藤田田のレビュー一覧
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「勝てば官軍」というと、なにかむきつけな感じがするかもしれないが、そうではない。ビジネスは勝たなければ価値はない。人生もまたしかり。
(引用)
勝てば官軍(新装版)、藤田田(でん)著、KKベストセラーズ、2019年、7
いま、経営本と言えば、哲学やVISIONを社長と社員と共有すること。また、いつも感謝の心を持つなどの類が多くを占める。
もちろん、私は、これらの本を否定するわけではない。むしろ、「心の時代」と言われる現代社会において、求められるのは、社員と顧客、双方が幸せになることであろう。
顧客を創造し、幸福を追求していくことこそが企業の持続的な繁栄につながっているということは、大いに共感できるし、私も実践していきたいところだと感じている。
しかし、藤田氏の本は、これらの経営本と一線を画す。そこには、現場で戦ってきた一人の男の想いが綴られている。そこに、「綺麗ごと」はない。
この本の復刻版が出版されたということは、藤田氏の考え方、数々の経営手法、そしてリーダーとしてのありかたに至るまで、今の時代にも求められているということであろう。
不思議なことに、本を読み始めると、藤田氏の情熱が溢れ出し、その情熱が瞬時に読者に伝わり、藤田ワールドに引き込まれる。まるで、藤田氏が目の前に立って、熱く話しかけているかのように。
なぜ、引き込まれるのか。
藤田氏にとって、経営とは、「戦い」なのであろう。その戦ってきた姿、そして勝ちにこだわる姿は、共感を覚える。と同時に、改めて経営の難しさも教えてくれる。
なぜ、藤田氏は、ここまで戦い続けたのだろうか。
きっと、藤田氏の根底にあるのは、アメリカや西欧文化の良いところを日本に取り入れ、「日本をもっと豊かにしたい」という想いがあったのだろうと思う。
では、なぜ、藤田氏は、勝ちにこだわり続けたのか。
藤田氏は、自分が勝たなければ、いつまでも諸外国から日本が取り残され、私たちの暮らしが豊かにならない。だからこそ、変えていかなければならない。という、壮大な使命がったのではないだろうか。
マクドナルドやトイザらスを日本に広めるなどした藤田氏は、残念ながら、もう、この世にはいない。
しかし藤田氏の遺した言葉や考え方は、これからも本書を通じて広く伝えられていくことだろう。
藤田氏が設立した「日本マクドナルド株式会社」は、アメリカで開かれたマクドナルド世界コンベンションで「世界一」だと紹介された。
ビジネス、そして人生は勝たなければ価値はない。
そう教えてくれる藤田氏の考え方を、今度は、「今を生きる」私たちが実践していかなければならない。
それが、牽いては、社会が、そして日本が豊かになることにつながるから。 -
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P37 金持ちの間で流行させることを考えよ
金はある手から洩れてくる。金の絶対数がないところでは、いくら知恵をしぼっても洩れてきはしないのである。
p41 女と口を狙え
商売には究極のところターゲットは2つしかない。「女」と「口」を狙う商売である。
男は働いて金を稼いでくる。女は男が稼いできた金を使って生活を成り立たせる。これは古今東西を問わず「真理」である。
「男」から金を巻き上げるのは「女」を相手にするより10倍以上もむずかしい。なぜならば、給料は銀行振込で、小遣いは妻からもらっているというサラリーマンが圧倒的に多いように、男は金を消費する権限を持っていないからである。
とはいえ、女を狙うには商品の選択からセールスまで、ある程度の才能が必要である。そこへいくと「口」に入れるモノを扱う商売は、さしたる商才を必要としない。
口に入ったものは必ず消化され、排出される。売られた商品がその日のうちに消費され、排出されていく。こんな商品はほかにはない。土曜日も日曜日も、1日の休みなく稼いでくれるのは銀行預金の利息と「口に入れる商品」だけだ。
p56 電卓があっても暗算には強くなれ
わたしのところには、しばしば「金が欲しい。金を儲ける方法を教えてくれ」という人が現れる。そういうとき、わたしは「いつまでにいくら欲しいのか」と質問する。ところが、たいていの人は、その質問に答えられない。儲けたいという気持ちはあっても、自分のおかれている状態や条件を分析していないからだ。
p101 人間は欲望をもった動物である
人間は、道具を使い、火を使い、言葉を持ち、考える力があるからといっても、決して犬や馬など比較にならないほど上等な動物ではない。略)〜自然にそなわった能力という点ではむしろ劣っているかもしれない動物である。しかも、欲望を持った動物である。そういう動物はどこをどのようにしてやれば便利だと感じるか、快適になるか、満足するか。ビジネスとは、そういうことを考えるところから始まる。
p107ビジネスのサーチライトは2つある
仕事が成功するかどうかの「サーチライト」は2つある。1つは、それが「西欧化」の方向に向かっているかどうかということだ。
もう1つのサーチライトは、それが「時間を節約する」方向に向かっているかどうかということだ。
p148 何のために広告に金を使うのか?
