庵功雄のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
移民を受け入れると犯罪が増えると言われるのは日本人が、外国人が住みやすい居場所をつくってあげられていないからだと納得した。
外国人に対しての社会的保障が手厚く、日本人が受け入れる姿勢をとれば、安定した地域社会を作ることができる。
やさしい日本語を使うことは日本人自身の日本語力をあげることにもつながり、情けは人の為ならずと言われるように自分のためになる。日本人の態度にも問題があるので、聞きなれない日本語に嫌悪感を抱かず寛容さを身に付け、言語的ホスピタリティをもつことが大事だとわかった。将来日本語教師になったとしたら、日本語を教えるのではなく学びあう意識を大切にしたい。 -
Posted by ブクログ
とてもためになった。
やさしい日本語がどういったものか、どのようにしたら多文化共生が実現するのか、著者の思い描く「やさしい日本語」に共感した。
日本語教員を目指す人には、やさしい日本語だけではない試験に出そうな内容もあって勉強になると思う。
そして、今まで自分の価値観でしか物を見ていなかったことに気付かされた。
例えば、道路標識のナマズや「墨字」という言葉。
道路標識のナマズは、地震の際にはこの道路は緊急車専用になりますという標識に書いてあるナマズの絵のこと。
これは、日本人であれば地震とナマズが結びつくが、異文化の人々には意味不明である。
そのため伝えたいことがきちんと伝わらない。
「やさ -
Posted by ブクログ
70年前に国語審議会が「やさしい敬語」として敬語のあり方を変えた。いま使われてる敬語は調整された敬語。
封建が崩れた近代に合う形で、いまも敬語は変化してる。
いろんな原因や狙いがあって言葉は変わる、変えられる。
あと30年もしたら、日本語は面白い形に変わってると思う。楽しみ。
この本で大収穫だったのは、日本語手話話者の日本語書記に関する考察。
手話は体系を持った言語だから当然、「手話が母語」になると理解していたつもりだったんだよね。理解してませんでした。「日本語手話を扱えるから、日本語を学ぶのは難しくない」って思ってたんだけど、大きな間違いだった。
もう一点あった。
母語を流暢に扱える -
Posted by ブクログ
大学の公開講座で紹介されていて興味を持ったので読んだ本です。
その公開講座でも触れられていたのですが、まず興味をもったポイントとしては、日本に住むいわゆる定住外国人のひとたちのうち、英語が母語の割合の人は少なく、むしろ英語よりも日本語のほうを解する人が多いという点でした。
日本で「国際化」=英語対応というような風潮が強く、国際的なコミュニケーションツールとして、ビジネスや観光客・留学生対応としては確かに有用だと思います。一方で、ある意味で一番大事な「今すでに日本に住んでいる外国人のひとたち」ということについて、市役所の方とかそういう一部の人しか考えてないんじゃないかと痛感しました(もちろん自 -
Posted by ブクログ
「やさしい日本語」の使い方を学ぼうと手に取ったら、ガッツリ庵先生の論文を読んでる気分になった。やさしい日本語の実例や先生の体験談はほぼなく、日本を取り巻く環境、マイノリティへの必要性などを言語の側面から、なぜこのような形態の言葉が必要なのかを説明しています。
外国人向けのわかりやすいチラシを作ってもらう実験などの例示や、冒頭に読者へのサンプルの問いかけなどがあると新書っぽくなるのかなー
モダリティやテ形やチョムスキーや手話母語者などは、全く日本語学をやったことがない人には、日本語学の話がてんこ盛りなのでは。
これで卒論を書こうと思う人には、必要な文献や例がバランス良く書かれてて良いと思うので -
Posted by ブクログ
外国人実習生の受け入れをしているにもかかわらず、外国にルーツを持つ子供たちへの手当の薄さには、日頃から腹を立てていた。現実として、言葉の問題に端を発して、さらに進学の問題まで述べられていたのは素晴らしいと思った。
やさしい日本語は決して外国人だけのためではなく、我々みんなにも関わることだとさらに思う。というのも、行政で使われる用語は難解で、我々日本語ネイティブですら、わからないことも多々あるからだ。様々な手続きをする際にわからずにそのままにしてしまったり、窓口で聞かなくてはならなくなったりすることも多い。
やさしい日本語はみんなにやさしいはずである。これからの文書はやさしい日本語で書かれている -
Posted by ブクログ
昨今、難民受け入れが国際的な課題となっている。また高齢化社会を迎えるにあたり、外国人労働者を新たなる労働力として期待する向きもある。しかし多種多様な文化圏の人間が暮らす社会を目指すにおいて、現在の日本が抱える課題は決して少なくない。
本書は、そうした課題のうち、特に言語に関するものを、日本語学と日本語教育の観点から論じた一冊。
言語とはもともとコミュニケーションの道具であるし、コミュニケーションとはつまり「自分の考えを相手に伝え、説得する」ことだ。美しい言葉遣いはもちろんよいものだが、コミュニケーションの手段たりえることは尚のこと重要だ。
本書を読むことで、「言葉の美しさ」に知らず知らずのう -
Posted by ブクログ
弘前大の佐藤和之さんらが提唱する「やさしい日本語」は、災害初期に日本語に不慣れな人が生き延びるための情報伝達手段として開発された。
本書の著者、庵さんら一橋大グループは、外国にルーツを持つ人たち、障碍者(ろう者)が、社会で情報弱者にならないための手段として新たに〈やさしい日本語〉を提唱する。
使われる場面や役割がかなり大きく広がった感じだ。
実は私も地域の団体でやさしい日本語に関わるボランティアをしている。
佐藤流であれ、庵流であれ、やさしい日本語が社会で認知されているという実感はまだまだない。
社会での有用性、必要性がきちんと説明された新書が出ることで、認知度が高まるといいな、と思う。
本 -
Posted by ブクログ
日本語学習者に必要な単語や文法を厳選して教えるという点は賛同できる。
しかし、「やさしい日本語」という言葉は聞こえはいいのだが、私はむしろ大きな疑問点が残った。
・諸外国の公用語で「やさしい〇〇語」というような制度やサービスがあるのか。
やさしい中国語、やさしいアラビア語など。
私はあまり聞いたことがない。あれば事例を紹介して欲しかった。
・日本にいる外国人のうち誰を対象にしているのか。
そもそも移民を受け入れて、外国人労働者を受け入れることありきで設計されていないか。
コスト負担者と費用対効果は考えられているのか。
・日本語をやさしくするより、重要なことがあるのではないか。