大熊まいのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
軍子会生活に終わりを告げる3巻である。
飛行機に憧れるヘルメスが中心となる前半の“不死鳥の羽”号開発と、アーサーの事情にひとまずの終止符が打たれる後半が収録され、巻末には「誰にも誘われてないんで、村に帰ろうかと」とこぼしたアッシュのために策謀するとある少女の謀略が置かれて締められた形だ。
これまでと違って(自然生物との)命がけの戦闘シーンが含まれないため、やや地味な巻ではあるだろう。そこは次巻に期待である。
(戦闘シーンは含まれるが、その内容はどちらかというと狩猟の類である)
今回もまた加筆が多く、前半ではヘルメス(とレイナ)の、後半ではアーサーの視線が多く描かれている。
少し評価に迷ったのが、前半部におけるヘルメスの視点が物語的に重複する部分が多く、物語のテンポを重めにしていた点だ。
彼の思いを描くために必要な描写ではあるが、一度読んだ物語をもう一度読む負担は気になるところだった。
他方でアーサーの視線については、前巻から続く形で彼の人の物語を完結させるものであり、非常に上質。
最後の日に、紡いだ縁を辿るように描かれる一日の物語は素晴らしい内容だった。
少し評価に悩んだ部分もあったが、今回も星五つで評価したい。
個人的にユイカ夫人が好きなので、冒頭に彼女の視線が置かれているのも評価の足しになっているかもしれない。その点は付記しておく。 -
Posted by ブクログ
ネタバレサキュラ辺境伯領の領都に留学し、いよいよ文明復興の道筋を走り始めた2巻である。
大都会と一文目から述べつつも、一方で次のページでは各種要素の不足を見て取ってスリーアウトのゲームセットを宣言。
しかしそれによってむしろ開発への意欲を高め、ますます意気軒高となるアッシュは、さすがとしか言えない火の玉小僧っぷりである。
この二巻の主題はそうした序盤で説明されているように、共に進む仲間を増やしていくところにある。
特別ページが割かれているのは、秘すべき事情があるのだろうアーサー少年。
小さく縮こまっていた彼の人が、アッシュの手によって心を溶かされ、我慢して笑う姿を心底嫌うマイカによって強引に掬い上げられる様は見どころだろう。
特にマイカとの加筆エピソードは、三人称視点が加えられた書籍版(編纂版)であればこその特筆すべき魅力であり、この書籍版の持つエモさ倍増状態を象徴するシーンだと思う。
本筋は食糧事情の改良でありつつも、終盤での戦闘などは実にファンタジーファンタジーした相手が出現。物語の展開に大きく角度を生じさせている。
加えて、上述したような仲間を増やす側面でも、この書籍版ではより踏み込んで多くの人物が描かれていくだろうことが示唆されている。
原典版(ネット版)を読んでいる側にとっても、惹かれる部分の多い書籍化だろう。
総じて質の高い書籍化である。シンプルに楽しませていただいた。
今回も星五つで評価したい。 -
Posted by ブクログ
ネタバレその竜は魔法が使える猫(ケットシー)の肝っ玉母さんに兄弟たちと一緒に育てられた。猫と共に育ち魔法を学んだ竜は、兄弟たちの巣立ちを手伝い彼らの子供たちの教育に尽力する。魔力を強化した猫は寿命も延びる。この物語には動物ものにありがちな悲しいエピソードが本当に少なく、猫と人間の成長が温かく描かれている。
竜は長い寿命を兄弟として育った猫たちの子孫を教育して過ごす。猫たちは彼を「羽根のおじちゃん」と慕い、竜は心配性のオカンのように猫たちを見守る。犬や猫は寿命が短いから、どんなに愛しても別れの辛さがつきまとう。でもケットシーは魔力が強くなると寿命も延びる。子供の時から老いるまでも一緒に居て、自分が死んだ後も子供を支えてくれるなんて、夢だよ。