広告はあくまでも「金儲け」のためにある。
金儲けのための広告には2つの方法がある。1つは「イメージ」をつくる広告であり、もう1つは「モノ」を売る広告である。わたしは、その比率はイメージが4分でモノを売ることが6分だと思っている。だから、広告は、何人かの人がいれば、そのなかのもっとも幼稚な人にわかるようにしなければならないのだ。
p161 成功の秘訣は才能と努力、プラス運である
起業家としてわたしは、「人間、才能や努力だけでは成功できない、大事なのは運だ」といいつづけてきた。
ところが、クロック氏と20分ほど雑談をしていると、彼が突然、「藤田さん、ビジネスとはあなたのいうとおりのことだ。あなた、日本でハンバーガー・ビジネスをやらないか」といった。わたしは小考し、「アドバイスは受けるがオーダーは(命令)は受けない。それでよければやる」と答えた。そくざにクロック氏は、「OKだ。絶対に成功させてくれ」といった。それが、71年の銀座三越の1号店となったのだ。
※p243 わたしの予測では、遠からず日本人は、いまのマルチメディア熱からさめるだろうし、みながみなパソコンを使ってショッピングするというような時代は来ないだろう。 -
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読み終わった日:2009.05.30
1章:価格破壊は歴史の必然である
2章:デン・フジタの成功の法則
3章:ビジネス成功の法則
4章:規制緩和なき日本に明日はない
5章:ビジネス・チャンスは無限にある
それぞれの章のテーマにおいて、著者がビジネスをやっていく上で重要だと
考えるポイント、ポイントを書き綴っている感じ。
基本的に本人の「野生の勘」に基づいた法則。でもするどいし、時代がついてきていると思う。
実際この本が書かれたのも’96だけど、今読んで、納得できる事ばかり。
「野生の勘」に基づいている法則なので、ちょっと極端に感じることもあるけど、だからこそ力強い。
戦後の日本はこうゆう勘が強い人たちに引っ張られてここまで来たんだかな、と思った。
今後こうゆう人たちが現場から引退していくと日本はどうなるんだろう。
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ネタバレ【要約】
日本マクドナルドの創業者である藤田田氏が、ユダヤ人から学んだ「商売の鉄則」をまとめた著作
1972年の発売以来、ソフトバンクの孫正義氏やユニクロの柳井正氏ら多くの経営者に多大な影響を与えてきた「お金儲けのバイブル」として知られている
①「78対22の法則(宇宙の法則)」
ユダヤ商法の根幹をなすのが、「世の中のすべては78対22の割合で成り立っている」という法則
・自然界の例:
人体の水分(78%)とそれ以外(22%)、空気中の窒素(78%)と酸素など(22%)、地球の海(78%)と陸(22%)など、この数字は宇宙の摂理であるとされている
■ビジネスへの応用
(1)ターゲットの絞り込み(金持ちを相手にする)
ユダヤ商法では「世の中の22%のお金持ちが、全資産の78%を所有している」と考える
・効率的な集客:
多数派であってもわずか22%のお金しか持っていない一般大衆(78%の層)を相手にするよりも、圧倒的な富を持つ22%の富裕層をターゲットにするほうが、効率的に大きな利益を上げることができる
・優良顧客への集中:
売上の約8割(78%)は、全顧客の約2割(22%)である常連客や優良顧客によって生み出されるという傾向がある
そのため、すべての人に平等なサービスを提供するのではなく、この22%の優良顧客を重点的に優遇することが商売を有利に進める鉄則
(2)心理的・数学的な価格設定
日本マクドナルド創業者の藤田田氏は、この法則を消費者の購買心理を突く価格戦略に応用した
・「39セット」の例:
1987年に発売された390円の「39(サンキュー)セット」は、500円硬貨で支払うと、お釣りが110円となる
この「支払額390円」と「お釣り110円」の比率は、ほぼ78対22になる
人間はこの比率を本能的に「心地よい」と感じるため、消費者の心理的な購買力が上がり、爆発的なヒットにつながった
