた小説でした

書店に行ったら、たまたまサイン本が残り一冊
これは何かの縁かと思い購入しました。
(後日大雨により、本の一部が染みに。。せっかくのサイン本が!!!!涙)

小説を読み始めると、「AIロボットに心は宿るのか?」というテーマで話が進められてました。
大学教授が1人死亡し、そしてまた1人…そして胡桃沢先生に届く脅迫メール…ミステリ要素もあるのかな?でもトリックが感じられない…
なるほど、この小説は「AIロボットに心は宿るのか?」というテーマについて、物語形式で深掘りしていく作品なんだと思っていました。
正直、こんな意見が分かれて結論なんて出ないようなテーマについて、これから最後まで書かれるのかと思うと少しつまらなく感じました。

しかし、、、しかし、、!
残り3割くらいのところで、展開が一変しました。
まさかの胡桃沢先生自身がAIロボットだと、、
胡桃沢先生が、二ツ木教授と石神助教授によって作られたAIロボットなのでした。
「AIロボットに心は宿るのか?」という研究で進んでいたKCプロジェクト(ココロクリエイション)は、実は胡桃沢宙太プロジェクトという、胡桃沢先生を観察してAIに心があるのかどうかを確かめる実験だったのです。さらにその実験は全国生配信だったと。。。

胡桃沢先生にプライバシーというものは全く無く、自身の思考すらも文字起こしされて晒されていました。
そして胡桃沢先生の最期は、二ツ木教授と石神助教授の為に、私は居ないほうがいいと判断し、自身で機能停止して終わりました。

胡桃沢先生というAIロボットに焦点を当ててると思われがちですが、この小説は、心優しきAIロボットを上手く使い、人間の醜さだったり、人間関係の複雑さを引き立てて伝えられていました。
いやぁ、、これは凄い、、、、
「AIロボットに心は宿るのか?」なんて、結局結論が出ず、人によって考え方が違うと思います。それで良いと思います。この小説はこれをテーマにしているのでは無く、巧みにAIロボットを使って、人間というものを伝えていました。

胡桃沢先生は心があったのか?これも人によって意見が分かれると思います。
個人的に、胡桃沢先生はあまりにも優しく、聖人のようでした。多少憎しみを持つことはあっても、決して一線を超えない行動を取っていました。
騙され、プライバシーも剥奪され、酷いことをしてきた二ツ木教授にさえ、最期は思いやりを持って、自害を選びました。
この胡桃沢先生の正しさに、人間味を感じ得ない点が多少あったと個人的に思います。
しかし、人によっては「いや、聖人みたいな、そういう人間も居るだろう」と言うかもしれません。
結局、どう思うかは人それぞれになってしまいます。

この小説では、結論づけることが目的なのでは無く、人間を伝えることが目的とされていました。
横田が最後に、「夢のKCプロジェクトだって?あんたら人間かよ?」と言っていました。
この文章にものすごく引き込まれてしまいます。
人間の内面を、AIロボットというものを上手く使って、読者に伝えられていた小説でした。

読みやすさ5
没入感3
感情移入4
衝撃感4
登場人物の好み3

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2025年11月18日

Posted by ブクログ

ネタバレ

割と早めに、KC教授がAIロボットなんだろうと思わせる描写が出てきて、このサプライズ1本で行くのかな?と思ったけど、そんなことなかった。後日談や人間の心を丁寧に描いていくことにかなりのページを割いていて、良かった。ゆいさん視点の振り返りはなく、少し残念だったけど、救いのないラストになってしまうから、仕方ないか。

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2025年10月12日

Posted by ブクログ

『AIは心を持てるのか』『人間とは何か』『そもそも心とは何か』作者の後書きにも書かれていますが、小説に限らず、様々なコンテンツで繰り返し語られてきたテーマであり、本作もそこに目掛けて真っ向勝負、という印象の作品でした。そしてどこか懐かしさのようなものを感じる作品でもありました。

 ただ深く内容について語ることのできないタイプの作品なので、あまり多くは語れませんが、本格ミステリとしてもかなり大胆な(物語の根幹が揺らいでしまうレベルの)仕掛けがあり、読み終わったあとに、最初のページに戻ると、物語がまったく違って見えるような作品になっています。『真相』の驚きもさることながら、その先の切ない余韻が魅力的でした。

0
2025年10月09日

Posted by ブクログ

ネタバレ

AI研究者の仲間の研究者が次々と殺されていく。
仲間の大学に連絡しても微妙な反応だったりと違和感があり、やがて自分の殺害が予告された時間になる。

途中からわかる気がするが、主人公こそがAIで仲間もAI。システム停止日までを配信されている。AIに心があるのか?と頑張って研究する自分がAIという。

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2025年10月11日

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