(3)管理・意思決定の指標
ビジネスの運営やリスク管理におけるバランス調整にも、この数字が活用される
・資源・比率の管理:
ユダヤ人が成功を収めた銀行業では、預金者と借金主の割合を78対22に管理することで安定した経営を行っていた
・達成基準の設定:
何か新しいことを始める際、契約や機械に関しては100点満点を求めるが、人間が関わる業務の合格点は60点(78×0.78≒60)程度で良い
完璧主義に陥ってチャンスを逃すのではなく、6割の達成率を目安に迅速に動くことが推奨されている
②儲けるための「二大商品」:女と口
ユダヤ商法において、扱うべき商品は大きく分けて2つしかないとされている
・第1の商品「女性」:
男性が稼いできたお金を管理し、実際に使う主導権を握っているのは女性
そのため、宝石、アクセサリー、ドレスといった女性向けの商売は最も儲かるターゲットとなる
・第2の商品「口」:
口に入れるもの(食品)は、一度消費されても数時間後には再び必要になる
この「消費サイクルの速さ」に着目した飲食ビジネスは、才能に関わらず確実に儲かる業種とされている
藤田氏が日本マクドナルドを創業したのも、この教えに基づいている
③契約と時間の絶対厳守
ユダヤ人は「契約の民」と呼ばれ、ビジネスにおける信用を極めて重視する
・契約は神との約束:
一度交わした契約は、赤字を出してでも守り抜くのが鉄則
藤田氏自身も、納期を守るために巨額の費用をかけて飛行機をチャーターし、それが後の大きな信用に繋がったというエピソードがある
・時間は「お金」そのもの:
遅刻は相手の時間を奪う(=財布から金を盗む)行為と同義
また、サービス残業を嫌い、1分単位で時間を管理するほど徹底した時間意識が求められる
④「薄利多売」を否定し、付加価値で売る
日本で美徳とされる「安く売ること(薄利多売)」を、ユダヤ商法では「バカの商法」として厳しく否定される
・価格競争を避ける:
安売り競争は利益を削り、最終的には共倒れを招く
相場を気にするのではなく、商品に圧倒的な自信と付加価値をつけ、正当な(あるいは高い)価格で販売して厚い利益を得ることが重要
・憧れ心理の利用:
人は物の実質的な価値よりも「憧れ」に高いお金を払う
まずはお金持ちの間で流行させ、ブランドイメージを高める戦略が推奨される
###付加価値をつける具体的な方法
(1)「消費者の教育」と「支払う理由」の提示
ユダヤ人は、単に値段を上げるのではなく、なぜその製品が高額なのかを徹底的に説明し、消費者を「教育」する
・データの活用:
統計資料やパンフレットなど、あらゆる手段を用いて製品の価値を証明する
・断られたらメリットを増やす:
例えば100万円の商談で断られた場合、値下げをするのではなく、さらに強いメリット(付加価値)を付け加えて逆に200万円で提案するという手法がある
これは、客が買わないのは「金がないから」ではなく「支払う理由(メリット)がないから」だと考えるため
(2)「雰囲気」や「環境」による価値の創出
製品そのものの原価ではなく、提供されるシチュエーションを付加価値とする
・映画館のコーラの例:
スーパーでは100円のコーラが、映画館では500円〜600円で売られている
これは「映画館の雰囲気」という付加価値がついているため、客は高いと感じながらも納得して購入する
(3)「コンセプト」の転換
商品の位置づけを変えることで、購買意欲を高める
・手が届く高級品:
藤田田氏は、ダイヤモンドを「キャデラック(超高級品)」のような手の届かない存在としてではなく、当時の「国産車(ちょっとした贅沢品)」というコンセプトで販売し、1日で5000万円を売り上げた
(4)「憧れ心理」と「ブランド戦略」の活用
人は物の実質的な価値よりも、「憧れ」に対して高いお金を払うという心理を利用する
・金持ちから流行させる:
最初から一般大衆に売るのではなく、まず超大金持ちや「イケてる若者」の間でブームを作ることで、商品にブランド力と憧れを抱かせる
・海外文化としての演出:
日本マクドナルドの場合、単なるハンバーガー(食事)としてではなく、「アメリカの最先端の食文化」として売り出し、「銀座でマックを食べるのがステータス」というイメージを植え付けた
(5)「一等地の出店」によるイメージ向上
どこで売るかという場所選びも重要な付加価値となる
・銀座三越への出店:
日本で最も地価が高く、高級なイメージがある「銀座」の、さらに「三越の1階」に1号店を出したことで、ハンバーガーに高い付加価値と注目度を与えた
⑤商売人の姿勢と哲学
ビジネススキル以外にも、成功するためのマインドセットが説かれている
・数字と英語に強くなる:
利益や時給を瞬時に算出できる暗算能力と、世界と渡り合うための英語は、商売人の必須条件
・暇を作る:
忙しすぎて余裕がないと、チャンスに飛びつくことができない
成功するためには、意識的に「暇」を作っておくことが必要
・お金は幸せのツール:
お金そのものが目的ではなく、美味しいものを食べ、家族と過ごし、休息を取るという「人間らしい生活」を送るための手段としてお金を稼ぐべき
★結論
「勝てば官軍」という冷徹なまでのリアリズムに基づきながら、人生を豊かにするための合理主義的な哲学を提示している -
Posted by ブクログ
ネタバレ2019年4月に出版された本を今更ながら、、
成程な、確かに、そう思わされる「定石」がいくつもあった。最近、会社の上司にも言われた「物事を全て数字で語れるようにする」こと。
ユダヤ人は「今日暑いなあ」とは言わない。「今日は昨日より3℃高いらしいよ」など必ず数値が答えにある。ぎくっとしたのは、「日本人は不思議だねで結論を出さずに終えることが多い」という言葉。本当に全て数値で語れるだろうかと思いつつ、そうなれたらかっこいいと思うので、日々の生活の中で常に意識してみる。
他に印象に残っているのは、契約書の話。決して契約書を軽く見ないこと。内容に抜けがないか、隅々まで細かく確認すること。
これは私の実体験だが、あるA社と提携していたサービスの一貫として新しいことを始めようとしたが、契約書に記載されていなかったためにポシャってしまったことがあった。契約前に契約内容を詰めておけば、防げていたことであった。読む気さえ失せてしまう契約書だが、そこに書かれていることの大切さ、契約の重さというものを改めて実感した。面倒なことこそ避けて通るべきでない。
定石は頭に染みつけるべきだ。仕事をしている時に頭に定石が浮かぶようになるまで、読みたいと思う。 -
Posted by ブクログ
毀誉褒貶っぷりが伝わってくる一冊。
現代だと炎上しかねない記述も多いのだが、それにも増して先見の明に驚かされる。
例えば、コンピュータ時代を予見(若き孫正義氏に米国でコンピュータを学ぶことを勧めたエピソードは有名だ)、物流時代の到来を示唆(まさに現代)、アニメ制作の海外発注(すでに実現している)……。読んだら驚くばかりである。
よく簿記不要論者と要非をめぐって議論になるのだが、藤田氏も本書で「簿記三級は必須」と強調している。”銀座のユダヤ人”とまで呼ばれた著者が言うのだから間違いない!!(そもそも学ぶのにそんなに時間かからないからやったらいいのに……)
「予言者」という意味ではドラッカーも凄いのが、藤田田氏の場合、もっと具体的で分かりやすい。発刊当時に読んで実行すれば、ひと儲けできたかも(笑)。 -
Posted by ブクログ
儲けるための思考が手に入る
「お金を稼ぐ」とは何かが書かれている。今まで自分がどれだけお金を稼ぐ人の思考をしていなかったのかを感じる。
・”ちょっとしたぜいたく品”を狙え
・時間を大切にしろ
・タイミングが大切
・教養をつけろ
・世界の一流を体験しろ
・本当に良いものはタダで手に入る
・きらいなものを売れ
正直、流石に偏見だろと思うところもあったが、”お金を稼ぐ”という点に関して、どのようなことを意識する必要があるのかが自分の中で明らかになった。
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毎年、税務署が年収一〇〇〇万以上の人の氏名を公表する(現在は公表していない)が、私はこのクラスの人々が、会社のお得意さんだと考えている。このクラスの人を相手に商売をすれば、はっきりいってかなり儲けさせてもらえる。
狙い所は、?ちょっとしたぜいたく品?
男というものは働いて金を稼いでくるものであり、女は男が稼いできた金を使って生活を成り立たせるものである。商法というものは、他人の金を巻き上げることであるから、古今東西を問わず儲けようと思えば、女を攻撃し、女の持っている金を奪え──というのである。これがユダヤ商法の公理であり「女を狙え」というのはユダヤ商法の金言なのである。
英語がしゃべれるということは、金儲けの第一条件であり、英語と金は不可分なものであると思っても差しつかえない。
ユダヤ人は、重要なことは、どんな場所ででも、必ずメモを取る。このメモが、彼らの判断の正確さにどれほど役立っているか分からない。
ユダヤ人はユダヤ商法に?あいまいさ?が生じることを許さないのだ。迅速に的確に判断を下しても、肝心の日時、金額、納期などがあいまいであっては、なんにもならないからだ。日本人は、重要なことを聞き流し、うろ覚えのままですましてしまう悪癖がある。
ユダヤ人は、最悪の場合に三カ月で注ぎ込む資金は、あらかじめ予測している。その許容限度内の予算で勝負したのだから、クヨクヨすることはない、というのが彼らの考え方である。
ユダヤ人は文字通り「時は金なり」と考えている。一日八時間の勤務時間を、彼らは常に「一秒いくら」で仕事をしているつもりでいる。タイピストにしても、退社時間がくると、残り一〇文字打てば書類が片づくと分かっていても、ピタリと仕事をやめて帰っていく。「時は金なり」という考え方に徹底している彼らにとって、時間を盗まれることは彼らの商品を盗まれることであり、結局は彼らの金庫の中の金を盗まれることと同じことなのである。
ユダヤ人は、出社すると一時間ほどは『ディクテイト(dictate)』といって、前日の退社後から出社時間までに届いた商取引の手紙の返事をタイプしてしまう。「今は、ディクテイトの時間だから」といえば、ユダヤ人の間では「万人シャット・アウト」という公認用語である。ディクテイトの時間がすむと、お茶を飲み、それからその日の仕事に入っていく。ディクテイトの時間は、どんなことがあってもユダヤ商人に面会することは不可能だ。ユダヤ人が『ディクテイト』の時間を大切にするのは、彼らが、即刻即決をモットーとし、前日の仕事を持ち越すことを恥辱と思っているからである。
商人にとっては、タイミングこそ生命といえる。タイミングの取り方次第で大儲けもできるし、大損もしかねないのである。
それでも、私はあえて飛行機をチャーターした。ユダヤ人が支配しているアメリカンオイルと契約したからには、意地でも納期に間に合わせたかった。一度でも契約を破った相手を、ユダヤ人は絶対に信用しない。製品が遅れたのは私の責任ではないが、ユダヤ人は弁解は絶対に聞かない。彼らは常に「ノー・エクスプラネーション──説明無用」、なのである。私は飛行機代の一〇〇〇万円は損しても、ユダヤ人の信用を失うことは避けたかった。
客に歩かせろ舞台が?静?で客が?動?というのは、何も興行だけではない。例えば、商売においても、これまでのやり方は、店は品物を並べその品物を売り込む店員を揃え、客を品物の前に釘づけにして品物を売り込もうとした。そして、その結果は、人件費の高騰に泣かなければならなくなり、客が品物の前に釘づけにして品物を売り込もうとした。そして、その結果は、人件費の高騰に泣かなければならなくなり、客が品物の前を流れて行って自由に選択できるスーパー方式にした方が、客の回転率も早いし、人件費も安く、利が大きいということを認めざるを得なくなった。
厚利多売は、稀少価値を売れば、いくらでも可能である。
シャピロー氏はこう言って笑った。つまり、シャピロー家のこづかいは、月決めでもなければ週決めでもなく、また、年長者であるから弟や妹より多いとは決まっていない。完全な能力給であり、歩合給である。
ユダヤ人が、こと日本に関することで私を質問攻めにする時、彼らは日本人の非合理性を発見して、突っかかってくることが多い。ユダヤ人は日本の風俗、習慣、伝統、趣味まで理解が行き届いているわけではないから、トンチンカンな珍問、奇問を並らべて、私を困らせる。しかし、そういう彼らの珍問、奇問も、もとはといえば、人間は合理的で快適な生活を送るべきだ、という彼らの人生哲学から出てくるのである。その意味では、日本人の生活様式はもっと進歩する余地があるといえよう。
「ダイヤモンドをやりたいなら、少なくとも百年計画でやるべきだ。もちろん、お前一代ではダメだ。それから、ダイヤモンドを扱う人間は、世間の人の尊敬を受けるような人物でなければならない。ダイヤモンド商は、人から信頼されることが、商売の基礎である。そのためには、なんでも知っておくことが必要だ。ミスター・フジタは、オーストラリアの付近には、どんな深海魚がいるか知っているかね」
「ミスター・フジタ。ヒマのない人間はお金儲けなんかできません。商人は金を作ろうと思ったら、まずヒマを作らなくてはダメです」
私は、日本人のように勤勉な国民が、なぜ貧しいのかと思う。私がそうグチをこぼすと「政治家が悪いからだよ。リーダーが悪い」という人がいる。日本の政治家の悪いのは、これはもうどうしようもない。後進国というところでは、政治家は質が落ちるものと決まっている。私に言わせるならば、頭さえ使えば、金の儲かることはゴロゴロころがっている。儲かるタネはいくらでもある。ザクザクある。それなのに金儲けのできないヤツは、アホで低能で、救い難いヤツである。
法律なんてものは、どうせ人間の作るものだ。ユダヤ式に言えば、六〇点すれすれで合格したような不完全な法律ばかりである。そこへ着目しなくちゃならん。法律の欠陥や法律の隙間には、キャッシュがぎっしり詰まっているものと思え。
日本人は全般的にスケールが小さいからアカンのや。ユダヤ人なら、多分、私の雄大な構想にモロ手をあげて賛成してくれたに違いない。
映画が斜陽だとか言ってるが、私は、毎月一回、全社員に強制的に映画を見せる。もちろん、会社が金を出す。ただし、くだらん映画は見せない。世界の流行の先端を行く映画を見せる。そして、今日の世界中の人々の心理状態はどんな状態にあるか。なぜ、こんな映画ができるのか、ということを考えさせる。
それに、女のバイヤーというのは、男にくらべ、利点が多い。まず、酒を飲まない。中には例外もあるが、酒と聞いて眉が八の字になるような女は、絶対といっていいほどいないから、酒の上での失敗ということがない。次に、男を買わない。男というものは、海外に出ると、商品の買付けより先に、女を買いたがるから、どうしても仕事が雑になる。女は海外に出たからといって、男に目の色が変わるということは、まずない。第三に、女は仕事に忠実だ。海外旅行をさせてくれたボスには、とくに忠実だから、裏切ることは決してない。ユダヤ商法では、女は最大の顧客であるが、同時に、最大のパートナーでもある。最大限に活用すべきである。
外国は五日制でもこっちは六日制だ──これでは外国相手に商売なんかできない。五日働いてペイしないような商売なら、さっさとヤメた方が賢明だ。
いい女というものは、日本でも外国でも、タダで手に入る。タダの女を狙うに限る。ただし、タダの女を狙うのに、手真似ではどうあがいても成功の見込みはない。女を口説くにも金を口説くにも、語学にタンノウでなければならない。サル語しかしゃべれないようじゃ、サルが洋服着てるのと同じだ。最低三カ国語はしゃべれなきゃ日本人とはいえない。そんな時代が来なけりゃ、外国のいい女を自由にしようたって、そうはいかない。金と女は同じである。女をものにする要領で、金をこちらが追いかけるのではなく、金を呼び込む。その呼吸がのみ込めたら、しめたものだ。そうなりゃ、必然的に儲かる。
何かを狙った場合、まず「買う」のはシロウトである。クロウトはまず売る。売ってから儲けるのである。商売は『売り』と『買い』があって、初めて成立する。そして『買い』よりも『売り』の方が、はるかに利幅は大きいのである。
一日に八〇円のハンバーガーが一万個売れるということは、売れる時間にピークがないということである。普通の食堂は、メシ時というのがあって、大混雑する。ところが、ハンバーガーにはそういったピークはない。一日中、売れているのだ。つまり、ハンバーガーは、お菓子でもないし主食でもない食物であって、同時にお菓子でもあり主食でもある食物なのである
自分の好きな道で商売を始めると、なかなかその商売はうまくいかないようだ。例えば、古道具が好きな男が骨董品屋になったり、刀が好きな男が刀剣屋になったりしても、商売は決してうまくいかない。対象が好きなもの、となると、ついつい溺れてしまうからだ。本当の商人はきらいなものを売る。自分がきらいなものだと、どうやれば売れるか、を真剣に考える。自分の弱点だから、ある場合には必死になる。